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サーフィン

【サーフィン史上最大の波は?】ビッグウェーブ ベスト10

ビッグウェーブサーファーたちが限界突破のためにトレーニングを続けている中、彼らが制覇する波のサイズは巨大化を続けている。現時点でのベスト10を紹介しよう。
Written by Esther Hershkovits
読み終わるまで:10分公開日:
ポルトガル・ナザレ“プライア・ド・ノルテ” ほど私たちに驚きと畏怖とインスピレーションを与える波はほとんど存在しない。
ポルトガルのサーフシーンの頂点に位置するこのポイントは、北半球に冬が訪れるたびに30m級の波を定期的に生み出しており、ここを訪れるサーファーたちはミスをすれば自動車事故と同レベルの衝撃を受けることになることを理解しながら、最高時速80kmのライディングに挑んでいる。
00年代中頃から、ポルトガルの漁村ナザレはイワシ、イカ、マグロと同じようにビッグウェーブサーファーたちも釣り上げており、このポイントのパイオニアとして知られるギャレット・マクナマラが2011年にサーフ史に残る23mのビッグウェーブに遭遇したあとは、マウイ島のジョーズカリフォルニア州のマーベリックスと同じようにここでもビッグウェーブ世界記録が次々と生まれるようになった。
ナザレに挑むカイ・レニー

ナザレに挑むカイ・レニー

© Mattias Hammer

大半のサーファーが最大限の注意を払ってナザレの波に挑んでいるが、世界で最も経験豊かなウォーターマンとして評価されているカイ・レニーはこのサンドボトムピークを自分のプライベートパークのように扱っており、巨大なスウェルへトーイングされたあとはいくつものフリップやスピンをメイクしている。
「僕にとって海はバッテリーのようなものです。海に入るとエナジーをもらえるんですよ。逆に海から上がっているときは同じエナジーは得られていません。目の光も少し失せていると思います(笑)。海は自分の魂のための存在です。波に乗っているときのフィーリングは最高ですね」
レニーはトーインサーフィン、ウィンドサーフィン、長距離SUPなどありとあらゆるオーシャンボードスポーツのイベントで勝利を経験しており、そのユニークな人生はRed Bull TVにドキュメンタリーシリーズとしてまとめられている
ポルトガル・ナザレで人生最高の波に出会ったジャスティン・デュポン

ポルトガル・ナザレで人生最高の波に出会ったジャスティン・デュポン

© Rafael G. Riancho / Red Bull Content Pool

しかし、レニーはビッグウェーブ最大記録保持者ではない。この記録は男女ハードチャージャーにとっての聖杯であり、ジャスティン・デュポンルーカス・キアンカイアン・ウォルシュグラント・ベイカーたちは【Red Bull Big Wave Awards】でその功績を称えられている。
レニーが彼らと肩を並べるつもりなら、以下に紹介する10のビッグウェーブのいずれかを上回る必要がある。今回はビッグウェーブベスト10を見ていこう。
01

26.2m(プライア・ド・ノルテ / ポルトガル)

  • サーファー:セバスチャン・シュトイトナー(ドイツ)
  • 記録日:2020年10月29日
ナザレでのセバスチャン・シュトイトナー

ナザレでのセバスチャン・シュトイトナー

© Bruno Aleixo

ドイツは内陸国ではないが、トップサーファーを輩出する国でもない。だからこそ、セバスチャン・シュトイトナーの世界記録はひときわ素晴らしい。シュトイトナーは高所に目まいを覚える体質のため、26.2mの波に挑むには不利だったが、2020年10月29日にナザレで全高26.2mのビッグウェーブを仕留めてギネス世界記録を更新した。
3年が経った今もこの記録は更新されておらず、サーフシーンの目標となっている。今冬のエルニーニョ現象が記録更新を狙えるコンディションを用意してくれることに期待したい。
02

24.4m(プライア・ド・ノルテ / ポルトガル)

  • サーファー:ロドリゴ・コウシャ(ブラジル)
  • 記録日:2017年11月8日
プライア・ド・ノルテでのカルロス・バーレとロドリゴ・コウシャ

プライア・ド・ノルテでのカルロス・バーレとロドリゴ・コウシャ

© Hugo Silva

シュトイトナーが現れるまでは、2017年に24.4mを制覇していたブラジル人のロドリゴ・コウシャがビッグウェーブ世界記録保持者だった。
ブラジル人サーファーたちは過去10年の男子CTツアーを席巻しており、その活躍は “ブラジリアン・ストーム” と呼ばれているが、ブラジルにビッグウェーブのサーフポイントはほとんどない。この事実がコウシャの記録をさらに輝かせている。ビッグウェーブを求め続けた彼の献身は称賛に値する。
03

23.8m(プライア・ド・ノルテ / ポルトガル)

  • サーファー:ギャレット・マクナマラ(米国)
  • 記録日:2011年11月1日

2分

ギャレット・マクナマラが語るナザレ

ナザレのビッグウェーブを世界に広めた人物がその魅力を語る(英語音声)。

ギャレット・マクナマラは、ナザレをワールドクラスのビッグウェーブのひとつとして世界に知らしめた人物として知られている。2000年代中頃にポルトガルを初訪問して以来、このハワイ出身のサーファーは人生をナザレに費やしており、その過程でこの小さな漁村をビッグウェーブサーフィンのメッカに育て上げた。
プライア・ド・ノルテのビッグウェーブサーファー第一世代に含まれるマクナマラは、ナザレのローカルコミュニティと一緒に努力を重ねてここでのビッグウェーブサーフィンに必要な安全手順を確立させた人物でもある。マクナマラが2011年11月に23.8mのビッグウェーブをキャッチして世界記録を打ち立てたのは、それまでの努力に相応しい結果と言える。
04

23.5m(コルテス・バンク / 米国カリフォルニア州)

  • サーファー:マイク・パーソンズ(米国)
  • 記録日:2008年1月5日
インタビューを受けるマイク・パーソンズ

インタビューを受けるマイク・パーソンズ

© Peter Hamblin/Red Bull Content Pool

ビッグウェーブは気まぐれで、1年に数回しか見られないものも少なくない。2008年にカリフォルニアのローカルサーファー、マイク・パーソンズが仕留めたコルテス・バンクもそのようなレアビッグウェーブのひとつに数えられている。
“カリフォルニアの怪人” として知られるコルテス・バンクはサンディエゴの160km沖に位置しており、ここでのライディングにはスウェルの正確な予測とボート数隻、綿密な準備が必要になる。
また、予測不可能な海原とそのすぐ下に隠れている小島群によってこのポイントまでの道中はサーフィンと同じくらい困難だが、すべての条件がパーフェクトに揃えば、2008年のパーソンズとトーイングを担ったブラッド・ガーラックと同じように人生最大の波をキャッチできるかもしれない。
05

22.8m(コルテス・バンク / 米国カリフォルニア州)

  • サーファー:ジャスティン・デュポン
  • 記録日:2023年1月13日
カリフォルニア沖でビッグウェーブに挑むジャスティン・デュポン

カリフォルニア沖でビッグウェーブに挑むジャスティン・デュポン

© Frank Quirarte/Red Bull Content Pool

サンディエゴの160km沖に位置するコルテス・バンクはサーフシーンのワイルドフロンティアだ。2023年初頭、ジャスティン・デュポン、ルーカス・チアンカ、そしてビッグウェーブサーフィンのベテランたちがボート、ジェットスキー、救命艇に乗り込んで、海面下の小島群の頂上でブレイクするビッグウェーブに挑んだ。
エディー級のそのビッグウェーブへの挑戦は素晴らしい結果に終わった。一番の活躍を見せたのはデュポンで、彼女が制した22.8mのビッグウェーブは女子最大記録に申請中だ。
06

22.4m(プライア・ド・ノルテ / ポルトガル)

  • サーファー:マヤ・ガベイラ(ブラジル)
  • 記録日:2020年2月11日

5分

Maya Gabeira Returns To Nazaré

Maya Gabeira Returns To Nazaré

レジリエンスはビッグウェーブサーファー共通のテーマだ。彼らはいくらトレーニングをしても恐ろしいアクシデントを防げないことを理解している。このことを誰よりも知っているのが、2013年のナザレで命を失いかけたマヤ・ガベイラだ。
Red Bull TVのドキュメンタリー番組に記録されている通り、ガベイラの復帰までの道のりは簡単ではなかった。彼女が呑み込まれた波はとてつもなく大きく、当時の世界記録を狙えるものだったが、2020年、彼女は7年前に自分を生死の境へ追いやった場所で22.3mのビッグウェーブを制し、見事なカムバックを飾った。
07

22.3m(プライア・ド・ノルテ / ポルトガル)

  • サーファー:フランシスコ・ポルチェラ(イタリア)
  • 記録日:2016年10月24日
サーフ史上最大級のワイプアウト

サーフ史上最大級のワイプアウト

© Ben Thouard

リベンジのストーリーはビッグウェーブシーンでは日常的に語られており、2016年にフランシスコ・ポルチェラがナザレで記録したビッグウェーブもそのひとつに含まれる。
チョープージョーズでいくつもの命を脅かすワイプアウトや背中の怪我を経験したあとも、ポルチェラのビッグウェーブを求める心は折れていなかった。世界記録更新となったナザレのビッグウェーブをキャッチしたあとも、ポルチェラは世界のビッグウェーブに挑み続けており、ヨーロッパや大西洋、フィジーや地元ハワイなどを巡っている。
08

21.6m(ジョーズ / 米国マウイ島)

  • サーファー:ユーリ・ソレダデ(ブラジル)
  • 記録日:2016年2月25日
ジョーズに挑むユーリ・ソレダデ

ジョーズに挑むユーリ・ソレダデ

© Arquivo Pessoal/Bidu

ブラジル生まれハワイ在住のソレダデは、子どもの頃は両親に隠れてサーフィンをしなければならなかった。なぜなら、両親はサーフィンを怠け者がやるものとして捉えていたからだ。また、ソレダデはいくつかのインタビューで、今の地位に辿り着くまでは無数の障害物を乗り越えなければならなかったことを明かしている。
2016年に彼が制圧したジョーズは今回のリスト最大ではないが、チューブライドに成功した唯一のケースで、このときの技術的難度が相当高かったことを示している。
09

21.6m(プライア・ド・ノルテ / ポルトガル)

  • サーファー:セバスチャン・シュトイトナー(ドイツ)
  • 記録日:2014年12月11日
ポルトガルへ移住したセバスチャン・シュトイトナー

ポルトガルへ移住したセバスチャン・シュトイトナー

© Jeff Flindt

ドイツ人サーファーのセバスチャン・シュトイトナーは、ナザレのビッグウェーブに挑むチャンスを最大限増やすためにポルトガルへ移住した。今回のリストの1位と9位に彼がランクインしているのは、その移住が成功だったことを示している。
10

21.5m(プライア・ド・ノルテ / ポルトガル)

  • サーファー:ジャスティン・デュポン(フランス)
  • 記録日:2020年2月11日
ポルトガル・ナザレで人生最高の波に出会ったジャスティン・デュポン

ポルトガル・ナザレで人生最高の波に出会ったジャスティン・デュポン

© Rafael G. Riancho / Red Bull Content Pool

2020年2月11日は女子ビッグウェーブシーンにとって素晴らしい1日となった。ナザレでマヤ・ガベイラが22.3mの波を制した日に、同地でジャスティン・デュポンも21.5mの波を制したのだ。
【Red Bull Magnitude】のようなイベントが女性サーファーたちのビッグウェーブへの挑戦をサポートしている中、デュポンやガベイラのような刺激的な女性サーファーたちがその重要性を伝えている。
11

《パドル編》

19.2m(男子:ジョーズ / 米国マウイ島)

  • サーファー:アーロン・ゴールド(米国)
  • 記録日:2016年1月15日
パドルウェーブ世界記録を保持するアーロン・ゴールド

パドルウェーブ世界記録を保持するアーロン・ゴールド

© WSL/Brent Broza

2016年のWSL Big Wave Awardsビッグパドルウェーブ賞を受賞したアーロン・ゴールドは次のようにコメントした。
「凄いスピードで波が来たので、すぐに動く必要がありました。波に100%コミットしました。あとは皆さんご存じの通りです。終わったあとに周りからクレイジーだったと言われるまで、自分が何をしたのか分かっていませんでした」
「波に上手く拾ってもらえましたし、一度も後ろを見ませんでした。起きるべくして起きた結果ですし、ギネス世界記録を更新できて本当に嬉しいです」

13.3m(女子:アウターリーフ / 米国ハワイ)

  • サーファー:ローラ・エネバー(オーストラリア)
  • 記録日:2023年1月22日
パドルウェーブ女子世界記録を保持するローラ・エネバー

パドルウェーブ女子世界記録を保持するローラ・エネバー

© WSL/Daniel Russo

2023年初頭、CTツアーサーファーからビッグウェーブサーファーへ転向したローラ・エネバーが、オアフ島で13.3mのビッグウェーブをパドルで制してギネス世界記録を更新した。エネバーは世界記録更新が決定したあと、次のようにコメントした。
「パドリングしたときにかなりのサイズだということを理解しました。そのあと、テイクオフして下を見たときに、キャリア最大の波だと確信しました。人生最大の波だということが分かっていましたし、すべてが上手く噛み合っていました」
「入り方も良かったのでいけると思いましたし、私ならできると自分を信じました。あのライディングは自分にとってのブレイクスルーになりました。私のサーフキャリアにおいて特別な瞬間になるでしょう」
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