アリス・ロビンソン
それは、試験前で不安になっている17歳の女子高生が寝ているときに見た夢のような光景だ。丘の上に立ち、人生を決めるランに挑もうとしている自分を世界中がミスを待ちながら眺めている…。
しかし、それは、2019-20シーズンFISアルペンスキーワールドカップ開幕戦ゼルデンに出場していたニュージーランド人女子アルペンスキーヤー、アリス・ロビンソンの現実だった。
地元のクラスメートたちが試験に思い悩んでいた中、ロビンソンは大回転のファーストランで新女王ミカエラ・シフリンに続く2位につけていた。すべてが次のセカンドランにかかっていた。
その後の話はスキーファンなら知っているだろう。彼女は大きなプレッシャーの中で見事に自分をコントロールしてシフリンを0.06秒上回ると、シフリンが7年前に記録していた女子ワールドカップ優勝最年少記録を更新した。
真の才能
「女子高生のワールドカップ優勝」は意外に思えるかもしれないが、彼女のキャリアを振り返れば納得のいく結果である。
まず、ロビンソンは2018年の平昌にニュージーランド最年少オリンピック代表選手として参加していた。また、2018-19シーズンにアンドラで開催されたワールドカップ大回転でシルバーを獲得していたのだ。
そして、ゼルデン優勝はまぐれではなかった。続く2月にスロベニアのクランスカ・ゴーラで開催されたワールドカップ大回転でもロビンソンはシーズン2勝目を挙げた。
記録までの道のり
ロビンソンのゼルデン優勝までの道のりは、ニュージーランドのウィンタースポーツのメッカとして知られるクイーンズランドへ家族で引っ越した4歳から始まった。
8歳を迎える頃には大会に出場するようになっていたロビンソンは、ジュニア時代に数々のタイトルを獲得したあと、ニュージーランド最年少オリンピアンとなった。
ニュージーランドの星
ロビンソンの優勝をひときわ輝かせている要因のひとつが彼女の出身地だ。ニュージーランドはスキーリゾートを数多く抱えているが、最近までメダル争いには加われていなかった。
もちろん、ロビンソンがニュージーランド初のスキータレントではないが、彼女がこれからの同国のスキーシーンを牽引していく可能性は高い。ロビンソンのワールドカップ優勝は、1997年のクラウディア・リーグラー(スノーボード)に続く同国史上2回目だった。
次のレジェンドへ
彼女の価値を高めたのはワールドカップでの優勝という事実だけではない。ミカエル・シフリンを上回ったことも評価の対象となった。ミカエラ・シフリンはリンゼイ・ボン後の新女王として圧倒的な強さを発揮しており、彼女を上回ることが現在の女子アルペンスキーシーンの目標となっている。
「ミカエラに勝てたことはとても大きかったです。圧倒的な強さを発揮していましたし、シーズンに向けて大きな弾みになりました」
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