Participants ride their bikes on the Goodwood Motor Circuit in the UK.
© Leo Francis/Red Bull Content Pool
サイクリング

【ロードレース】プロが教える冬季トレーニングの準備と方法

ボーラ=ハンスグローエで活躍するプロロードレーサーのアントン・パルツァーが寒くて暗い冬にライディングを楽しむためのヒントとアドバイスを教えてくれた。
Written by Ludwig Bestler
読み終わるまで:7分公開日:
2023年、元スキーマウンテニアリングアスリートのアントン・パルツァーは、ドイツのロードレースチーム、ボーラ=ハンスグローエでプロロードレーサー3年目を迎える。
レースシーズンが終わっても、パルツァーとボーラ=ハンスグローエのチームメイトたちは完全に降車するわけではない。彼らは冬の間も週25〜30時間のライディングをこなしながら春のレースに備えてトレーニングを重ねていく。
日照時間が短くて寒い冬季に屋外でライディングするモチベーションが下がってしまうのは私たち一般人だけの話ではない。プロロードレーサーとて同じだ。しかし、彼らはライディングで生活費を稼いでいることを自覚しているのだ。
以下に、パルツァーが自分たちの冬季トレーニングの取り組み方に加え、初心者アマロードレーサーの冬季ライディングに役立つヒントやアドバイスなどを教えてくれた。
次のシーズンに向けてトレーニングを積むパルツァー

次のシーズンに向けてトレーニングを積むパルツァー

© Helge Roeske/Red Bull Content Pool

01

目標を定める

冬季トレーニングは春と夏のパフォーマンスゴールの設定において非常に重要で、シーズンを戦い抜くための基礎作りの期間だ。パルツァーはトレーニングルーティンの構築が特に重要だとしている。
冬季はレース、スポーティブ、ロングライドを問わず、次のシーズンに達成したい目標を常に意識するようにしたい。準備、トレーニングメニュー、日数を含むすべてがその目標へ向かっているべきなのだ。
目標が設定してあれば、トレーニングの理由が理解できる

目標が設定してあれば、トレーニングの理由が理解できる

© Leo Francis/Red Bull Content Pool

目標を設定する前に自分に問いかけておくべき疑問は「自分は何を達成したいのか?」「そのための準備に最適な方法は?」だ。
アマライダーにとって、これらの質問に対する答えは “フィットネスの向上” かもしれないが、特定のビッグレースでの完走や表彰台獲得、ツールの出走や完走、有名な山岳コースやルートの挑戦などより競技性の高い目標を設定したい人もいるだろう。このような目標を設定したあと、逆算して日々のトレーニングの量やメニューを決めていこう。
02

休みを入れる

プロサイクリングシーズンが終わると、プロライダーたちはしばらく休みを取って身体を回復させている。通常、トレーニングは11月または12月に再開するのだが、休暇を挟むことで彼らはフレッシュな状態に戻っている。言うまでもなくフィジカルコンディションは重要だが、メンタルコンディションも同じくらい重要だ。
モチベーションは冬季トレーニングで非常に重要だ。冬は長く、寒く、厳しいので、トレーニングプランをすべて完了するためには強靭なメンタルリラックスした心構えが必要になる。
つまり、私たちもプロたちと同じように数日間または数週間愛車から離れてリフレッシュする必要があるのだ。冬季トレーニングをフレッシュな状態で迎えるためには、休んで自分をリセットするのが最高の方法だ。
冬季トレーニングには寒くて暗くて不快な瞬間がある

冬季トレーニングには寒くて暗くて不快な瞬間がある

© Corey Rich/Red Bull Content Pool

03

他のスポーツに取り組む

他のスポーツに取り組んだり、クロストレーニングを取り入れたりすればトレーニングのバラエティと楽しさが増す。元スキーマウンテニアリングアスリートのパルツァーは、ホリスティック・トレーニングに最適な選択肢を熟知している。
「11月から1月にかけては自転車と他のスポーツの比率を70:30にしています。クリスマスまではクロスカントリースキーの比率を少し高くして、筋肉を強化していきます。基本的に、他のスポーツはライディングで無視している上半身を集中的にトレーニングするものとして捉えてください」
スキーマウンテニアリングで活躍したパルツァー

スキーマウンテニアリングで活躍したパルツァー

© Hans Herbig/Red Bull Content Pool

上半身強化に最適なスポーツとしては、クロスカントリースキーの他に、水泳ランニングクライミングボルダリングなどが挙げられる。また、ジムでのコアエクササイズストレングストレーニングも冬季のトレーニングルーティンに組み込むべきだろう。
ワウト・ファンアールトトム・ピドコックブランカ・カタ・ヴァスのようなアスリートたちは、冬季はシクロクロスレースに参戦している。すべてのプロライダーが彼らと同じではないが、バラエティを豊かにするためにグラベルロードマウンテンバイクに乗り換えて低強度トレーニングに取り組んでいるプロライダーは少なくない。こうすることで楽しみながらトレーニングへの興味を維持できる。
グラベルバイクは長距離ライドに最適

グラベルバイクは長距離ライドに最適

© Corey Rich/Red Bull Content Pool

04

持久力を高める

11月初頭から2月半ばまでのトレーニングメニューは持久力強化を中心に組まれるべきだ。これはつまり、ライディングの時間を長くすることを意味する。そして、冬本番から新年へ向かう中でエフォートを大きくしていくべきだ。ショートインターバルに取り組んで、パワー/ワットを高いレベルで維持できるかどうかを確かめたい。
パルツァーは「トレーニングの1ブロックが短時間になるのはクリスマスのあとからです。それまでは緩いペースのロングライドを重ねていきます。その次に週1〜2回インターバルトレーニングを組み込んでいきます。レースで必要になるタフネスは競い合うことでしか鍛えられません」と説明している。
05

仕事と両立させる

アマライダーたちは仕事と冬期トレーニングを両立させる必要があるため、彼らがトレーニングに割ける時間はどうしても限られてしまう。
このような人たちのために、パルツァーは平日の短時間・高強度のトレーニングセッションと休日のクラシックなロングライドを組み合わせることを推奨している。このアプローチなら、ズイフト(Zwift)のようなアプリを使った自宅でのトレーニングと屋外トレーニングを組み合わせることも可能になる。パルツァーは次のように説明している。
ターボトレーナー(ローラー)はインターバルトレーニングに最適です。抵抗値を具体的に設定できますし、ワット数も設定できます。ですが、基礎トレーニングにおいては屋外のライディングに優るものはありません。僕は、冬季は1日2時間半以上ライディングするようにしています」
06

気候に適したウェアを用意する

冬季はトレーニングスケジュールをこなさなければならない上に、寒さと戦う必要もある。冬季専用ウェアを着用しているパルツァーは、寒さに弱い部分をしっかり防護してくれるウェアを用意するべきだと強くアドバイスしている。
正しいウェアで快適に保とう

正しいウェアで快適に保とう

© Helge Roeske/Red Bull Content Pool

「冬季の大半を通じて、僕はネオプレン製の高機能ジャージタートルネックセーター、その上にジャケットを着込んでいます」
「つま先をサーマルソックスシューズカバーで防護するのを忘れる人が多いですね。両手も風に晒されるので、僕は冬季用サイクリンググローブの代わりに3本指グローブ(ロブスターグローブ)を着用しています。このグローブでもブレーキングとステアリングは問題ないですし、何より寒さをしのいでくれます。顔をカバーできるチューブスカーフネックウォーマーも良いですね」
また、日照時間が短い冬季は視認性を高めることも重要だ。パルツァーは派手なウェアで視認性を高めることを勧めている。再帰反射素材を使用しているウェアやネオンカラーのウェアを着用して視認性を高めておこう。
07

正しいパーツとアクセサリーを用意する

パルツァーは冬季に役立つハイクオリティなバイクパーツやアクセサリーに投資することも勧めている。冬季はパンクしがちになるので、まずはパンクしにくいハイクオリティなタイヤを用意しよう。また、万が一に備えてスペアのインナーチューブとポンプも用意したい。雨天の水しぶきを防いでくれるマッドガードも冬季のライディングでの快適さの向上に役立つ。
前項の高視認性ウェアと一緒に様々な時間帯に対応しているライトも用意しておきたい。尚、ライトはフロントとリアの両方を必ず揃えよう。
愛車のチェックも欠かさずに

愛車のチェックも欠かさずに

© Helge Roeske/Red Bull Content Pool

08

自分へのご褒美を用意する

パルツァーは、冬季トレーニングでは自分のムードとマインドを常にポジティブに保つことで屋外ライディングへのモチベーションを維持することが重要だとしている。そのための方法のひとつとして、1日のトレーニングを無事完了したら自分にご褒美をあげているパルツァーは、それがたとえ小さなものだとしても、誰もが自分と同じようにご褒美を用意すべきだとしている。
温かいお茶やケーキを携行したり、カフェでコーヒーブレイクを取ったり、自宅に何かを用意したりするのはグッドアイディアだ。寒さの中での数時間ライディングした自分にはそのようなご褒美が相応しい。
チョコレートバーがパルツァーのご褒美

チョコレートバーがパルツァーのご褒美

© Helge Roeske/Red Bull Content Pool

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