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Bonneville Speed Week
Meeting the drivers racing across the salt flats at Bonneville Speed Week. Featuring: Stacie B London, Ali and JD Youngblood, Mixed Nuts Racing, John Stoner, Jim Mosher and Mitsuhiro Kiyonaga
世界中のスピードフリークたちにとって速度記録の更新は至高の目標だ。
1997年のアンディ・グリーンのように超音速の壁を突破する可能性を少しでも手にするためには、多額の資金、科学的専門知識、そして鋼のような神経が必要になる。
そして、これらの条件を全て満たしたあとは、ネバダ州のブラック・ロック・デザートかユタ州の伝説的なボンネヴィル・ソルト・フラッツへ向かうことになる。
スピードの向こう側に飽くなき夢を追い求め続ける人たちの姿を追った上の映像をチェックしつつ、数々の歴史が刻まれてきた純白の塩類平原の基礎知識を読み進めていこう。
ボンネヴィルはどんな場所なのか?
ボンネヴィルは人名ではなく地名だ。ボンネヴィル・ソルト・フラッツは米国ユタ州とネバダ州の州境近くに位置し、その名前が示す通り、非常に広大でフラットな土地だ。1912年、スピードフリークたちがこの土地の性質を活かしてレースに使い始めた。
1935年以降、ボンネヴィルは速度記録挑戦のメインステージのひとつであり続けており、1935年から1970年にかけて多くの速度記録がこの場所で生まれた。1935年以前は、ほとんどの速度記録挑戦はビーチなどで行われていた。
ボンネヴィルで速度記録に挑むマシンのオンボード映像をチェック!

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Bonneville Speed Week: Youngblood POV
Meeting the drivers racing across the salt flats at Bonneville Speed Week.
なぜボンネヴィルが選ばれるのか?
厚い塩に表面を覆われいる広大な平原はハイスピード・ドライビングにパーフェクトだ。氷河期に形成されたこのエリアは、巨大な塩湖が干上がり、鉱床だけが残ったものだ(このような土地は塩類平原と呼ばれる)。
冬季に雨が降り、夏季に塩分で覆われた地面が固く締まるという繰り返しがパーフェクトなスピードウェイを生み出した。しかし、近年は、集中豪雨や低気温でイベントがキャンセルされるケースが相次いでおり、米国地質調査所は、このエリアを覆う塩の層は以前より50cm近くも薄くなっているとしている。
ボンネヴィルで記録された初の完全陸上速度記録*(outright land speed record)は、1935年にマルコム・キャンベル卿(英国人レーシングドライバー)があの有名なBluebirdで達成した。彼らは世界で初めて時速300マイル(約480km/h)を突破した。
以来104年間に渡り、ボンネヴィルは記録更新の舞台に選ばれており、これからも未来永劫モータースポーツの桃源郷であり続けるだろう。
* ・・・FIA公認の最高速度記録。車両のクラス・カテゴリー・グループは問わない。
現在の完全最高速度記録は?
現在の完全最高速度記録(FIA公認)を保持しているのは、英国のアンディ・グリーンとその驚速マシンThrust SSCだ。
1997年、グリーンはターボファン・ジェットエンジンを2基搭載したThrust SSCで時速1,227.986km/hを記録し、初めて超音速の領域に到達した。
ただし、この記録が達成されたのはボンネヴィル・ソルト・フラッツではなく、ネバダ州のブラック・ロック・デザートだ。実は、直近3回に渡る完全速度記録更新は全てブラック・ロックで達成されている。
最後にボンネヴィル・ソルト・フラッツで記録された完全最高速度記録は1970年10月23日、ゲイリー・ガベリックがロケットエンジン搭載のBlue Flameに乗って達成した時速1,014.656km/hで、彼は史上初めて時速1,000km/hの壁を突破した人物となった。
速度記録を計測しているのは誰?
困惑するほど多種多様な団体と記録が存在するが、完全速度記録は、FIA(Fédération Internationale de l'Automobile:世界自動車連盟)とFIA公認のローカルクラブが1マイル(1.609km)コースでフライングスタート計測を行い、1時間以内に計測した2本(往復)の平均速度が正式記録になる(復路は同じ走路でなくても良い)。
完全速度記録に挑むマシンの種類は?
相当数のマシンが驚くべき記録を残しているが、モーターサイクルによる速度記録は少ない。
しかし、1963年にジェットエンジンを搭載したSpirit Of Americaに乗ったクレイグ・ブリードラヴが、画期的な3輪マシンで当時の完全最高速度記録を更新している。
当初FIAはこれを公式記録として認めなかったが、のちに考えを改め、FIM(Fédération Internationale de Motocyclisme:国際モーターサイクリズム連盟)などの他団体と連携して複数の新カテゴリーを設立。過去の主流で、現在も標準的なホイール駆動マシンのカテゴリーや、ジェットエンジン推進の完全速度記録カテゴリーが追加された。
カテゴリー追加以降、エアロダイナミクスを限りなく追求した新しくて奇妙で素晴らしいルックスのマシンが次々と開発され、駆動ホイールを持たないマシンが最高速記録を保持するようになった。
現在では主に4つのメインカテゴリー(および無数の付帯カテゴリー)が陸上速度記録挑戦を認められているが、カテゴリーC(ジェットエンジン推進)が世界記録の頂点を独占している。
ボンネヴィル・ソルト・フラッツの現状は?
ボンネヴィル・ソルト・フラッツでは長らく完全最高速度記録は更新されていないが、2018年8月、ダニー・トンプソンが1968年に彼の父親ミッキー・トンプソンが最高速度記録に挑戦した際に使用したChallenger 2をレストアし、ホイール駆動マシンとしての最高速記録を更新した。しかし、この内燃機関を動力源としたホイール駆動のマシンの最高速記録は722.1km/hだった。
トンプソンは、1949年からボンネヴィル・ソルト・フラッツで開催されている伝統のイベント、Speed Weekでこの記録を達成した。あらゆる形状・サイズ・速度域のマシンが集うSpeed Weekでは、モーターサイクルの最高速度記録もたびたび破られている。
2005年〜2015年に全7シーズンが放映された米国のドラマシリーズ『マッドメン』のファンなら、主人公のドン・ドレイパーが最終話で1970年式のChevrolet Chevelleでボンネヴィル・スピードウェイのレースに挑むシーンを覚えているだろう。
ボンネヴィル・ソルト・フラッツに詳しくなりたいスピードフリークにオススメの映像作品としては、『The Donald Campbell Story』や『The World's Fastest Indian』などが挙げられる。
最高速度記録に挑むMixed Nuts Racingのオンボード映像をチェック!
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Bonneville Speed Week: Mixed Nuts POV
Meeting the drivers racing across the salt flats at Bonneville Speed Week.
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