MEGGA
© Kunihisa Kobayashi
Motoring

都内某所、あの“高ブル”クルマを捕獲

全国各地に現れては、その場を一瞬にしてダンスフロアと化してしまうRed Bullのイベントカー“MEGGA”。そんな“走るDJブース”の実体を今ここに捉え、舞台裏を本邦初公開する。
Written by Red Bull Japan
読み終わるまで:7分Published on
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

「エナジーを必要とする人々に、翼をさずける」
その重要な任務に対して、Red Bull Energy Drinkをサンプリングすることで応えている全国各地の Red Bull MINIとWings Teamたちには、おっきくてたくましい兄貴がいる。それがRed Bullイベントカーだ。現在、日本には車種や仕様の異なる4台が存在し、全国各地のイベントで活躍する。
今回、東京に生息している1台を捉えた。トヨタ・メガクルーザーをベースとした、通称“MEGGA”。屋根が上に開いて大型LEDスクリーンが登場し、その巨体の中には音響機器がぎっちりと収まっている。1台まるごとDJブースになるという構造だ。MEGGAはつまり、イベント会場に出向いて音楽や映像を届け、人々に“興奮と熱狂”という翼をさずけている。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

スポーツやフェスなどといった野外イベントでのDJコラボは、いまや決して珍しいものではない。だけど、たいていは事前にバンやトラックで機材を運んでDJブースを設けるはず。ところがこのMEGGAは運搬車両自体がDJブースになるというか、DJブース自体が走っちゃう。実際、プレイするDJ自身がMEGGAのオペレーターでもあり、基本は運転から機材準備までひとりで行うとか。
MEGGAは音楽を操るうえで機能において文句はない。システムの詳細はスペック表を参考にしていただくとして、良質かつ迫力満点のサウンドを奏でるスピーカーに、1200×1800mmもの大型LEDスクリーン、そこにデジタルDJの機能が網羅されるほか、アナログのターンテーブルまで設置されている。
「どこに行ってもクラブと遜色のないくらいの音が鳴ってくれるし、音響機器には満足しています。スポーツイベントだったら、大型スクリーンにGoProで撮ったリアルタイムの映像を流して音楽とコラボできるかな、とか夢が膨らみます」と、オペレーターの誰もが嬉しそうに話す。
▼走行モード→DJモードへ、変形する“MEGGA”
(下の写真を右へスライドしてください)
ただ、奏でられる音はプロのDJを満足させるほど抜群でも、実際に現場では、数々の苦労話があるとか。イベントには大歓迎という夏の晴天は、逆にDJにとっては厳しいものとなる。常に直射日光にさらされ、また音響機器の発熱量もハンパない。忘れてはならない人々の熱気もある。会場の人々を“熱く”盛り上げるために、DJはただひたすら“暑さ”に耐えている。
風が吹けば砂ぼこりが舞って音響機器に悪影響を及ぼすし、アナログのターンテーブルでは針が飛ぶこともあるから注意が必要だ。でも、一番タイヘンなのは雨かもしれない。音響機器やLEDスクリーンに水は禁物だから、せっかく会場まで出向いても機器を広げることができない。最初から雨ならあきらめも付くものの、プレイの途中で降ってきたらテンヤワンヤとなる。MEGGAのオペレーターはどんなに名DJでも、決して雨オトコには務まらないのである。
また、音楽を操るための機能は優れていても、クルマを操るという面でみたらどうなのだろう。これだけの音響機器を満載したがゆえに積載物は2トン近くにおよび、ノーマルで2850kgという個体の総重量は、驚愕の4830kgへ。高級リムジンに匹敵する長さ(5090mm)と、4トントラック級の幅(2170mm)もさることながら、軽自動車5~7台分の重さには驚く。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

それでも着座位置が高く見切りもいいので、大きさ自体にはすぐに慣れるという。ただし、この巨体を前提として事前に走行ルートを吟味したりと、ここでもオペレーターは努力を重ねる。急な坂道ではアクセルをベタ踏みでも時速70km程度しか出ないし、高重量かつ高重心だからブレーキも丁寧な操作が必要だ。なによりもエンジン音や、硬い車体から身体へ伝わる振動などで、お世辞にも快適とはいえない。音響機器が運転席の背後まで迫っているために完全2人乗りであり、シートのリクライニング量も制限されている。そもそもメガクルーザーは、陸上自衛隊向けの高機動車をもとにして登場した。災害時の救援や人命救助をするという任務を課せられた存在だからして、運転手にやさしい乗り味や、便利快適装備なんて二の次として考えられている。
しかし、人間や社会を守るために尋常じゃないほどタフに仕上げられたクルマだからこそ、MEGGAのように重い音響機器を積んで全国各地を走り回ることができるのだろう。このMEGGAは関東エリアのイベントを中心に回るが、ここまでの大型スクリーンを備えたイベントカーは他にないため、お声がかかれば北海道だろうが九州だろうが出向くとか。月の平均稼働日は20日間ほど。それを3人のオペレーター(全員が現役DJ)で担当している。この日、16万キロを刻んでいた走行距離計が、なにより活躍の証だと思う。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

「長距離を走って、現場で音楽流して――って、タイヘンそうに思えるけど、実際は楽しくて疲れなんて感じない。信号待ちで写真を撮られまくったりして、常に気は抜けないものの、逆にいつも自慢するような意識で乗っています」と、オペレーターたちは、常に程よい緊張感を持ってMEGGAを操っている。
「DJブースに立ってからが本番じゃない。MEGGAのキーを手に取った瞬間からが、僕らは本番です」という言葉が、そのすべてを物語っていた。
(原稿:中三川大地 / 写真:小林邦寿)
▼“MEGGA”の裏側を収めた貴重なフォトギャラリーはこちら
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

車体がデカくても運転席はタイト。ドライバーのすぐ後ろまでDJの商売道具である音響機材が迫り来る。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

天井を開いてDJブースを設置すると、車体はとても不安定に。そのため専用ジャッキで車体を水平に保つ。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

走行モード時はトランクに格納されている巨大スクリーンとスピーカーは、DJモード時になると屋根上に。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

デジタル機器のみならず、アナログのターンテーブルも備わる。強風で針が不安定になることがあるという。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

クラブに負けないほど高性能な音響機器が備わるものの、野外で活用する際には、唯一、雨風だけには弱いとか。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

Red Bull Energy Drinkをキリッと冷やす冷蔵庫。サンプリング用というよりもオペレーター(DJ)用のエナジーだ。
MEGGA

MEGGA

© Kunihisa Kobayashi

メガクルーザーの標準は四角いライトだが、MEGGAは丸いライトに変更され、とても愛嬌のある顔つきを持つ。
MEGGA12.jpeg

MEGGA12.jpeg

© Kunihisa Kobayashi

Red Bull Event Car MEGGA
▼SPECIFICATIONS ※ベース車の「トヨタ・メガクルーザー」のものです。
■ボディサイズ:全長5090×全幅2170×全高2075mm ホイールベース:3395mm トレッド(前/後):1795/1775mm 車両重量:2850kg ■エンジン:直列4気筒SOHCインタークーラー付き直噴ディーゼルターボ ボア×ストローク:108.0×112.0mm 総排気量:4104cc 圧縮比:17.8 最高出力:155ps/3200rpm 最大トルク:39.0kgm/1800rpm ■トランスミッション:4速AT ■駆動方式:4WD ■ステアリング:ボール・ナット ■サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン ■ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク ■最小回転半径:5.6m ■JC08モード燃費:不明
▼EQUIPMENTS
■Speaker:JBL VRX928LA×4 JBL VRX918S×2 ■Audio amp:AMCRON XTI4000×2 ■EQ:dbx IEQ15 ■Mixer:Peavey PV14 USB ■LED Screen: 1200mm×1800mm Pitch 7.5mm ■DJ equipment:Technics MK6×2 Rane Sixty-Two ■SHURE:Wireless Microphone (SLX UHF) ×3 ■Web Camera:GoPro HERO4 ■Headphone:Pioneer HDJ-2000