Battlerite Royale header art
© Stunlock Studios
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『Battlerite Royale』:MOBAとバトルロイヤルの相性
スピーディなアリーナバトルが特徴のMOBAタイトルがバトルロイヤルモードの実装で再活性化を狙っている。開発側が最新トレンドを取り入れた理由と意気込みを語った。
Written by James Pickard
読み終わるまで:9分Published on
     
バトルロイヤル - 2018年のゲーミングシーンの一大バズワードだ。
PlayerUnknown’s Battlegrounds』がこのゲームモードを広め、『フォートナイト』がメインストリームへ押し上げた。
最近は『コール オブ デューティ』シリーズでさえもここに取り組んでおり、年内にリリースされる最新作『コール オブ デューティ ブラックオプス4』にバトルロイヤル風モード “ブラックアウト” が実装される予定だ。
しかし、全てのバトルロイヤルタイトルが成功するわけではない。たとえば、『Radical Heights』は、Cliff Bleszinski率いるBoss Key Productionsの最後の作品になってしまった。
Bleszinskiは最新トレンドを取り入れることで『LawBreakers』の失敗からの逆転を狙っていたが、このゲームは失敗に終わった。
そして今、もうひとつのゲームがバトルロイヤルに挑もうとしている。『Battlerite』だ。
Bloodline Champions』で知られるStunlock Studiosが生み出したこのアリーナバトルは、2017年11月に基本プレイ無料として正規リリースされて以来、安定した成功を収めてきた。
しかし、Steam Chartsのデータは、ここ7ヶ月で同時プレイヤー数が減少していることを示している。
しかし、Stunlock Studiosは、新チャンピオンアップデートの追加プロリーグの導入などを通じてこのゲームを維持しようと努力を続けている。
2018年5月にStunlock Studioが行った公式発表は、彼らが新しい方向性を打ち出してこのゲームのサポートを続けようとしていることを示した。
スピーディで派手なアリーナバトルにバトルロイヤルモード『Battlerite Royale』を加えることを決定したのだ。
20人のプレイヤーがTalon Islandという島に降り立ち、Glimmering WoodsやStarlight Oasisなど、様々な名前が付けられた島内エリアを探索しながらアイテムやアップグレードを集めて他のプレイヤーを倒していくこのモードには、ソロデュオが用意される予定だ。
しかし、この最新バトルロイヤルモードは『Battlerite』の再活性化を促すエキサイティングなものなのだろうか? それともただ最新トレンドに飛びつきたいという理由だけで開発されたものなのだろうか?
我々はStunlock Studiosに直接話を聞くことにした。
Stunlock StudiosのマーケティングディレクターJohan IIvesは次のように話を始める。
「現在のPCゲーミングシーンには、MOBAの要素が盛り込まれているトップダウン型バトルロイヤルタイトルはひとつも存在しません。僕たちは、既存のゲームのコピーではなく、新しいゲーミングエクスペリエンスを提供できると信じています」
「また、『Battlerite Royale』を次世代バトルロイヤルモードのひとつとして捉えています。バトルロイヤルは、FPS以外の様々なジャンルに起用されるようになってきています」
A Battlerite Royale 1v1 screenshot
ソロとデュオが用意される© Stunlock Studios
FPS、またはTPSタイトルがバトルロイヤルを独占してきたのは事実で、実際、この2ジャンルはこのモードに最適なものに思える。
慎重に島を探索してアイテムを集めながら、敵をキルするチャンスを待つというアイディアは、プレイヤーの強さが所有している武器、防具、アイテムによって決まってくるFPSやTPSとパーフェクトにマッチする。
しかし、だからと言って、このモードをシューター限定のものにする必要はない。

ユニークな特徴

オリジナルの『Battlerite』には明確なアイテム収集システムが存在しない。スキンやいくつかの能力強化系アイテムを除き、各チャンピオンのロードアウトは固定されている。
そのため、Stunlock Studiosは、『Battlerite Royale』を機能させるなら、この部分を変える必要があるという判断を下した。
このモードのプレイヤーは、チャンピオンの能力を強化できる追加アイテムを探し回ることになる。また、マップ内には1回しか使えない消費型アイテムも用意される。
Ilvesは「正しく立ち回れば、能力強化が不完全な状態でも勝利できます。また、『Battlerite Royale』では、通常のアリーナモードよりも戦術が大きな意味を持ってきます」と説明している。
たとえば、このモードでは、全プレイヤーは消費型の “Throw Rock” (石を投げる)だけでスタートする。これは、ゲーム序盤のシンプルな防御手段のひとつだ。
開発チームが取り組まなければならなかった興味深いチャレンジは、このモード専用のマップだった。マップは『Battlerite』の通常のアリーナの30倍の広さで、『Battlerite』のアリーナモードに実装されている “Death Vortex” が、フィールドを狭くする “円” として流用される。
また、当然ながら、マップ内には様々な人気スポットや地形が用意されており、これらは、より攻撃的なプレイヤー向きやより慎重なプレイヤーに降下ポイントの選択肢を提供することになる。
Ilvesは「探索と戦闘用にオープンなエリアと狭いエリアの両方が用意される予定です。麦畑鉱山などがその例ですね。アイテムの種類と強さはエリアによって異なります。たとえば、リスクを負って優れたアイテムを手に入れたいプレイヤーのためのエリアがいくつか用意されています」と説明している。
Battlerite Royale Map Concept Art
Talon Island© Stunlock Studios
開発チームが考慮しなければならなかったもうひとつの大きな問題は、この新モードのスケールだった。
通常、バトルロイヤルタイトルは大人数の同時プレイが可能で、最大100人でスタートできる。しかし、『Battlerite Royale』の同時プレイヤー数は最大20人と少ない。
この少人数はバトルロイヤルの面白さを損なってしまうのではないだろうか?
Ilvesが説明を続ける。
「FPSとトップダウン型MOBA / バトルアリーナタイトルは全くの別物だということを意識することが重要です。最大20人というのは、『フォートナイト』や『PUBG』などと比較すると数字的には少なく感じるかもしれません。ですが、『Battlerite』のようなMOBA系タイトルには丁度良い人数なのです」
「この『Battlerite』はアーケード的なスピーディなアクションが特徴のゲームですので、今回もゲーミングエクスペリエンスのスケールアップと新要素の追加を行いながら、この特徴を維持しようとしています」

ファンのリアクション

lvesは、Stunlock Studiosは『Battlerite Royale』でも『Battlerite』の中核を維持しようとしていると発言しているが、彼らの公式発表は、コミュニティ内に2つの対立する意見を生み出した。
このモードのポテンシャルに好意的な反応を示すファンがいた一方、そもそも『Battlerite』にバトルロイヤルモードを追加する意味があるのかと疑問を投げかけるファンもいた。
Ilvesは次のように説明する。
「コミュニティ内の反応は様々でしたが、これは想定内でした。このモードのゲームプレイ映像はまだ公開していませんし、分からないものに対して不安に思うのは当然です」
「ですが、最近は疑問視していたプレイヤーの多くがプレイしてみたいと思い始めているようです。僕たちが情報やゲームプレイを公開していけば、コミュニティからの興味も高まっていくはずです」
「この『Battlerite Royale』が通常のアリーナモードより大きな人気を得るようになっても驚かないでしょう。最高のバトルロイヤルモードになるために必要なあらゆるアップデートを加える準備は出来ています
Battlerite Royale crypt screenshot
各マッチは10分程度になる© Stunlock Studios
『Battlerite Royale』が少なくとも一時的に『Battlerite』を盛り上げるのは確かだ。
7月後半にこのモードが実装されれば、世間からの興味が高まり、プレイヤー数はすぐに伸びを見せるだろう。
また、『Battlerite Royale』は、MOBA系タイトルを好んでいるプレイヤーたちにユニークなサバイバルバトルの緊張感を知ってもらうチャンスを提供することになるので、バトルロイヤルモードが重用されているタイトルとは違う立ち位置も得られるだろう。
最後の重要な疑問は、『Battlerite Royale』の人気がどれだけ続くかは関係なく、オリジナルのアリーナモードがどのような扱いになるのかということだ。
アリーナモードは『フォートナイト』の「世界を救え」のようなサブモード的な扱いになるのだろうか? Ilvesは「ノー」と回答し、次のように続ける。
「アリーナモードに力を割いていないわけではありません。最適なバランスを見つけ、正しい判断を下しながら『Battlerite』全体をゲームとして成長させていくことが重要です
「どちらのモードも妥協するつもりはありませんし、お互いに邪魔することなく、それぞれの目的を遂行できるゲームに仕上げたいと思っています」
「両モードに力を入れていきますし、年末までには新しいチャンピオンも追加する予定です。『Battlerite』は2016年に生み出されたゲームですが、今も好調を維持しています」
「アリーナモードのベテランとバトルロイヤルモードの新規プレイヤーの両方に明るい未来が待っているでしょう」
どんな未来になるのかはまだ分からないが、2018年7月後半の『Battlerite Royale』の実装が『Battlerite』にどのような変化を加えるのかは実に興味深いポイントだ。注意深く見守りたい。
    
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