An athlete spinning in front of a gym mirror.
© Scott Webb
フィットネス

トータルボディワークアウトに取り入れるべき基本エクササイズ 7選

複数のエクササイズを手当たり次第こなしても全身は鍛えられない。正しい方法論とテクニックが必要なのだ。
Written by Ben Longley
読み終わるまで:7分公開日:
1日の大半をデスクワークに費やしている現代人は、姿勢の問題筋肉の不均衡慢性的な身体の痛みなどを抱えがちだ。これを踏まえれば、日々のワークアウトをどう構築するかがいかに重要かが理解できるだろう。
エクササイズは可動性運動機能筋力心肺機能を向上させるため、日常生活で生じる身体のマイナス要因を解消できる。
また、エクササイズは体脂肪の燃焼を促進して筋肉に張りを生み出し、柔軟性を高めて身体の各部の痛みを解放するなど、極めて重要な結果をもたらしてくれる。
このようなエクササイズを複数組み合わせたトータルボディワークアウトは、努力に見合った最大限の成果をもたらしてくれる可能性がある。
トータルボディワークアウト、つまり全身ワークアウトは、基本エクササイズを正しく行って全身の筋肉を刺激することがカギだ。これができれば新陳代謝が向上し、多くのカロリーを燃焼できるようになる。
今回は、トータルボディワークアウトに取り入れるべき7つの基本エクササイズを、パーソナルトレーナーのベン・ロングリーに解説してもらおう。

1. デッドリフト

An athlete prepares to deadlift a barbell.

デッドリフトは最高のフルボディワークアウトのひとつ

© Courtesy of Ben Longley

デッドリフトは最高の全身運動のひとつで、他のどの単独エクササイズよりも多くの筋肉を刺激してくれます。
デッドリフトの基本は、何らかの重いウエイトを床から引き上げる動作です。単独のエクササイズとしては、機能性筋力増強体脂肪燃焼の面でベストと言えますが、日常生活でも数多くの実用的な効果をもたらします。
脊髄をしならせずに腰を曲げる方法、つまり、"ヒンジ(ちょうつがい)" 的に腰を曲げる方法を知ることは、このエクササイズに不可欠です。ウエイトを使うエクササイズなので、最初は軽いウエイトから始めて、時間をかけて正しいテクニックを習得することが極めて重要です。
デッドリフトは、フォームやテクニックの情報が間違って伝えられることが多いエクササイズです。間違ったデッドリフトは自分に悪影響をもたらすと覚えておくべきでしょう。
デッドリフトの正しいやり方が分からない人は、トレーナーに手本を見せてもらいましょう。
デッドリフトで主に使われる筋肉は、ハムストリングス大臀筋背中全体の筋群などで、姿勢向上に極めて高い効果をもたらします。デッドリフトは背中にある全ての筋肉を強化して、姿勢を "まっすぐに" してくれます。

2. スクワット

An athlete in the middle of a squat routine in the gym.

スクワットは "エクササイズの王様" と呼ばれる

© Courtesy of Ben Longley

スクワットは多くのフィットネス専門家に "エクササイズの王様" と呼ばれていますが、これには十分な根拠があります。
正しいスクワットを行うには可動性安定性機能性強度のバランスを維持する必要がありますが、これができれば、素晴らしい全身運動になります。
誰もが正しい姿勢でコントロールされたディープスクワットができるようになり、フィットネス運動機能QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の基本レベルを維持すべきだと思います。
スクワットは脂肪燃焼効果が高く、身体の多くの筋肉を刺激します。スクワットは脚の筋肉を使うだけのエクササイズではなく、全身を使うエクササイズです。ウエイトを増やせばその効果はさらに高まります。
スクワットは主に大腿四頭筋大臀筋ハムストリングス腰周りの筋肉に効果があります。

3. ランジ

An athete lunges in the gym.

スクワットと同様、ランジも安定性向上に効果絶大

© Courtesy of Ben Longley

ランジもまた非常に優れたエクササイズで、スクワットと同様の効果をもたらしますが、片方の脚を動かしながら身体を連携させてバランスを取るので、安定性も求められます。
ランジでは、スクワットで使う筋肉(大腿四頭筋大臀筋ハムストリングス腰背部の筋肉)に効果があるだけでなく、不安定なスタンスでバランスを保つために必要な小さい補助筋群にも効果をもたらします。
背中に慢性的な痛みを抱えている人、スクワットを正しく行えないような人にとって、ランジは優れた選択肢になりえます(スクワットとランジの両方を行うのが理想ですが)。
ランジで高められた運動機能は、ウォーキングランニングをはじめとする他の運動にも大きなメリットをもたらします。
尻の安定性低下は高齢者の転倒事故の主な要因のひとつです。また、座ったまま長時間仕事をする現代のライフスタイルでは、残念ながら尻の補助筋群が弱くなり、 "不活性化" してしまいます。

4. プッシング

An athlete does a push-up in the gym.

プッシングでは胸筋・肩筋・上腕三頭筋を組み合わせて使う

© Courtesy of Ben Longley

プッシングは、文字どおり「押す(プッシュ)」動作を伴うエクササイズです。
プッシングから枝分かれしたものが、ホリゾンタル・プッシング(腕立て伏せ)やバーチカル・プッシング(頭上にあるウエイトを押し上げる動作)です。
プッシング系エクササイズでは、どれも肩の筋肉上腕三頭筋を連動させます。押し上げる角度によって、これらの筋肉に少しずつ異なった刺激や動作を加えるのです。
プッシング系エクササイズは大半のトレーニングプログラムに導入される最も一般的なエクササイズですが、このあとに紹介する "プリング" 系エクササイズとのバランスを意識しないと、筋肉の不均衡や肩痛、深刻な姿勢の問題などを招きかねません。
プッシング系エクササイズは確かに重要ですが、他のエクササイズを犠牲にしてまでやり過ぎてしまうのは避けたいですね。

5. プリング

An atlete pulls on some wall-mounted resistance hoops.

デスクワークで悪化した姿勢を矯正するにはプリングが必須

© Courtesy of Ben Longley

プッシングと逆のプリングは、「引く(プル)」、またはローイングの動作を伴います。
プッシング系エクササイズと同様、プリング系エクササイズもホリゾンタル・プリング(シーテッド・ロー)やバーチカル・プリング(懸垂)に分けられます。
ホリゾンタル・プリングは背中の姿勢筋全体を強化し、デスク着座時特有の猫背気味で丸くなった肩の姿勢矯正を助けるので、普段デスクワークをしている人にとっては必須のエクササイズです。
デスクワーカーなら「プッシング系エクササイズ1種類にプリング系ムーブメント2種類を組み合わせる」を基本ルールとして意識しておくのが良いでしょう。

6. ローデッドキャリー

ローデッドキャリーは、重いウエイトを持ちながら歩くシンプルなエクササイズです。使用するウエイトはダンベルやケトルベル、バーベル、サンドバッグなど、何でも構いません。
安全性が確保されているなら、ウエイトの種類や持ち方を変えてみるのも良いでしょう。
シンプルで簡単なバリエーションのひとつが、両手に重いケトルベルをひとつずつ持ち、パーフェクトな姿勢(頭上に本を置いたまま落とさないようなイメージ)で30〜60秒間歩く "ファーマーズ・ウォーク" です。
ローデッドキャリーは筋力強化に大きな効果があり、体幹と臀部の安定性背中の筋肉握力、そして身体全体のコンディションを大いに高めてくれます。

7. フロントプランク&サイドプランク

An athlete planking in the gym.

体幹強化に絶大な効果をもたらすプランク

© Courtesy of Ben Longley

体幹の無駄な動きを抑え、背中や尻の安定性を高めてくれるプランクは、最高の体幹エクササイズと言えます。
椎間板を痛める可能性があり、脂肪燃焼効果も低く、運動機能の向上があまり期待できないシットアップ(上体起こし)やクランチの代わりに、体幹の安定性を高めてくれるプランクの様々なバリエーションにトライしてみましょう。
なんとなくプランクの姿勢を取るのではなく、肘を爪先に向けて引き寄せて脚をまっすぐにし、大臀筋の引き締めを意識しながら身体を緊張させてみましょう。

[Profile] ベン・ロングリー

ベン・ロングリーは12年のキャリアを誇る筋力強化トレーニング・運動機能性・脂肪燃焼専門のパーソナルトレーナーで、現在はオーストラリア・メルボルン市内、セント・キルダ・イーストにあるパーソナルトレーニング&グループトレーニング施設「The Fit Stop」のオーナーを務めている。
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