サム・シモンズ
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ラグビー

ラグビー用フィットネス&スキルドリル 4タイプ

ブレイブ・ブロッサムズ(ラグビー日本代表の通称)の活躍は “トレーニングが結果に繋がる” を実証していた。ラグビーの試合に欠かせないフィットネスとパス、反応スピードを同時に鍛えられるドリルを4種類紹介しよう。
Written by Amy Golby
読み終わるまで:8分公開日:
昨今のラグビーをじっくりみていて、感じることがあるとすれば、それは「フィットネスに優れているチームが勝つ」だろう。
フィットネスに優れているチームは80分を通じて同じ強度でプレイできるため、その分だけ攻撃のチャンスを増やせる。そしてそのようなチームはリザーブを含めた全員が優れたストレングスとエナジーを備えている。
プレシーズンを通じてフィットネスドリル(ストレングストレーニングも同時進行)に取り組めば、スピードストレングス爆発力を大幅にアップできる。同時に、シーズンを通じてスキルベースのドリルに取り組めば、反応スピード判断力も維持できる。
というわけで、今回はマイチームを栄光に導いてくれるスキル&フィットネスドリルをGIF画像と共に紹介・解説する。次のチーム練習で取り入れてみよう。

《ウォームアップ》

ワークアウト概要
運動強度&時間:最大心拍数40~50% / 自覚的運動強度(RPE)13~14(Borgスケール)で10分(以下のエクササイズ1種類につき2分)。
  • もも上げ(25~30回)
  • ヒールフリック(25~30回:かかとが尻につくまで足を後方に跳ね上げながら走る)
  • アンクルフリップ(25~30回:母指球を使って片足ずつジャンプしながら前進する)
  • ウォーキングランジ(12回:片脚を前に踏み出しながら、後脚の膝が床につくくらいまで身体を沈ませる。この時に前脚は膝がつま先より後方に位置するようにする。交互に行う)
  • オープン&クローズゲート(素早く3ステップで前に出たら、4ステップ目の脚を真っ直ぐ引き上げながら股関節を使って外側へ開き、閉じながら下へ降ろす。膝でハート半分を描くイメージ。降ろした足をステップ1としてカウントすれば両脚交互になる)

《ドリル1:スキル サーキットトレーニング》

ワークアウト概要
運動強度&時間:最大心拍数50~70% / 自覚的運動強度(RPE)15~17(ギリギリ会話ができる程度)で合計20分。各エクササイズ1分(40秒+20秒休憩)を5種類こなして1セット。これを4セット繰り返す。
  • レフトサイド・メディシンボールパス
  • ライトサイド・メディシンボールパス
  • オーバーヘッド・メディシンボールパス
  • サイドシャトル(パス / コーンタッチ)
  • フォワードシャトル(アップ&ダウン)
目的:このサーキットトレーニングは心臓血管系フィットネスを高めながら、プレッシャーがかかる試合中のボールハンドリングスキル反応スピードを鍛える。
1. レフトサイド・メディシンボールパス
自分の左2mほどの位置にパートナーに立ってもらう。メディシンボールをそのパートナーに投げ、パートナーから投げ返してもらう。40秒繰り返して20秒休憩する。
2. ライトサイド・メディシンボールパス
自分の右2mほどの位置にパートナーに立ってもらう。メディシンボールをそのパートナーに投げ、パートナーから投げ返してもらう。40秒繰り返して20秒休憩する。
3. オーバーヘッド・メディシンボールパス
2mほど離れてパートナーと向き合って立つ。ラインアウトやサッカーのスローインのように頭を越えてメディシンボールをパートナーに投げ、パートナーから投げ返してもらう。40秒繰り返して20秒休憩する。
4. サイドシャトル(パス&コーンタッチ)
コーンを2本用意する(3~4m離して置く)。サイドステップでコーンまでダッシュしてタッチ。パスを受けてからすぐにパスを戻し、サイドステップで逆のコーンへ向かってタッチする。逆サイドのコーンでもパスを受けてすぐに戻す。40秒繰り返して20秒休憩する。
5:フォワードシャトル(アップ&ダウン)
コーンを三角形に配置する(それぞれ3~4m離す)。頂点からダッシュでひとつのコーンへ向かい、コーンでバーピーしたあとコーンへダッシュで戻る。逆サイドのコーンへ向かい繰り返す。40秒繰り返して20秒休憩する。

《ドリル2:スプリント サーキットトレーニング》

ワークアウト概要
運動強度&時間:最大心拍数60~70% / 自覚的運動強度(RPE)15~17(ギリギリ会話ができる程度)で合計20分。以下の5種類のエクササイズを1分(40秒+20秒休憩)ずつこなして1セット。これを4セット繰り返す。
  • 20mスプリント
  • Tラン
  • ジグザグ
  • 20mミックススプリント
  • キャッチミー・イフ・ユー・キャン
目的:このサーキットトレーニングは心臓血管系フィットネスを高めながら、スピードアジリティも鍛える。複数のダッシュとムーブパターンを用意してスピードやペースがランダムに変化する試合をシミュレートする。
1. 20mスプリント
できる限りのスピードで20mスプリントしたあと、スプリントで戻ってくる。40秒繰り返して20秒休憩する。
2. Tラン
コーンをT字型に配置する。横棒は5~10m間隔で3個配置し、縦棒も同じ間隔で3個配置する。縦棒の下から横棒までスプリントしたあと、サイドステップで左から中央、中央から右、右から中央と動き、そこからバックスプリント(後ろ向きダッシュ)でスタートポジションまで戻る。40秒繰り返して20秒休憩する。
3. ジグザグ
距離15mに5m間隔でコーンをジグザグに配置する。コーンからコーンまでのジグザグルートをすべてスプリントしながらスタートポジションまで戻る。40秒繰り返して20秒休憩する。
4. 20mミックススプリント
スタートポジションから7m・12m・20mの位置にコーンを配置する。最初のコーンまで全速力でスプリントしたあと2番目のコーンまで少し減速し、3番目のコーンまでまた全速力でスプリントする。同じパターンでスタートポジションまで戻る。40秒繰り返して20秒休憩する。
5. キャッチミー・イフ・ユー・キャン
10m四方の正方形の頂点にコーンを4個配置し、ひとつの対角線の中央に50cm間隔でコーンを2個配置する。対角線が出ている頂点のどちらかからパートナーと同時にスタートする。
頂点から対角線上をスプリントして中央のコーンをジグザグに抜けたあと、スプリントで逆側の頂点へ向かう。パートナーも同じ頂点からスタートするが辺で繋がっている頂点へスプリントしたあと、さらに隣の頂点へスプリントする(正方形2辺をスプリント)。2人とも同じルートで戻ったあとでルートを交換する。40秒繰り返して20秒休憩する。

《ドリル3:テンポワーク&パススキル》

ワークアウト概要
運動強度&時間:最大心拍数70%(最大85%) / 自覚的運動強度(RPE)15~17。EMOM(Every Minute On the Minute)で20~30分。
  • EMOMラン
  • EMOMラン(パートナーとパス交換)
EMOMとは:1分で区切るインターバルトレーニングだが、エクササイズの強度・内容を問わず「1分以内に終えればその分だけ次のエクササイズまで休憩できる」という点が通常のインターバルトレーニングと異なる。
目的:ラグビーの試合中に起きるペースチェンジをシミュレートすることで試合用フィットネスを向上させる。パススキル判断力も鍛える。
グラウンドを3分の1の長さずつランする。上半身を起こした正しいランニングフォームの維持を意識する。6本走ったら、ボールを使ってパートナーと一緒にグラウンドの端から端までパスランで往復する。
以上をEMOMで14~24分続ける(1分以内に終えたらその分だけ次のランまで休憩できる)。

《ドリル4:テンポダウン&アップ インターバル》

ワークアウト概要
運動強度&時間:最大心拍数70~80%(最大85%) / 自覚的運動強度(RPE)15~17で、40秒動いたら80秒休憩する。これを5~10セット繰り返す。
  • インターバルラン(+バーピー)
目的:このドリルはフィットネス・スピード・アジリティ・フットワークスキルを鍛える。
グラウンドのハーフウェイラインからスタートする。ハーフウェイライン上でバーピーをしたら、10mラインまでバックスプリントする。10mライン上でバーピーをしたあと、全力で逆サイドの10mラインまでスプリントする。そこでまたバーピーをしたあと、バックスプリントでハーフウェイラインまで戻る。
以上を40秒繰り返したあと80秒休憩して1セット。これを5~10セット行う。