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CHRS4LFE:『DanceDanceRevolution』全米王者の思い

© Steve Foster / BemaniStyle
Written by Anthony McGlynn
2017年に米国人初の『ダンスダンスレボリューション』世界王者に輝いたトッププレイヤーが、アジア人が席巻するシーンで活動を続けている理由を語る。
Konamiは、2016年度のKonami Arcade Championship(以下、KAC)から北米部門を創設した。
KACは、その名前の通り、Konami製アーケードタイトル群の世界一決定戦で、『DanceDanceRevolution / ダンスダンスレボリューション』(以下『DDR』)シリーズも競技タイトルのひとつに含まれている。
『DDR』シリーズを「2000年くらいに流行ったよね」と簡単に片付けてしまう人もいるかも知れないが、20年の歴史を持つこの長寿シリーズは、様々な改良アップデートを経ながら成長を続けており、今も熱心なファン対戦シーンを抱えている。
2011年にスタートしたKACは、前述した通りKonamiのアーケードタイトルの世界大会で、複数のリズム系タイトルが含まれているが、その中で、世界的に最も良く知られているのが『DDR』シリーズだ。
『DDR』シリーズの頂点に立つためには、パーフェクトなタイミング、異常とも言える反応スピード、そして言うまでもないが正しいリズム感が求められるため、このゲームはマスターするのが非常に難しいと言われている。
しかし、北米プレイヤーの参加が認められた2016年度は、米国人プレイヤー3人が日本の幕張メッセで開催された決勝大会に参戦し、そのひとり、Chris “CHRS4LFE” Chikeが見事に優勝した。また、Chikeは2017年度2018年度2位に入った。
Konamiの北米枠追加は、Chikeがずっと前から待ち望んでいたことだった。
「2005年、13歳の時に兄貴からのクリスマスプレゼントで『DDR』をもらったんだ。それよりも前に近所の友人の家でプレイしたことがあって、凄くクールだなと思っていた」
「だから、兄貴からクリスマスプレゼントに何が欲しいって訊かれた時に、PlayStation2用の『DDR』が欲しいって返したのさ」
このように『DDR』との出会いを振り返るChikeは、このゲームの上達を目指して多くの時間を費やすようになると、オンラインコミュニティの存在を知ることになった。
そして、プレイヤーたちがお互いのベストスコアを発表していたそのコミュニティとの出会いによって、突如として彼の趣味は執着へと変わった。
「全員に勝ちたかった。最初の頃はトーナメントには参加していなかったけどね。自分のスコアをオンラインで発表して比較していただけだった」

リズムヒーロー

しかし、当時のChikeが対戦を全くしていなかったわけではなかった。『DDR』では対戦をしていなかったというだけだった。
その頃、つまり2006年から2009年頃までは『ギターヒーロー』が大人気で、Chikeは “リアル・ギターヒーロー” として、このゲームの2008年と2009年の全米チャンピオンに輝いたのだ。
そして、このロックをベースにしたゲームシリーズの人気が陰りを見せ始めると同時に、元来リズムゲームファンだったChikeは『DDR』シリーズの対戦に力を注ぐようになった。
しかし、当時はまだKonamiがサポートするトーナメントはほとんど存在せず、公式ランキングも存在しなかった。
Chikeは「公式なものなんて何もなかったよ。ただ、フォーラムでスコアをシェアしていただけだった」と振り返っている。
そのようなフォーラムを通じてシーンを維持してきたプレイヤーやファンの存在が、KACの成長も後押しもあって、Konamiの『DDR』ヘのサポートを厚くさせた。
2016年、Konamiが北米初のオンライン対応タイトル『Dance Dance Revolution A』をリリースすると、北米のプレイヤーたちもスコアを登録してランキングに参加できるようになった。
こうして、筐体を持ち込んだ会場に世界中から人を集めて予選を開催する代わりに、各地域で稼働している筐体にスコアを登録するグローバルランキング兼予選が用意されると、Chikeはこのランキングで首位に立った。そして、同じくサンフランシスコに住む友人Jeff “Fungah” Lloydを2位に従えて、2017年から3年連続決勝大会に進出した。

キング・オブ・ダンスマット

決勝を戦ったCHRS4LFEとFEFEMZ
決勝を戦ったCHRS4LFEとFEFEMZ
日本では “音ゲー” と呼ばれるなど、音楽ゲーム全般の人気が高いアジアと比べると、北米を含むその他の地域における『DDR』人気は小さいが、Chikeがアジア人プレイヤーたちに呑み込まれることはなかった。
「勝てると思っていたよ。僕は数年前から『DDR』の最強、もしくは最強のひとりだったから、勝てる可能性があるのは分かっていた。あとは勝てるプレイをするだけだった」と振り返るChikeのこの自信は間違ってはいない。
Chikeは、2017年(2016年度)で優勝したあと、2018年(2017年度)、2019年(2018年度)でも2位に入った。ちなみに、3回とも決勝は同じ対戦相手で、韓国出身のFEFEMZことYoon Sang Yeonが彼の宿敵だ。
FEFEMZは『DDR』シーンのレジェンドで、最高難度のステージのいくつかを初クリアしてきたことでも知られている。史上最強のライバルが存在するとするなら、それは彼のことを指す。
『DDR』の決勝大会は、6人のファイナリストが出場し、シード外の2組の勝者が準決勝を戦い、その勝者がシード組の勝者と決勝を行うというトーナメント形式が採用されている。
また、各対戦は、両プレイヤーが1曲ずつ選び、2曲の合計スコアで勝者が決まるようになっている。全ファイナリストの実力はトップレベルで並んでおり、コンボを「パーフェクト」ではなく「グレート」で終えた回数が多いプレイヤーが負けることになる。
この大会に3年連続で出場しているChikeは、世界最強『DDR』プレイヤーのひとりだが、彼がこのゲームに拘り続けている理由は実にパーソナルだ。本人は「僕の人生最良の友人たちはこのゲームで出会ったんだ。いつも一緒にプレイしているんだよ」と説明している。
『DDR』コミュニティは、他のゲームのコミュニティとは異なり、熱心なプレイヤーだけが集まる小規模なものだ。Facebook上の北米メイングループのメンバー数は5,000人弱で、ChikeのYouTubeチャンネルの各動画の視聴回数も平均約10,000回だ。
しかし、彼らは今も積極的に活動しており、非常に熱心で、このゲームに関する知識も非常に深い。そしてChikeは、Konamiが協力してくれたら、コミュニティはもっと大きく育つことができると感じている。
「自分たちで作成したダンスチャート(譜面 / 足譜)を登録できたらクールだよね。昔はそれができたんだ」
「 “EDIT DATA” と呼ばれていて、USBをアーケードに持ち込んで、ゲーム内の音楽に合わせて自分で作成したダンスチャートを楽しむことができた。これができれば、可能性を無限に広げることができるだろうね」

未来への思い

Konami側から発表されるダンスチャートは一定の水準に達していないものがあり、タイミングが早すぎて楽曲に合っていないように思える時がある。
このゲームを非常に細部までチェックしているChikeは、正確なダンスチャートを自作することで、ゲームプレイをより楽しくて満足度の高いものに変えており、「楽曲のリズムに耳を傾けて、矢印を正しくマッピングしているんだ。『DDR』内のダンスチャートの大半は、そこまで細部まで拘っていないんだよ」と説明している。
『DDR』には、それよりももっと基本的な部分、たとえば自分の実力をその場で簡単にチェックできるランキングさえ存在しない。
グローバルとエリアのトッププレイヤーをチェックすることはできるが、新規プレイヤーが自分の実力をチェックするには、自分のスコアを記録したあと、オンラインでチェックする必要がある。Chikeは「まだ存在しないのはおかしな話だよ」とコメントしている。
『DDR』がグローバルレベルで高い人気を獲得できる可能性を考えると、このような不満が出るのは納得できる。このジャンルは理解するのが簡単で、ここ20年でアーケード人気が落ち込んでいる中でも人気を保ってきた。
Chikeは、Konamiが『DDR』シリーズを時代に合わせてプッシュできていない原因はKonami自体にあると考えている。
「この『DDR』が大きくなるかどうかはKonami次第だよ。個人的にはもっと多くの人がプレイできる筐体を用意する必要があると思う。『DDR』はレアな存在になってきているからね」
「筐体の数が増えていけば、プレイ人口も増えていくと思う。20周年記念のミックスとマシンもリリースされる」
「成長できる部分は常にあるものさ」

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