Carlos Sainz after the stage 9 of Rally Dakar 2022 from Wadi Dawasir to Wadi Dawasir, Saudi Arabia on January 11, 2022.
© Flavien Duhamel/Red Bull Content Pool
ラリー

カルロス・サインツとは?:スペインモータースポーツシーンのパイオニアを知る

WRCとダカール・ラリーを複数回制し、F1ドライバーを息子に持つスペイン人モータースポーツレジェンドのキャリアをあらためて振り返る。
Written by Dave Rawlings
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WRC(世界ラリー選手権)を2度、ダカール・ラリーを3度制しているカルロス・サインツスペインが世界に誇るスポーツヒーローのひとりだ。
サインツが最も良く知られているのはWRCでの活躍だが、彼は昔からスポーツスターになる運命にあったように思える。サインツは幼少時にレアル・マドリードの入団テストを受け、16歳でスカッシュのスペインチャンピオンに輝いたあと、モータースポーツの世界へ飛び込んだのだ。
18年に及ぶWRCキャリアを送ったサインツは1990シーズン1992シーズンワールドチャンピオンに輝き、通算26勝・表彰台97回・ステージ優勝757回を記録した。
アウディRS Q e-tronで歴史を作ったカルロス・サインツ
アウディRS Q e-tronで歴史を作ったカルロス・サインツ
同郷のプロゴルファー、セベ・バレステロスがキャリアの終わりを迎えていた頃にサインツはワールドチャンピオンになった。彼は母国の空港で出迎えてくれるファンがいないかもしれないと不安に思っていたが、そう思う必要はなかった。なぜなら、空港には彼の新たなニックネーム “エル・マタドール” を連呼するファンが大勢待ち構えていたからだ。
サインツのコ・ドライバーを務めていたルイス・モヤは、当時の世界のスポーツ界はスペインを過小評価していたと振り返る。「当時のスペインはサッカーワールドカップも優勝していませんでしたし、バスケットボールも強くありませんでした。ラファエル・ナダルマルク・マルケスパウ・ガソルはまだ登場していませんでした。誰もいなかったのです」
F1ワールドチャンピオンに2度輝いているフェルナンド・アロンソも同意見だ。「サインツが優勝した瞬間、私たちは理解したのです。スペイン出身でもモータースポーツシーンを支配できると」
イギリスGPでの親子ツーショット
イギリスGPでの親子ツーショット
ある日、息子に “ステップアップしてカートコース以外も走ってみたいか?” と訊ねると “そうしたい” と返してきた

親子鷹

息子が父親の足跡を辿る姿はモータースポーツシーンでは良く見られる。
1996シーズンF1ワールドチャンピオンに輝いたデイモン・ヒルは、F1ワールドチャンピオンに2度輝いた経験を持ち、インディ500、ル・マン24時間レース、F1の3冠(トリプルクラウン)を成し遂げた唯一のドライバーとしても知られる父親グラハム・ヒルの足跡を辿った。
また、ヒル親子と同じく揃ってF1ワールドチャンピオンに輝いたケケとニコのロズベルグ親子も有名だ。F1ワールドチャンピオンに7度輝いたミハエル・シューマッハと現在ハースでF1を戦っているミック・シューマッハもいる。
忘れてはならないのが、現F1ワールドチャンピオンのマックス・フェルスタッペンとその父ヨスだろう。ヨスは今もマックスの横について自分の経験を息子に伝えている。
そしてもちろん、カルロス・サインツにもF1シーンで自分の足跡を辿っているカルロス・サインツJr.がいる。
サインツは、息子にプロドライバーになることを強制したことはないとしているが、母親レイエス・バスケス・デ・カストロは幼い頃から息子にはドライバーの才能があったとしている。
「ひと目見れば才能が分かります。間違いなく遺伝でしょう。息子には天賦の才が備わっています。他の子供たちにはないものを持っていたので、プロドライバーになったのはごく自然なことでした」
サインツは息子をカートに連れて行ったが、プロドライバーの道を強制したことはなかったとし、「ある日、息子に “ステップアップしてカートコース以外も走ってみたいか?” と訊ねると “そうしたい” と返してきました」と振り返っている。
カルロスJr.は、“あのサインツの息子” であることが自分にいくらかのプレッシャーを加えたとしているが、そのプレッシャーが彼に努力させることになり、現在はF1優勝経験を持ち、F1で最も長い歴史と最も高い人気を誇るチームのひとつ、フェラーリのためにドライブしている。
ダカール・ラリー史上初のハイブリッドマシンでのステージ優勝を記録
ダカール・ラリー史上初のハイブリッドマシンでのステージ優勝を記録

年齢はただの数字

カルロス・サインツは2022年4月に60歳になった。同年代のスポーツスターの大半が過去の栄光を振り返っている中、サインツは現役でしかも勝利を重ねており、年齢は関係なく頂点に立てることを証明している。
18年のWRCキャリアを終えたあと、サインツはダカール・ラリーに目を向けた。「私がダカール・ラリーに参戦しているのは、コリン・マクレーが理由です」とサインツは説明する。
1994シーズンと1995シーズンにスバルでサインツのチームメイトだったマクレーは、サインツの友人でありライバルでもあった。「コリンから、私はダカール・ラリーに出なければならないと言われました。気に入るはずだと。ダカール・ラリーは私のためのイベントで、私なら上手くやるはずだからトライすべきだと。彼が後押ししてくれたのです」
ダカール・ラリーでのサインツは、2010年にフォルクスワーゲン・トゥアレグで初優勝を記録したあと、2018年にはプジョー30082020年にはMINIジョン・クーパー・ワークス・バギーで優勝した。
中東の砂漠を走るサインツ
中東の砂漠を走るサインツ
ダカール・ラリーを3度制しているサインツの最大の功績は、アウディと契約した2022年だった。彼のドライビングスキルとマシン開発能力はまさにアウディがドライバーに求めていたものだった。アウディは新型ハイブリッドマシンRS Q e-tronでの参戦を目指していたからだ。
そしてサインツは彼らの期待に見事応えてダカール・ラリー史上初のハイブリッドマシンでのステージ優勝を記録し、スペイン国民を再び誇りに思わせたのだった。
サインツは【ダカール・ラリー2023】の最年長ドライバーとなるが、優勝最有力候補のひとりでもある。2022年12月31日から始まる砂漠の戦いを楽しみに待ちたい。
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