【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
© hirade
アート&デザイン
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
かつては人々が生活し日常の風景として存在していた空間も、存在すべき人間が去り時間だけが過ぎ行く廃墟。一切の生産活動は停止し、ただ朽ちゆくその姿をアーティスティックに切り取る。
Written by Daisuke Watanabe
公開日:
    
廃墟写真という芸術
廃墟というと本能的に薄気味悪く感じる人も少なくはない。特に人のいた形跡が残る建物などは、いわくがなくても心霊スポットになり得てしまうため仕方のないことだ。しかしそんな廃墟を歴史やアートといった側面から眺めると、また違った印象で受け止めることができるだろう。
世界各国に存在するといわれている「廃墟マニア」。もちろん廃墟マニアとひと言でいっても、在りし日を想像する人もいれば、冒険感覚で訪れる人、さらにはその朽ちゆく姿を写真に収める人など目的も様々。かくいう筆者は現代とは違った古い建物の構造やデザインを見て、勝手な独自解釈で歴史を感じるなんて楽しみ方を続けている。そんな廃墟を芸術写真として昇華する「廃墟写真展」で出会った日本人アーティストの作品をご紹介しよう。

異色の廃墟写真家夫妻 〜 hirade&shikibrand 〜

【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
世界広しともいえども、中華風テーマパーク廃墟はそう多く存在しないだろう。 閉園から20年、数多くの装飾物は自然の猛威に飲みこまれつつあった。円形の門をくぐると背もたれが壊れた椅子がひとつ転がっている。私はふと思った。
「あの門の屋根に上がったら面白いのではないだろうか」カメラタイマーを設定し小走りで屋根に飛び乗る。青空が眩しい初夏の瓦上で私はカメラレンズをそっと見つめていた。
(hirade)
    
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
「そのゲーム筐体どこにあるの!? 今ではとても貴重なものだよ!!」そんな連絡がきた。使われなくなった廃校を再利用し宿泊施設として運営、その後廃墟となった。廃墟を訪れた若者(おそらく)たちによって無残にも筐体画面は割られゲーム基盤は抜き取られていた。年代物のブラウン管は誰も見向きもしなかったようだ。
(hirade)
   
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
廃墟写真家は意図しないシチュエーションに出会うことが多い。とあるホテルの一室。閉めることができなくなった窓から吹く早朝の風にさらされ、部屋は風化の一途を辿っていた。意図して造られたはずではないのに、そこには美しい空間が存在している。部屋には永住権を与えられた人形が横たわっていた。
(hirade)
   
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
山奥に植物に飲み込まれつつある、人間の痕跡。そこには新たな人間の生活は存在しないが、植物たちの命の輝きが静かに波打っていた。
(shikibrand)
   
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
【廃墟アート #1】「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟の世界
格子の美しい部屋に鎮座する血まみれの白い顔……。一瞬ぎょっとするシチュエーションに恵まれることもある。構造物として歪んでいるのが殆ど。そのなかに、まるでセットされたように真ん中に鎮座する顔。誰かのいたずら的美的センスに感謝しつつ構造物の歪みと超広角レンズの歪みと格闘しシャッターを切る。あとはPCになんとかしてもらおう。上位クラスの機材がないと、なんとかするために現像力を上げざるを得ない。これもまた楽しみのひとつ。
(shikibrand)
  
「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟アートの世界 #1
「衰亡」という名の美学、奥深き廃墟アートの世界 #1
朝の光は美しさを何倍にも増す効果があると思う。ここも例外ではない。いや、むしろ驚くべき光の効果を感じた。そこにある景色だけで十分に美しいのは、わかっている。でもわたしのなかで、「誰かと同じかも知れない」はつまらないのだ。
自分が立つだけでどれくらい物語が生まれるか。やってみないとわからない。イタくてもいいのだ。ただ、光の織りなす芸術のそのど真ん中にもうひとつのアクセントを。
(shikibrand)
  
【写真家プロフィール】
hirade
幼少期から怪奇ものへの興味が災いし、青年期には心霊探索や廃墟探検をスタート。その後登山をきかっけに写真撮影を開始し、これまでの探検では知り得なかった廃墟写真の魅力に目覚め流。現在は妻のshikibrandとともに全国の廃墟を渡り歩く。
Instagram:hirade
Web「hiradearts」:https://hiradearts.weebly.com
   
shikibrand
本来は怖いもの全てが苦手ではあるが、夫に連れられて訪れた廃墟に感動。人が消え去った世界に佇む建物やそれらを包み込む植物、そして木漏れ日。その写真をモニターで見た時のさらなる感動は感無量。自分だけでもクールと思える絵を求め続ける。
Instagram:shikibrand_
Web「hiradearts」:https://hiradearts.weebly.com