カフェインとアドレナリンを身体中にみなぎらせたサイクリストたちが競争心むきだしで戦うロードレースの世界は極めて熾烈なため、冷静さを保ち、自分自身で設定した目標に集中することが重要だが、ロードレースでは外的要因によるトラブルに遭遇することもある。
ロードレース中に遭遇する可能性が高いトラブルは主に次の4つだ。
- プロトン(集団)の中で順位を落としてしまう
- アタックに有利なポジションを取れない
- 補給タイミングが管理できない
- 周囲のライダーに萎縮してしまう
今回は、この4つのトラブルに対処するための解決策を紹介していこう。
1. プロトン(集団)の中で順位を落としてしまう
問題:体力不足が原因で集団の中で順位を落としてしまうのは責められることではない。これは誰にでも起こりうることだ。とはいえ、体力的に十分な状態でも戦略的な判断ミスによって順位を落としてしまうこともある。これは非常にもったいないので、プロトンでのサバイバルに役立ついくつかの重要な戦略を取り入れておく価値はある。基本的にはポジショニングが全てだ。
解決策:ありふれた言い方だが、「前進しなければ、後方に沈むだけ」という言葉が、プロトンでの基本戦術を端的に表している。ワールドツアーレベルのレースに比べれば、アマチュアレースでは集団ペースがさほどコントロールされていないので、プロトンから取り残されるのを避けたり、他者のアタックをカバーしたり、自分からアタックを仕掛けたりするためには一貫してプロトンの前方付近を走行する必要がある。レース展開に動きがない時間帯では、プロトン後方にポジションを取る方が体力を温存できるかもしれないが、知らないうちに取り残されてしまう可能性がある。
また、登坂区間で集団のペースについていくのに苦労しているなら、登坂のスタート地点でプロトンの先頭近くにつけるようにしてみよう。こうすれば、坂を上るにつれてゆっくりと後退しても、坂の頂上付近でまだ集団の後方に残れる。この戦術なら、登坂区間を最も効率的なエナジー消費で通過できる上に、集団から大幅に遅れることもない。ワールドクラスのスプリンターたちはこの戦術を常時取り入れているので、是非参考にしてもらいたい。
2. アタックに有利なポジションを取れない
問題:ライバルのアタックに翻弄されるばかりで、自分がアタックできない状態はフラストレーションが溜まりやすい。このような展開になってしまう理由は数多く考えられるが、上手くアタックできるようになる基本がいくつか存在する。
解決策:まずはライバルの研究だ。スタート前に誰が最も強力なライダーか把握し、彼らのレースナンバーを覚えておくべきだ。それを紙にメモしておき、トップチューブやステムに貼り付けておこう。レース中はそのライバルたちから目を離さず、彼らがアタックしたら自分も反応しよう。毎回成功するわけではないが、好成績を残せる可能性が高まるのは確かだ。
次に、コースを把握して、レース開催日の風向きも頭に入れておこう。プロトンの中で動きが起きるのは登坂区間の頂点か登坂区間直後が多いので、このようなポイントでは注意を払っておく必要がある。また、横風が吹くおそれがある区間に入る時は、全力でプロトンの先頭近くにポジショニングしておくように心がけたい。
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3. 補給のタイミングが管理できない
問題:レースが白熱し、 “ゾーン” に入ると、適切な水分と栄養を補給することを忘れがちだ。正しい補給を怠ってしまえば、自分がどれだけフィットしていても、どれだけ優秀でも、どれだけ気合いが入っていても、本来のポテンシャルを発揮できない。
解決策:おおまかな目安として、1時間あたり60gの炭水化物を摂取する。また、気温や気候に合わせて1時間あたり500~1000mℓの水分を補給するようにしたい。多くのライダーたちは補給のタイミングのリマインダーとして、サイクルコンピューターのアラームを15分刻みでセットしている。アラームが鳴れば、補給のタイミングが来たことが分かるというわけだ。
また、覚えておいてほしいのは、レースデイに不慣れな栄養食品を試すべきではないということだ。新しいエナジーゲルやエナジーバー、エナジードリンクをレースデイに試すと、レースよりもトイレで過ごす時間の方が長くなってしまいかねない。極限状態でも胃が吸収できるように、普段から慣れ親しんでいる補給食やドリンクを選ぶようにしたい。
4. 周囲のライダーに萎縮してしまう
問題:ロードレースでは、ライバルたちからの激しいプレッシャーはつきものだ。アタックを仕掛けて集団を引き離そうとしても、どういうわけか先頭に立てず後方に追いやられてしまうことは良くある。
このようなケースでは、他のライダーはアタックを仕掛けられたことに不満を感じる。そして、彼らが経験豊かなライダーなら、口汚い言葉やジェスチャーでこちらにその不満を伝えようとしてくる。
解決策:上のような態度を取られると、ロードレースの経験が少ない人は特にそうだが、萎縮して主導権を渡してしまいがちだ。しかし、礼儀正しく自分の立場を主張し、首を横に振ってはっきり「ノー」と言うべきだ。どれだけライバルからプレッシャーを受けようと、戦略的な理由があるのなら、遠慮せずにアタックを仕掛けるべきだ。ライバルからのプレッシャーはロードレースというゲームの一部に過ぎないのだ。