Red Bull Stratos Technical Project Director Art Thompson poses for a portrait in front of the mission's capsule at Hangar-7 in Salzburg, Austria.
© Joerg Mitter/Red Bull Content Pool
アート&デザイン

【Red Bull Doodle Art】ラクガキから始まった成層圏ダイブ

成層圏から地表への自由落下で複数の世界記録を樹立した【Red Bull Stratos】のカプセルや緊急リカバリーシステムを含むすべてはラクガキから始まった…。同プロジェクトのテクニカルディレクターがラクガキの魅力を語ってくれた。
Written by Trish Medalen
読み終わるまで:5分公開日:
アート・トンプソンは最新テクノロジーに囲まれている。
カリフォルニア州ランカスターにあるSage Cheshire Aerospaceをはじめとする彼が創設した企業の数々では航空産業におけるデザイン・製造のイノベーションが活発に行われている。また、個人としても、フェリックス・バウムガルトナーを人類初の自由落下での音速超えへ導いた【Red Bull Stratos】を創設して率いた他、キャリア前半にはB-2ステルス戦略爆撃機の企画立案にも携わった。
しかし、トンプソンに新しいアイディアが生まれるとき、彼がそのアイディアをスケッチするために頼りにしているのはCADプログラムではない。ペンと紙を使ったラクガキだ。世界的に有名な航空エンジニアであるトンプソンは次のように語っている。
「ラクガキは頭に良い刺激を入れてくれます。私たちはデジタル時代に生きていますが、私はベッド脇に紙とペンを置いてあります。ですので、午前3時にアイディアが浮かんでも、それを紙に残しておき、あとで振り返ることができるのです」
「そのようなアイディアは、人間工学に基づいたラウンジチェアのコンセプトのときもあれば、高高度飛行をするロケット飛行機のアイディアのときもあります」
「寝ぼけながら描くので、ほとんど意味をなさないですが、私がデザインしたい機能を思い出させるリマインダーとして機能しています」
ラクガキは頭に良い刺激を入れてくれます
アート・トンプソン
トンプソンにとってラクガキのメリットは複数ある。
「ラクガキでは自分のマインドをクリエイティブに解放して、コンピューターの前に座っているだけでは思いつかないアイディアを思いつくことがあります。CADプログラムは制限が多いので、自分が拘束されてしまいます。また、ラクガキで自由に描いているときは、間違えることが気にならないです。間違えてもその隣に描いたり、新しい紙に描いたりすれば良いのです」
一番好きなラクガキ用の紙について、トンプソンは最高のラクガキのいくつかは紙ナプキンの上に描いたものだと明かしている。実際、彼は手描きコンセプトのすべてを “ナプキンスケッチ” と呼んでいる。
「 “ナプキンスケッチ” と呼んでいるのは、通常、そのようなアイディアはランチなどで同僚と話しているときに思いつくからです。ランチ中は手元に紙はないですが、ナプキンは必ずあります(笑)」
現実に起きた興味深いストーリーをいくつも持っているトンプソンは、B-2ステルス戦略爆撃機の最初のコンセプトも航空宇宙企業Northropで当時同僚だったアーヴ・ワーランドと一緒にナプキンスケッチから生み出したものだと続ける。2人はそのナプキンスケッチを元にアイディアをまとめ、トンプソンが製作した小型模型を含む見事なプレゼンテーション資料を完成させた。
また、トンプソンは【Red Bull Stratos】のルートとカプセルも元々はバーのナプキンに描かれたラクガキから生まれたものだと説明している。彼は今もカプセルの初期デザインが描かれたコースターを所有しており、額に入れて自宅に飾っている。
ラクガキが上手くなる方法について、トンプソンはいくつかのアドバイスを備えている。
「まずは数をこなすことです。また、ラクガキはなるべく大きく描くようにしましょう。これはイラストレーションでも同じですが、よく見られるミスのひとつは大きな紙を用意しても、隅に小さく描いてしまうことです。自分のアイディアを大胆に表現することを恐れないでください」
また、トンプソンは最初からパーフェクトを目指していない
「最初のラクガキは自分が考えていることを短時間で大まかに説明したものになることが多いです。ほんの一瞬でざっくりとした形状やコンセプトを視覚化し、そこから別の紙を使ったり、そのラクガキの上に描いたりして、アイディアをより具体的にしていきます。その次にそのナプキンスケッチをコンピューターで3Dにしていくのです。これが私のやり方です」
自分のアイディアを大胆に表現することを恐れないでください
アート・トンプソン
現在、トンプソンのラクガキは航空宇宙用コンセプトから市の記念碑歯固め用おもちゃまで様々なものに役立ってきた。最近の彼は宇宙飛行機の初期コンセプト海底マッピングのソリューションの考案に力を貸している。また、多忙なこのカリフォルニア人は写生、絵画、彫刻を愛するアーティストでもあり、その作品群もラクガキから始まっている。
「ナプキンスケッチ、つまりラクガキは “自分が問題を解決する方法を知っている” ことを瞬時に教えてくれると同時に、自分が作りたいのものをあとで見直したり、デザインチームと共有したりできるメモとして機能します。まさに “閃き” そのものなのです」
【Red Bull Doodle Art】のイベントページでは、世界中のイノベーティブなラクガキアーティストの “閃き” の作品群をチェックできる他、自分の作品を提出することもできる。詳細はこちら>>
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