スノーボード
【スノーボード世界女王】アンナ・ガッサーのキャリアハイライト 9選
体操選手から冬季オリンピック2連続チャンピオンとなったアンナ・ガッサーは、現代で最も強い影響力を持つフリースタイルスノーボーダーのひとりとして知られる。彼女が歴史を塗り替えた瞬間を振り返っていこう。
スノーボードクイーンのアンナ・ガッサーは、実に目覚ましいキャリアを歩んでいる。彼女のライバルたちの多くが幼少期からスノーボードを始めている一方、オーストリア・ケルンテン州出身のガッサーがスノーボードを本格的に始めたのはわずか12年前というのは、にわかに信じがたい。
体操競技を通じてスノーボードに必要な身体意識を身に付けていた彼女は、自らの野心と情熱に駆り立てられて現代を代表するアスリートのひとりにまで成長した。
ESPYアワード、オーストリア・スポーツウーマン・オブ・ザ・イヤー、Transworld誌の「女子ライダー・オブ・ザ・イヤー」および「女子リーダーズチョイスアワード」などを獲得してきた彼女は、数々の勝利の他に、唯一無二の瞬間や自身のオリジナルトリックも手にしてきた。
Red Bull TVのドキュメンタリー『The Spark Within -秘めたる才能-』を通じてアンナ・ガッサーの世界に没入し、体操選手からワールドクラスのスノーボーダーとなるまでの彼女の軌跡を追ってみよう。
1 時間1 分
The Spark Within -秘めたる才能-
限界を超え数々の功績を残してきた女子スノーボード界の女王アンナ・ガッサー。本作品では、マーク・マクモリスやジュリア・マリノなど、名だたるライダーたちもゲストに招き、彼女の10年間を余すことなくディープにまとめている。スノーボードへの純粋な情熱と愛情が生んだ彼女の軌跡をご覧あれ。(日本語字幕)
ワールドカップ9勝、表彰台獲得19回、フリースタイル&ビッグエアワールドカップ総合優勝2回に加え、スロープスタイルワールドカップでも優勝し、さらにはオリンピック、世界選手権、X-Gamesで合計10個のメダルを獲得しているガッサーは、このスポーツで勝ち取ることができるものすべてを手にしてきた。そして彼女はそのすべてをひとつずつ積み上げてきたのだ。
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【2013年】キャブダブルコーク900
ガッサーにとって、最高のフリースタイルスノーボードキャリアの幕開けだった。彼女は2023年1月にワールドカップデビューを飾ると、2013年11月までに他のライバル全員を脇役に追いやった。ガッサーは女子スノーボーダー初のキャブダブルコーク900のメイクに成功。これはその後数年に渡って興奮を巻き起こす彼女にとって最初の快挙だった。
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【2015年】初のメダル獲得
ガッサーはメジャーイベントでの初のメダルを獲得し、その強靭な精神力を証明した。しかも、初のメダル獲得の舞台となったのは、他でもない彼女の地元であるクライシュベルクで開催された世界選手権だった。スロープスタイルコンペ3本目、彼女は母国オーストリアの雪の中で素晴らしいランを披露し、颯爽とシルバーメダルを獲得した。
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【2016年 – 2018年】数々のビッグコンペを制圧
2016年から2018年にかけて、このオーストリア出身の女子スノーボーダーはスノーボードコンペを “ガッサー・フェスティバル” へ変貌させた。
彼女はスロープスタイルとビッグエアの両方でライバルたちを圧倒して数多の重要なコンテストやワールドカップの舞台で優勝を飾った。また、アスペンで開催されたWinter X-Gamesのビッグエアでは2016年にゴールド、2017年にシルバーを獲得。2017年にノルウェーで開催されたX-Gamesのビッグエアではブロンズを獲得した。
同じく2017年、ガッサーはシエラネバダで開催されたスノーボード世界選手権で最高スコアとなる100ポイントをマークしてビッグエアワールドチャンピオンに輝き、2年連続でビッグエアワールドカップ総合優勝を手にした。2017年11月、当時26歳だったガッサーは女子スノーボーダー初となるオーストリアの「スポーツウーマン・オブ・ザ・イヤー」に選出された。
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【2018年】ダブルゴールドメダル
2018年のガッサーは並外れた実績を残した。彼女はアスペンで開催されたWinter X Games、そして平昌で開催された冬季オリンピックの両方でビッグエアのゴールドメダルを獲得し、前人未到の偉業を成し遂げたのだ。スノーボードにおける2つの最重要コンペでゴールドメダルを勝ち取ったガッサーは、女子スノーボードのアイコンとなった。
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【2019年】キャブダブルコーク1260
スノーボードで重要なのは、メダルやコンペでの勝利だけではない。このスポーツを進化させることも重要だ。そして、この専門性の高い競技においてガッサーは再三に渡り新基準を定めている。
オーストリア・オーバーグールグルでの撮影中、ガッサーは怪我による長期間の離脱を経て女子スノーボーダー史上初のキャブダブルコーク1260のメイクに成功。同年、彼女はノルウェー・フォルネブで開催されたX-Gamesのビッグエアでも再びゴールドを獲得した。
1分
アンナ・ガッサー:キャブダブルコーク1260
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【2020年】X-Gamesノルウェーでビッグエアゴールド獲得
X-Gamesノルウェーでのビッグエアは、ガッサーにとって “ホームゲーム” のようなものだった。2020年も彼女は無敵で、3度目のX-Gamesゴールドを獲得した。
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【2022年】そして不朽の存在へ
2022年2月、ガッサーはスポーツの新たな歴史を打ち立てた。これは間違いなく彼女のキャリアにおいて最も感動的な瞬間のひとつだ。
彼女のパートナーであるクレメンス・ミラウアー(同じくオーストリア出身のスノーボーダー)が北京冬季オリンピックでの練習中に足首を骨折してからわずか1日後、彼女はディフェンディングチャンピオンとしてビッグエアに臨んだ。
3本中2本を終えた時点でのガッサーの順位は2位で、シルバーが確定していることを彼女は知っていた。しかし、彼女は3本目でキャブダブルコーク1260をパーフェクトにメイクしたのだ。このジャンプによってガッサーは2度目の冬季オリンピックゴールドメダルを獲得し、不朽の存在となった。
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【2024年】新トリックへの渇望はいまだ衰えず
2024-25シーズンの開幕時、スノーボード界のスーパースターはシュトゥーバイ・グラシアで新トリック “キャブ1260” の初メイクに成功した。これは、自分を軸に3回転半するトリプルサマーソルトだ。
彼女は北京で開催されたFISビッグエアワールドカップでも3位入賞を果たし、さらなる節目を越えた。北京でのガッサーは、ドランクドライバートゥームを組み合わせたキャブトリプルコークを初披露して、新トリックをさらにレベルアップしみせた。
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【2025年】さらなる記録更新
ガッサーは女子初となるキャブトリプル1260ドランクドライバーをトレーニング中にマスターしていたが、ビッグエア・クライシュベルク 2025でついにコンペでの初メイクに成功した。地元ファンが見守る中、ファイナルの1本目でこのトリックのメイクに成功した彼女は、この日最高となる93.00ポイントを獲得した。
さらに、ガッサーは2本目でバックダブルコーク1080メロンをメイクし、キャリア3回目のビッグエア・クライシュベルク優勝を成し遂げた。尚、2位には岩渕麗楽(日本)、3位にはミア・ブルックス(英国)が入った。
しかし、何よりも重要だったのは、この優勝でガッサーが最多記録更新となるビッグエア・ワールドカップ10勝目を挙げたことだった。彼女はミラノ・コルティナ2026での現役引退を予定しているが、今もビッグエア・クイーンであることを証明した。
優勝後、ガッサーは次のようにコメントした。
「今日の勝利は特別ですね。他のライダーたちのレベルは非常に高いですが、若い世代と互角に戦えました。素晴らしい1日になりました。安堵していますし、幸せです。まだ自分が正しい道を進めているという証拠になりましたね」
「現役生活はもう終わりに近づいています。今回のワールドカップはおそらくホーム最後のビッグエアになるでしょう。なぜなら、2年に一度の開催ですし、次のオリンピックで私は引退するからです。最後のオーストリア開催のワールドカップで優勝できたことはとても大きな意味を持っています」
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