人生初のトライアスロンに挑む人は、このスポーツを厄介に感じるはずだ。3種目なので、その分だけハードトレーニングとギアの数が増えるからだ。
トライアスロンギアの中には、安価ながら運動能力向上への効果が高い製品もあれば、高価なだけであまり意味のないものもある。また、複数種目のトレーニングに役立つものもある。
IRONMANでの豊富な実戦経験を持つニック・ブスカが選んだ、トライアスロン初心者用必携アイテムとトップレベル用ハイエンドアイテムを紹介しよう。
石
ジョークじゃないよ。僕のスイムトレーニングにこの "拷問道具" が登場した時は、コーチがまるで映画『ロッキー』シリーズに出てくる鬼トレーナーのように見えたものさ。
コーチの説明は極めて簡潔なものだった。「両手に石を掴んだまま泳ぎ、ハイエルボーキャッチに集中しろ」ってね。これは過酷だけど効果的だ。オープンウォーターに対応できる強力なストロークを身につけられるから、波が荒れていても大きなアドバンテージを確保できるようになる。
アンクルストラップ&プルブイ
ランニングやサイクリングから転向したトライアスリートの多くは、"スイムは凌げばOK" と誤解しがちだが、実際は違う。
トライアスロンとはスイム / バイク / ランが三位一体となったスポーツで、スイムをバイクとランのためのウォームアップとして捉えるのは間違いだ。正しいツールに投資すれば、ストロークの効率が高まり、タイムを大幅に向上できるんだ。
プルブイは尻を引き上げて脚が下へ沈むクセを矯正するから、無駄のないポジションの獲得や水の抵抗を減少させる助けになる。
これにアンクルストラップを組み合わせれば、体幹が連動するから、水面近くで脚をまっすぐにキープできるようになる。非常に効果の高いトレーニングエクササイズになるんだ。
オートロック・シューレース
いわゆる "マージナルゲイン(限界利益)" と呼べるかもしれないけれど、どんなタイプのシューズでも装着可能なオートロック・シューレースは、最も簡単にトランジションのタイム短縮が実現できるアイテムだ。
仕組みはシンプルで、あらかじめ自分の足のサイズに合わせてセットしておけば、シューズを履き替える際にわざわざ締める手間が省ける。サイクリングシューズからランニングシューズへの履き替えが瞬時に行えるというわけさ。
レース時の気温が高いと足がむくむから、途中で緩めなければならなくなるかもしれない。最初からきつく締め上げないようにしておきたいね。
心拍計ストラップ
心拍計ストラップ(あるいは心拍計モニター)は、自分のパフォーマンスを数値化して分析するための必須アイテムだ。
心拍計ストラップを効果的に活用するには、ベンチマークテストで最大心拍数を見極め、スレッショルド心拍数を見出す必要がある。このテストを定期的に行えば、心肺機能の向上を確認できるから、アスリートとしてどこまでプッシュできるかが分かるようになる。
トライスーツ&ウェットスーツ
トライアスロンレースはほとんどが湖や川、外洋を含めた海など厳しい自然環境の中で行われるので、トライスーツは最初に手に入れるべきアイテムだ。
トライスーツはスイム / バイク / ラン全ての環境で使用できるようにデザインされているけれど、3つの異なる環境に1種類で対応するわけだから、長所だけではなく短所も存在する。
トライスーツには様々なモデルや価格帯が存在し(あらゆるコンディションに対応したスリーブレスやロングスリーブのモデルがある)、また高温環境でのレースに適したハイクオリティな通気性素材を使用した製品もある。
とはいえ、低温のオープンウォーターでスイムするなら、ウェットスーツが必要になる。
ウェットスーツには様々なメリットがある。たとえば、若干の浮力を得られるからより速く泳げるし、体温の低下も防げる。ウェットスーツ着用前にワセリンを体に塗って擦過傷を防ごう。
トライアスロン用腕時計
トライアスロン用腕時計に進捗を記録しておけば、向上が確認できた時に満足感が得られるし、"その場にいないコーチ" にパフォーマンスをチェックしてもらうこともできる。
記録を見れば、コーチはトレーニングルーティンに変更を加える必要があるかどうかのアドバイスを送れる。優れたトライアスロン用腕時計があればこれが可能になる。
ターボトレーナー
寒くて雨の多い冬は、ターボトレーナーが最高の投資先だ。正直に言わせてもらえれば、自動車の排気ガスや渋滞に悩まされないインドアトレーニングは、たった1時間でもフィジカルに大きな恩恵をもたらしてくれる。
市場にはたくさんのターボトレーナーが出回っているけれど(サードパーティ製のアプリやオンラインのトレーニングプラットフォームと連動できる優れた製品もある)、エントリーレベルの製品でも十分な運動ができるし問題ない。
Zwift(MMOゲーム形式のサイクリング&ランニング向けトレーニングプログラム)に興味があるなら、 "スマート" なターボトレーナーが必要になる。Zwiftはランニングにも適しているよ。
パワーメーター
さらに正確なトレーニングを志すなら、パワーメーターが自然な選択と言えるね。パワーメーターはバイク(ペダルやクランク、ハブなど)にマウントして使用するデバイスで、ライディングのワット数を教えてくれる。
この複雑なメカニズムから恩恵を得るためには、綿密なトレーニングプログラムが必要になるけれど、サイクリングの知識と効率性を高めたいなら、パワーメーターの導入は必須だ。
タイムトライアルバイク&エアロヘルメット
トライアスロンのフルディスタンスや中距離のバイクライドなど、バイクに乗る時間が長い人は、タイムトライアルやトライアスロンのためにデザインされたバイクを導入するのが良いだろう。
これらのバイクが持つエアロ形状はレースで大きな違いを生み出すけれど、フレームとシートが自分のスタンスとスタイルに適しているかどうかを購入前に必ず確認しておきたい。
タイムトライアル用のヘルメットやエアロホイールも、長距離コースで大きなアドバンテージを生む。
Cervelo P5X Lamborghini limited edition
トライアスロン用バイクの最高級ブランドとして知られるCerveloと、イタリアきってのハイパーカーブランドであるLamborghiniが手を組めば、スピードを追求したバイクが生まれるのは自明の理だ。
Cervelo P5X Lamborghini limited editionはロケットのような速さを備えたバイクだけど、非常に希少だから(生産台数はわずか25台。価格は約226万円)、先にいくつかのメジャーイベントで表彰台フィニッシュをしておいた方が良いかもね。