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スノーボード

『Snowboard Reverse』:雪山で逆走スノーボード!

プロスノーボーダーが雪山を “下から上まで” 逆方向にライディングする奇想天外な動画と舞台裏インタビューをチェック!
Written by Günter Baumgartner
読み終わるまで:6分Published on
スキーリフトが故障したら何をするだろうか? 多くの人はその場で足をブラブラさせるはずだ。では、次にすることは? 別のリフトへ向かう? 上まで歩いて登る? それとも「今日はついていない」と諦める?
『Snowboard Reverse』の冒頭でクレメンス・ミラウアーが遭遇したのがこの問題だった。では、彼はどうしたのだろうか?
ページ最上部の動画をクリックしてユニークな解決策を確認したあとは、この動画プロジェクトのすべてを本人が語っているインタビューを読み進めていこう。

− スロープを下から上へライディングするというアイディアはどこから生まれたのでしょうか?

正直に言うと、最初は上手くいかないだろうと思っていました。ですが、徐々に現実にしてみようと思うようになったのです。数年前、ケン・ブロックとトースタイン・ホグモの動画を視聴したのですが、この作品は複数の要素が上手くまとめられていました。上下逆の障害物の間を抜けたり、逆方向へライディングしたりしていたのです。

この作品を思い出して、『Snowboard Reverse』では「雪山を下から上にライディングしながら、通常通り上から下へライディングしている人たちと行き違ったらクールじゃないだろうか?」と考えました。

パイプで逆走ライディング!

パイプで逆走ライディング!

© Sam Strauss/Red Bull Content Pool

通常のスノーボードでは、時速60〜80kmのヘリコプターでスロープを逆走する練習にはなりません

− 当然ながら、誰も重力には逆らえません。どうやって雪山を下から上へライディングしたのでしょう?

普段なら、リフトで上へ向かったあと、重力の助けを借りながら谷底まで自動で下ります。今回は、自動で自分を上まで引っ張ってくれるものを探しました。それで、スキーリフトの代わりにウインチ、スノーモービル、ヘリコプターを用意したのですが、想像していたよりも難しかったですね。

自分にとって完全に新しい領域でしたし、逆走しながらレールやキッカーを確実にヒットしていくのは大きなチャレンジでした。さらには、いつもとは違うGフォースが加わります。通常のスノーボードでは、時速60〜80kmのヘリコプターでスロープを逆走する練習にはなりません。

− 確かにスノーボーダーがヘリコプターに牽引されるのは日常的な光景ではありませんよね。

その通りです(笑)。プロジェクトの準備期間に上から下まで向かえるあらゆる方法について考えました。当然、ウィンチやスノーモービルは結果が約束されているので、良い取っかかりになりましたが、ヘリコプターは違います。クレイジーなアイディアです。簡単にはいきません。

ですが、Flying Bulls(レッドブルの航空機部門)とZoomで打ち合わせをしたあと、ルートの一部をヘリコプターに牽引してもらうのは可能だということが分かりました。いつもとは逆方向からキッカーに向かう際には高いスピードが必要なので、ヘリコプターしかないという結論に落ち着いたのです。

とはいえ、自分が掴んでいるロープをヘリコプターが牽くとどうなるのかまったく分かっていませんでした。ですので、最初のテストは半信半疑だったのですが、テスト後は上手くいくと確信できるようになりました。

Flying Bullsのクリストフ(・オーバーフーマー)とミルコ(・フライム)がユーロコプター・エキュレイユを上手く操縦してくれていたので、僕は自分にかかるGフォースを扱うことだけに集中できました。あのようなGフォースは初体験でしたね。ヘリコプターが牽き始めるタイミングでボードの上にしっかりと立っている必要があります。Gフォースがかかるので小さなミスも許されません。

ヘリコプターで牽引!

ヘリコプターで牽引!

© Markus Berger/Red Bull Content Pool

ヘリコプターが牽くときにボードにしっかり立っている必要があります。Gフォースがかかるので小さなミスも許されません

− 重力の他にも障害がありました。動画には倒木、貯水池、山小屋などが登場しますが、一番難しかったのはどれですか?

スロープの逆走では色々なことが起きますので、あらゆるチャレンジを受け入れました。クレーンや自動車からのジャンプ、またはスノーボードでの水面ライディングもいつもとは違いましたね。祖母は僕のことをクレイジーだと思っているかもしれません。

これまでと考え方を変えることが最大のチャレンジになりました。スロープの上から下へ向かうライディングは数え切れないほどこなしてきましたが、今回はすべてが逆でしたので、慣れ親しんできた方法を考え直したり、ないものとして扱ったりすることが本当に難しかったですね。

着地点を確認したあと、キッカーからのジャンプを意識していくわけですが、いつもの方向なら何百回もやったことがあるのに、“逆走” になるといきなりテクニックが難しくなるのです。最後のキッカーからのジャンプは、オーバーシュートしないようにスピードを見極めるのが本当に大変でした。

また、スキーリフトからのロープスイングも簡単ではありませんでした。水上で何回かやったことがありましたが、ヘリコプターから下げられているロープを使ってスキーリフトから固い雪面へジャンプしなければならなかったので、ちょっとしたアドレナリンラッシュを味わいましたね。

− スノーボーダーのアディ・クライナーとクリストフ・ブカヒャー、スキーナーのニナ・ギゲル、そしてアンナ・ガッサーも出演しています。彼らとのすれ違いはいかがでしたか?

正直に言うと、雪山のスロープで突然誰かが自分に向かって逆走してくるというのはとてもクレイジーな体験です。自分だけではなく、相手にとってもそうです。ですので、意識を整理するのが大変でしたが、タイミングも大変でしたね。すべてをパーフェクトに合わせなければ成功しません。

ですので、自分が100%信頼できて、それぞれの競技をマスターしているアスリートを選ぶことがとても重要でした、アンナ、ニナ、アディ、クリストフが参加してくれたのは夢のようでしたね。間違いは絶対に起きないと思えました。

クレメンス・ミラウアー

クレメンス・ミラウアー

© Markus Berger/Red Bull Content Pool

祖母は僕のことをクレイジーだと思っているかもしれません

− 動画ではすべてが簡単で楽しそうに見えますが、全員のプロ意識の高さとパーフェクトなタイミングがそう感じさせるのでしょうか。

今回のプロジェクトはチームワークと多大な努力の結果です。すべての動きを動画に合わせ、すべてを上手く連動させるためには、お互いを信頼して、それぞれが自分のテクニックとスキルを正しく使う必要があります。タイミングをパーフェクトに合わせることで、誰かが自分に向かってくる状況の安全を確保しつつ、クールなシーンを作り出そうとしました。

また、素晴らしい仕事をしてくれた撮影チームにも感謝しています。経験豊富なチームがいなければ、どんなに優れたアスリートでも窮地に追い込まれてしまいます。彼らは僕たちの一部なのです。ワールドカップでもビデオパートでも、彼らを頼りにしています。

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