人間は冬眠で冬をやり過ごすことはできない。スキーヤーなら尚更だ。そこで、身体を動かし続けてフィットネスを高めるルーティンを用意しよう!
今回は、2022年冬季オリンピックのスラロームで金メダルに輝いた経験を持つフランス人トップアルペンスキーヤーのクレマン・ノエルが、シーズンでスタートダッシュに成功するためのトレーニングルーティンをシェアしてくれた。ワールドカップ常連のノエルは、スロープを離れた場所でもフィジカルトレーニングに取り組むことで、成功を手にしてきた人物だ。
競技レースに参加する、フィットネスを鍛えるを問わず、ノエルのトレーニングルーティンは、あらゆる冬の目標をクリアする助けになるだろう。
01
身体をほぐす
ノエルは次のように説明する。「20分間のエクササイズから始めてみましょう。内容はコンディションによって変わってきます。たとえば、腰に少し痛みを感じているなら、その部分に取り組みます。ですが、特に問題がなければ、全身の柔軟性を高めるエクササイズに取り組んでみましょう」
エクササイズ:
- セルフマッサージ:「これは最近の大きなトレンドです。フォームローラーで筋膜をほぐしてみましょう。たとえば、大腿四頭筋や臀筋の柔軟性を高めることができます。起床したあと、どうも硬いと感じている部分に当ててみましょう」
- ストレッチ:「クラシックなストレッチで、ハムストリングス、腰、股関節屈筋などをリラックスさせましょう。臀部周辺の筋肉は使用頻度が高いので、特に念入りにストレッチしてください」
- ハムストリングスと臀筋に特化したエクササイズ:「この2つの部位は非常に重要ですので、重点的に取り組んでいます。たとえば、あお向けに寝て、片足または両足を椅子かベンチに乗せ、その姿勢で骨盤を持ち上げましょう。両足の方が簡単です。あとは、ゴムバンドで両足首か両膝を固定したあと、カニのように横歩きをすれば臀部の可動性を高めることができます。10歩ずつ1往復してみましょう。これでウォームアップは万全です!」
02
パワーと爆発力の強化:ひねりの効果
ノエルは次のように説明する。「シーズンインする前、つまり夏の間にフィジカルの強化はほとんど終えていますので、シーズン中はスキーに特化したトレーニングにフォーカスします。これらのトレーニングは長くて40分で、用具もほとんど使用しません。なぜなら、ツアー中はホテルで用具が揃わないときがあるからです」
エクササイズ:
- アイソメトリック:アイソメトリックエクササイズは、筋肉の結合組織の強化が目的だが、ノエルは次のように説明している。「深層筋に刺激を加え、両足の安定感を高めるためにエクササイズを工夫しています。たとえば、柔らかい床の上に片足で立ってバランスを取るなど、スキーに特化したアイソメトリックエクササイズに取り組んでいます。もちろん、片足を持ち上げたり、ローラーの上に立ったりすることで難度を高めることもできます」
- プッシュアップ・ツイスト:「たとえば、プッシュアップから戻るときに片足と片腕を上に持ち上げてみます。バランスを取るのが難しくなりますが、上腕と大胸筋を鍛えつつ、体幹も鍛えることができます」
- スクワット:「両手でバーを持ち、後頭部に回した姿勢を取ることでスクワットの強度が高まり、上半身をさらに強化できます。また、バーベルが使えるなら、140〜150kgのバーベルを持ち、フロントスクワットを5回繰り返してみましょう。より低く沈み込んでより全身に効果があるスクワットに取り組むことが目的です。バーベルを自分の後方で持つと強度が下がり、体幹ではなく脚部の強化になってしまいます」
- 腹筋:具体的には「ドラゴンフラッグ」です。このエクササイズはトレーニング上級者向きですが、危険度は高くありません。ベンチの上に寝て、耳の後ろあたりのベンチを両手で掴みます。そのあと、骨盤と両脚をできる限り高く持ち上げて、元の姿勢に戻りましょう。両脚・骨盤・両肩が直線になるような姿勢を取ることを強く意識してください。難しいエクササイズですが効果は抜群です!」
03
協調性とスピードの強化:クロストレーニング
「まず、筋肉の協調性は様々なエクササイズを組み合わせることで高まることを知っておく必要があります。筋肉の動作をできる限り効率良くするためには、これを特に強く意識しておく必要があります。以下に紹介するエクササイズは付加的なものですが、通常の40分間のエクササイズの中に組み込んでも問題ありません」
エクササイズ:
- スモールジャンプ:どちらかの脚に偏って力が入らないようにしましょう。スキー用の付加エクササイズですので、膝は深く曲げすぎないようにしましょう」
- リズムスケールセッション:「両足をリズムに合わせて交互に動かしつつ、ニーレイズのような他のエクササイズも組み合わせています」
- バリエーション:「斜面に両足を置き、左右を交互に細かく動かして、動きが直線にならないようにします」
04
有酸素系:リカバリーが目的
「冬季は心肺機能の強化には取り組みません。それは夏季に行います。ですので、冬季の有酸素系エクササイズは、エフォートに対するリカバリーによりフォーカスしています」
エクササイズ:
- ランニングまたはインドアサイクリング:「20〜35分の短時間で終えます」
- インターバル:「ワットを多少増やしても問題ありません。私は全力10秒・休息20秒の6分セットなどに取り組んでいます」
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