Clearing a rail in reverse in Snowboard Reverse
© Sam Strauss/Red Bull Content Pool
スノーボード

『Snowboard Reverse』:クレメンス・ミラウアーと関係者が明かす舞台裏

雪山をスノーボードで逆走する動画プロジェクトはどのように実現したのだろうか? トップスノーボーダーと関係者がそのプロセスを明らかにした。
Written by Günter Baumgartner
読み終わるまで:5分公開日:
オーストリア・フラッハウヴィンクルに位置するアブソルート・パーク(Absolut Park)は同国最大級のスノーパークだ。ここにはワールドクラスのスノーボーダーとフリースキーヤーが集まって、レールやキッカーでビッグイベントのためのトレーニングを積んでいる。
そのひとりがクレメンス・ミラウラーだ。オーストリア出身のミラウラーは、普段はガールフレンドのアンナ・ガッサーとケルンテン州に住んでいるが、冬季はアブソルート・パークに拠点を移している。このような生活を送っていたからこそ、ミラウアーはスロープを逆走する動画『Snowboard Reverse / スノーボード リバース』を制作・リリースできたのだ。
『Snowboard Reverse』本編をチェック!
スノーボード · 6分
Snowboardová zpátečka Clemense Millauera
ミラウアーはスノーボードのルールブックを完全に無視して、信頼できる仲間とThe Flying Bullsの助けを借りて『Snowboard Reverse』を制作した。本人は次のように振り返っている。
「撮影初日はチーム全員が興奮していましたね。1年をかけてプランを立てたので、全員のモチベーションが高かったですね。念入りに準備したので、すべてが上手く進むことは分かっていました」
とはいえ、未知の部分も数多くあった。スノーボードでの雪山の逆走を正確にシミュレートすることは不可能だからだ。実際、撮影中に想定外のことが複数起きた。
「全体的にはとても上手くいきました。自分たちの限界をプッシュできましたし、嘘偽りの部分はひとつもありません。ですが、もちろん、いくつかのトラブルが発生しました」
The Flying Bullsが全面協力
The Flying Bullsが全面協力
01

逆転の発想

リフトで山頂へ向かってからスノーボードでスロープを滑走するという通常のプロセスの代わりに、ミラウアーは別の斬新なプロセスを用意した。リフトをウインチ、スノーモービル、ヘリコプターと入れ替えて、ユニークな方法で山頂へ向かったのだ。
このプロセスのスピードアップに貢献したのがThe Flying Bullsだった。彼らは約900馬力を誇るユーロコプター エキュレイユ AS 350 B3+を用意した。ミラウアーは次のように説明する。
「ヘリコプターはいくつかの問題の解決にとても重要でした。すぐに加速して逆走用キッカーへ向かうことができたからです。危ないと思う瞬間もありましたが、かなり楽しかったですね」
ヘリコプターに牽引されてからのビッグエア
ヘリコプターに牽引されてからのビッグエア
最初は怖かったです。加速が強烈で、ヘリコプターのパワーの大きさが伝わってきました
クレメンス・ミラウアー
ミラウアーはヘリコプターのパートを特に気に入ったようだ。
「最初は怖かったです。加速が強烈で、ヘリコプターのパワーの大きさが伝わってきました。ボードに立ったあと、時速60kmまでの急加速の勢いを上手く殺す必要がありました。時速80kmに達するときもありましたね。ですが、オープンなラインで何回かテストを重ねたあとはThe Flying Bullsと信頼関係を築くことができました。ヘリコプターのパイロット2人を完全に信用できました」
ミラウアーは、自分がフィーチャーをクリアできるスピードまでパイロット2人が正確かつスムーズにヘリコプターをコントロールしてくれたことに感銘を受けたようだ。
「僕が遅すぎればキッカーを越えることができず、ギャップに落ちてしまいます。逆に速すぎれば、完全にオーバーシュートしてしまいます。タイミングを合わせるためには優れた感覚と豊富な経験が必要でした」
様々なハードワークによって実現された
様々なハードワークによって実現された
『Snowboard Reverse』のスタッフと撮影クルー
『Snowboard Reverse』のスタッフと撮影クルー
02

ミッション成功

今回のプロジェクトを成功させるために限界をプッシュしたのはミラウアーだけではなかった。The Flying Bullsも『Snowboard Reverse』実現のために経験を総動員した。ミルコ・フライムと共にThe Flying Bullsのパイロットとして参加したクリストフ・オーバーフーマーは次のように振り返っている。
「このプロジェクトについて初めて説明されたときは、クレイジーなアイディアなので絶対に上手くいかないだろうと思いました。ですが、そのあとでクレメンスを安全に牽引する方法を見つけることができました」
ミラウアーはまずヘリコプターのダウンウォッシュ(吹き下ろす風)に慣れる必要があったが、そのあとはこの不慣れなシチュエーションにすぐに対応していった。本人は「いつもとは異なるチャレンジがいくつもありましたが、全力で取り組んだので、最終的には想定していたよりもベターな形で終えることができました」と語っている。
The Flying Bullsと話し合うミラウアー
The Flying Bullsと話し合うミラウアー
このプロジェクトについて初めて説明されたときは、クレイジーだと思いました
クリストフ・オーバーフーマー(The Flying Bulls)
『Snowboard Reverse』は非常に素晴らしいチームワークによって実現された。2週間の撮影期間を通じて、ミラウアーはチームと撮影クルーに全幅の信頼を寄せることができていた。
また、友人のアディ・クライナークリストフ・ブカヒャーも重要な役割を担った。彼らは自分たちのノウハウと経験をテストランに持ち込んだ他、本編にカメオとして出演した。ちなみに、アンナ・ガッサーニナ・ギゲルも出演している。
ミラウアーは次のように感想をまとめている。
「正直に言って、『Snowboard Reverse』のことは一生忘れないでしょうね。このプロジェクトは一生の経験になりました。撮影が終わって、普通にスロープを下ったときの感覚は最高でしたよ(笑)」
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