集まってもらったのは、1987年生まれのメンバー4人によるバンド:cinema staff
今回のインタビューではcinema staffの4人を迎え、それぞれの<90年代>を振り返りつつ、印象的な楽曲を3曲ずつ挙げてもらった。
飯田瑞規の「90年代の3曲」
- RADIOHEAD「Paranoid Android」
- JEFF BUCKLEY「Mojo Pin」
- Portishead「Glory Box」
①RADIOHEAD「Paranoid Android」
【アルバム『OK COMPUTER』(1997年)収録】
RADIOHEADというバンドのすべてを表している曲。起承転結もあり、怒りや鬱屈した気持ちが最初に溢れて、それが途中で爆発して、最後は歌詞にあるように雨が降って浄化されていく感じが、この1曲の中にすべて詰まっている。
大衆受けするタイプの楽曲ではないけど、あの時代を象徴する1曲だと思います。
②JEFF BUCKLEY「Mojo Pin」
【アルバム『GRACE』(1994年)収録】
RADIOHEAD経由でジェフ・バックリーを知ったんですけど、力強い声から女性のような中性的な声まで出せる、誰もがなりたいと思うボーカリストだと思う。本当にドラマチックで、発した瞬間に空気を変えてしまうような声の持ち主。
もう亡くなってしまったので叶わない夢ですけど、生で見られたらどれだけ嬉しかったろうという憧れの人です。
③Portishead「Glory Box」
【アルバム『DUMMY』(1994年)収録】
最初に聴いたのがオーケストラと一緒にやっているアルバム(1998年発売の『ROSELAND NYC LIVE』)。ベス・ギボンズがタバコを吸いながら歌っている姿を動画で観たときは、本当に震えました。
今回挙げた3曲のボーカリスト……トム・ヨーク(RADIOHEAD)もジェフ・バックリーもベス・ギボンズにも共通して言えるのがセクシーさ。日本だったら吉井和哉さんみたいな、ああいうセクシーさと大人の魅力に惹かれるんです。
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久野洋平の「90年代の3曲」
- Hi-STANDARD「Sound of Secret Minds」
- ALL「Crazy?」
- BRAID「The New Nathan Detroits」
Hi-STANDARD「Sound of Secret Minds」
【アルバム『ANGRY FIST』(1997年)収録】
実は僕、CDよりも先に『ATTACK FROM THE FAR EAST 2』というDVDを買って、そこでこの曲のPVを観て「なんだこれは?」と衝撃を受けたんです。とにかく新しかったんですよね。自分の中で。
しかも、あのDVDってツアーのオフショットで構成された映像がたくさん入っていて、そこで「音楽で生活して、海外まで演奏しに行くことができるんだ」ってことにびっくりして。それがバンドを真剣にやりたいと思ったきっかけでした。
ALL「Crazy?」
【アルバム『ALL』(1999年)収録。初出は1989年】
ALLってパンクバンドなのに、演奏がすごくひねくれていて、そこがすごくカッコいいなと思うんです。
「Crazy?」って別に変拍子が入っているわけではないんですけど、なんとなく当時はひねくれて聴こえたんですよね。ポップだけど程良いひねくれ感が好きなのは、たぶんALLがきっかけだと思います。
cinema staffでそういうことをやりたいなっていう起源がALLですね。
BRAID「The New Nathan Detroits」
【アルバム『FRAME AND CANVAS』(1998年)収録】
これはさらにひねくれポップの進化系というか。僕が今まで聴いたことないぐらい演奏がひねくれていて、パンクの勢いを持っているのに普通の8ビートが全然出てこない。
ドラムってこんなに自由でもいいんだっていう発見という意味では、cinema staffをやる上で大きな影響を受けた曲です。
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三島想平の「90年代の3曲」
- ナンバーガール「透明少女」
- WEEZER「Across The Sea」
- THE SMASHING PUMPKINS「Cherub Rock」
ナンバーガール「透明少女」
【アルバム『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』(1999年)収録】
最初に自分が思っていたバンド像って、それこそ飯田が言っていたセクシーなボーカリストとかフロントに派手な人がいるイメージだったんですけど、16歳当時の僕は初めて向井秀徳さんを観て「こんなメガネのおっさんが、こんなカッコいいことやってるんだ!」って衝撃を受けて。
むしろ、ダボダボのシャツとチノパンでやったほうがカッコいいじゃんと価値観を変えてくれた存在なんです。
WEEZER「Across The Sea」
【アルバム『PINKERTON』(1996年)収録】
WEEZERも完全にカッコいいとは真逆のビジュアルですよね。
僕はWEEZERの作品では『PINKERTON』が一番気に入っているんですけど、歌詞の内容はヘロヘロなのにステージに立った瞬間にヒーロになる、そしてそこに自分を投影できるという点でも大好きでした。
THE SMASHING PUMPKINS「Cherub Rock」
【アルバム『SIAMESE DREAM』(1993年)収録】
ビリー・コーガンもビジュアルという点においては、決してカッコいいとは言い難いですよね(笑)。
だけど、あのルックスからあの涙腺を刺激する声が出て、こんなに甘美なメロディや歪みが生まれるんだということが衝撃で。
結局僕って、三枚目の人たちというか、フロントマンぽくない人に惹かれるのかもしれないですね。
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辻友貴の「90年代の3曲」
- AMERICAN FOOTBALL「Never Meant」
- RED HOT CHILI PEPPERS「Californication」
- FUGAZI「Do You Like Me」
AMERICAN FOOTBALL「Never Meant」
【アルバム『AMERICAN FOOTBALL』(1999年)収録】
自分のギターにすごく影響を与えてもらったのは、たぶんこの曲かな。
アルペジオのギターとかギターの絡みとかをすごく意識するようになった、印象深い1曲です。
RED HOT CHILI PEPPERS「Californication」
【アルバム『CALIFORNICATION』(1999年)収録】
ギターで影響を受けたもうひとりが、ジョン・フルシアンテ。
中学校からギターを始めたんですけど、レッチリを聴いたときにスカスカなのに主張しているみたいなギターがすごくカッコよくて、「そんな難しいことをしてないのに、なんでこんなにカッコいいんだろう?」と思って。レッチリは今でも大好きですね。
FUGAZI「Do You Like Me」
【アルバム『RED MEDICINE』(1995年)収録】
ちょうどこの前、FUGAZIのドキュメンタリーを観に行ったばかりで。
FUGAZIは完全に後追いで、Stiif Slackというレコード屋に通っているときに教えてもらったんですけど、最初は全然理解できなくて。
でも、FUGAZI周辺のいろんな音楽を聴くようになって、改めて戻ってきたときに本当にすごいバンドなんだなと実感しました。
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──cinema staffは皆さん1987年生まれなので、90年代というと幼少期から中学に入るくらいになるんでしょうか。
飯田瑞規(Vo, G)イエモン(THE YELLOW MONKEY)とかね。洋楽だったらMR.BIGとかBACKSTREET BOYSとか、そういう世代です。
飯田 僕はACIDMANとかバンアパとかと同時期にSONIC YOUTHに興味を持って、そこからRADIOHEADにたどり着いたんです。RADIOHEADとの出会いが自分的にすごく大きくて、90年代の音楽を振り返るときには「この頃はRADIOEHADがあのアルバムを出した頃か」と、全部RADIOHEADのアルバム基準で考えるようになりました(笑)。
久野 僕の場合、中2か中3ぐらいのときにMONGOL800がめちゃくちゃ人気出て、クラスの音楽を聴くような奴らがみんな『MESSAGE』を持っていたんです。その頃僕はSMAPかモー娘。ぐらいしか聴かなかったんですけど、ちょうど友達に「バンドやろうぜ」と誘われて。その時期にGOING STEADYが『童貞ソー・ヤング』を出したんですけど、すごくのめり込み始めて、そこからさかのぼってハイスタ(Hi-STANDARD)にたどり着いたんですね。で、ハイスタ経由で「Fat Wreck Chords」とか知って、海外のバンドも聴き始めました。
辻友貴(G)僕は高校までずっと勉強ばっかりしてきたので、本当にがっつり音楽にハマったのは、実は大学に入ってからなんです。大学で名古屋に出たんですけど、名古屋にStiff Slackというレコード屋があって。そこに通うようになっていわゆる90'sエモと呼ばれているものにどっぷりハマって、だいぶ変わった感じですね。
次のスプリットEPは90年代文化のおかげ
──そして、4人は大学時代に名古屋で出会うわけですね。
久野 僕は三島くんと大学のサークルが同じなんですけど、その勧誘のビラに向井秀徳さんの写真が使われていて、「ロック好きは集まれ!」みたいなことが書いてあったんですよ。そうしたら三島が「ここは向井秀徳を使ってるから間違いない」みたいな感じで勧めてきたのを今思い出しました(笑)。
三島 岐阜の高校時代は周りにナンバーガールを知っている奴がいなかったので、「これはすごいことだ!」と思ったんです。でも、大学に入ったら、みんな話し出すとめちゃくちゃ詳しくて、ブチのめされまくりでした。
久野 大学のときは先輩たちの影響もデカかったよね。ハードコアに詳しい先輩が多くて、いきなり「これ聴いてみろ」と貸してくれたり。
三島 すごく良い出会いが多くて、ラッキーでしたね。価値観も完全に変わりましたから。
──皆さんが育った90年代から2000年代前半は日本の音楽産業における最盛期で、みんなが同じものを聴いていた時代でした。そんな中、皆さんには周りとは違うものを聴きたいという気持ちがあったんでしょうか?
久野 そうですね。バンドにしても最初はモテたくて始めて、だんだんその目的を忘れて音楽にハマっていくみたいなのがあるじゃないですか。それと一緒なのかもしれないですね。これがもうちょっと遅く生まれていたら、こうはならなかったかもしれないし。
三島 それこそ、バンドに関しては「ナメんじゃねえよ!」みたいな気持ちでやっていたところはありますよね。俺らが一番カッコよくて、一番新しいことをやっているんだって。その肥やしとなるために、どんどんいろんな音楽を聴かないと、みたいな気持ちでやっていたのはデカイと思います。変な使命感があったのかもしれないですね。
久野 僕らも表に出ている以上は、若い子が聴きたいと思うようなものを作りたいし、そういうことはcinema staffを続けていてずっと考えています。と同時に、僕らが好きな音楽を紹介したい。僕らも自分の好きなバンドが「好き」と言っているバンドを掘ってきたから、例えば対バンひとつとってもそうですけど、いろんな入り口を用意しながら活動したいなと思っています。
──cinema staffは6月13日にアルカラとのスプリットEP『undivided E.P.』をリリースしますが、ここにもそういう思いが込められていると。
久野 そうですね。これなんて、まさに90年代に影響を受けてやりたいと思ったことですし。スプリットでのリリースという文化が羨ましかったから、誰かとやりたいとずっと思っていたんです。で、アルカラと仲良くなって、アルカラとならできるんじゃないかと打ち上げで盛り上がったら話が進んで。これも90年代文化のおかげですね。
三島 この取材のあとにミックスの確認があるんですけど、なかなか良い出来だと思いますよ。
cinema staff×アルカラ スプリットEP『undivided E.P.』
2018年6月13日(水)発売
M01「first song(at the terminal)」 / cinema staff
M02「サースティサースティサースティガール」 / アルカラ
M03「チクショー」 / cinema staff(アルカラ楽曲カバー)
M04「great escape」 /アルカラ(cinema staff楽曲カバー)
M05「A.S.O.B.i」 /cinema staff×アルカラ
計5曲入り
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cinema staff「デビュー10周年ライブシリーズ two strike to(2) night~バトル・オブ・クアトロ~」
■6月5日(火) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
ゲスト:9mm Parabellum Bullet
問い合わせ:GREENS 06-6882-1224
■6月6日(水) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
ゲスト:9mm Parabellum Bullet
問い合わせ:JAILHOUSE 052-936-6041
■6月12日(火) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
ゲスト:9mm Parabellum Bullet
問い合わせ:SMASH 03-3444-6751
■7月9日(月) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
ゲスト:GOOD ON THE REEL
問い合わせ:JAILHOUSE 052-936-6041
■7月10日(火) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
ゲスト:GOOD ON THE REEL
問い合わせ:GREENS 06-6882-1224
■7月12日(木) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
ゲスト:GOOD ON THE REEL
問い合わせ:SMASH 03-3444-6751
■8月13日(月) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
ゲスト:Saucy Dog
問い合わせ:GREENS 06-6882-1224
■8月14日(火) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
ゲスト:Saucy Dog
問い合わせ:JAILHOUSE 052-936-6041
■8月16日(木) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
ゲスト:Saucy Dog
問い合わせ:SMASH 03-3444-6751
開場:18:00/開演19:00