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MTB

【クロスカントリー・マウンテンバイク / XCOとは?】初心者用入門ガイド

MTBクロスカントリーはアウトドアを楽しむのにパーフェクトな自転車競技だ。UCIワールドカップ女子部門で活躍中のレッドブル・アスリート、エミリー・バッティに筋力・体力を激しく消耗するこのバイクスポーツのイロハを教えてもらった。
Written by Tom Ward
公開日:
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Mercedes-Benz UCI Mountain Bike World Cup

Emily Batty

CanadaCanada

Kate Courtney

United StatesUnited States

Yana Belomoina

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Evie Richards

United KingdomUnited Kingdom
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クロスカントリー・マウンテンバイク / XCOとは?

簡単にまとめると、クロスカントリー・マウンテンバイクは「複数のライダー(100人規模になるときもある)とラフな地形でレースする自転車競技」だ。森の中や岩の上を突き進むヒルクライム、木の根が剥き出しの急斜面でのダウンヒル、高速で飛ばすシングルトラックライドをイメージしてみよう。それがこのスポーツだ。
ダウンヒルやエンデューロよりもスキルベースが問われないクロスカントリー・マウンテンバイク(XCOと略記される)はバイクスポーツを始めたい人にうってつけと言える。
クロスカントリー・マウンテンバイクは最もアクセシビリティが高い自転車競技のひとつに数えられている
クロスカントリー・マウンテンバイクは最もアクセシビリティが高い自転車競技のひとつに数えられている
現在32歳のカナダ人ライダー、エミリー・バッティは次のように話を始める。「マウンテンバイク(MTB)は最も多様なスポーツのひとつです。年齢は参入障壁になりません。マウンテンバイクを持っていればOKです。エクササイズはもちろん、メンタルヘルスにも効果があります。また、本格的に取り組んでワールドカップを目指すこともできます。永遠に成長を続けられるスポーツで、日々上達を感じられますよ」
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起源

MTBは自転車としては比較的新しいため、これを使ったレーシングも新しいスポーツだ。オフロードでのバイクライドは1890年代から存在しているが、MTBの特徴的なフレーム、ホイールサイズ、ジオメトリーが確立されたのは1970年代中頃で、世界初のMTBクロスカントリーイベントは1978年コロラド州アスペンのクレステッド・ビュート(Crested Butte)の約60kmコースで開催された。
その後数年でMTBのデザインはさらに進化していき、フロントフォークにサスペンションが導入されてよりハードな地形を走破できるようになった。そして、MTBライダーが増えていくと、全世界の自転車競技を管轄するUCI(国際自転車競技連合)によって1990年に正式な自転車競技として認証された。以降、このスポーツを楽しむ人口は増え続けている。
エミリー・バッティのバイク
エミリー・バッティのバイク
エミリー・バッティに話を戻すと、彼女は兄の影響で10歳からこのスポーツに親しんできた。才能あるジュニアライダーとして注目されていたバッティは、2005年に世界選手権デビューを飾ったあとXCOワールドカップレギュラーライダーとして活躍を続けており、2019シーズンにはカナダ選手権4連覇を達成している。
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レースの特徴

UCIが統括・運営しているワールドカップのXCO用レーストラックは全長4〜5kmで、ライダーはこのレーストラックを5〜6周(ジェンダーによって異なる)する。レース時間は約1時間20分だ。そして、XCOはレースアクションを見逃す心配がほとんどない。バッティはXCOの観戦について、目の前を高速で駆け抜けるライダーを一瞬観て終わりではなく、どこに陣取ってもレーストラックの約60%を観ることができるので、大事な瞬間を見逃すことはまずないとしている。
このように余裕を持って観ることができるXCOだが、実際はかなり激しい疲労が伴うスポーツだ。バッティは次のように説明する。
全力で走り続ける強烈な90分になります。最大心拍数の90〜98%で走り続けることになりますし、レースは非常にコンペティティブです。ライダーにはフィットネスとバイクのハンドリングスキルが求められますが、メカニック関連の知識も必要になります。ノートラブルでなるべく早くA地点からB地点に到達しなければならないので非常にチャレンジングです」
しかし、重要なのは物理的な部分だけではない。バッティが続ける。「メンタル的にも最も厳しいスポーツのひとつだと思います。考え続けるからです。ゾーンに入っていればOKというスポーツではありません。レースの大半で最大エフォートを維持しながら様々な考えを扱わなければならないのです」
XCOでは全身の筋力と体力を使うことになる
XCOでは全身の筋力と体力を使うことになる
通常、ワールドカップレベル以下のXCOイベントでは、あらゆるレベルとタイプのライダーが確認できる。このようなイベントには様々なクラスと年齢別グループが用意されており、それぞれでスリルとチャレンジを楽しむことができる。
XCOを楽しんでいる成人ライダーは「スポーツ」、「シニア」、「エキスパート」とクラスを上げていくことになるが、彼らの頂点に位置しているのがバッティのような「エリート」クラスだ。このクラスに到達したライダーは、世界各地で開催されているワールドカップに競技活動のほぼすべてを費やすことになる。
バッティは次のように説明している。「ワールドカップはここ10年で大きく進化しました。特にここ3年はレベルが安定していますね。観戦にも向いています」
女子トップライダーのひとり、ポーリーヌ・フェラン=プレヴォ
女子トップライダーのひとり、ポーリーヌ・フェラン=プレヴォ
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XCO初心者に必要なもの

嬉しいことに、XCOは高価なバイクを買わなくても始められるバイクスポーツだ。
バッティは「MTBクロスカントリーを始めたばかりなら、まずは中級レベルのイベントを探してみましょう。参加して他のライダーと交流してみましょう」とアドバイスを送っている。
さらなるレベルアップを目指しているなら、レース用モデルへの乗り換えを考えたい。クロスカントリー・マウンテンバイクの平均重量は7〜16kgで、MTB最軽量クラスとなっている。ハードテイルが多いが、近年はプロライダーたちがフルサスペンションを好むようになっており、ホイールサイズも26インチから29インチへサイズアップしている。
クロスカントリーではラフな地形を走るため、ロードバイクよりも直立姿勢を取る時間が長くなる。当然、ヘルメットは不可欠だが、ダウンヒルに本格的に取り組む予定がない限り、フルフェイスヘルメットやプロテクター類は必要ない。
2021シーズンのアルプシュタットに参戦したエミリー・バッティ
2021シーズンのアルプシュタットに参戦したエミリー・バッティ
尚、バッティはMTBへのアクセシビリティを高める取り組みを進めており、恵まれない子供たちにMTBを提供する【Emily Batty Project】を立ち上げている。
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注目ポイント

XCOはレース競技のため、BMXフリースタイルのようなトリックは重要ではない。このスポーツではバイクのハンドリングスキルレース戦略が何よりも重要だ。バッティは次のように説明している。
「レース戦略はとても重要ですね。大まかなポジションが決まるスタート直後は特に重要です。クロスカントリーではマススタートを切ってから数分でシングルトラックを走ることになりますが、シングルトラックに入ればポジションがほぼ固定されます。ですので、どのライダーもポジションが落ち着かない1周目でポジションをできる限り上げようとします。一番激しいレース展開になるのが1周目なのです」
スタート直後のポジショニングがレースの行方を決める
スタート直後のポジショニングがレースの行方を決める
というわけで、XCOのレースを観戦する場合は、ライダーたちがベストポジションを争うスタート直後に注目したい。ここでのライディングが序盤の展開、さらにはレースの結果に影響するときは少なくない。
しかし、スタートに成功しても勝利が約束されるわけではない。バッティが指摘している通り、クロスカントリーライダーはレース展開と天候などを常に分析・計算しているため、ポジションが随時入れ替わる可能性がある。全員が前に出るチャンスを狙う最終周では他の自転車競技で使用されているテクニックや戦術が確認できる場合もある。バッティが解説する。
「クロスカントリーの最終周ではロードバイクの戦術が採用されるときが多いですね。最終周ではライダー全員がライバルの前に出るチャンスを窺うことになります。風がどこからどの強さで吹いているのか、左右どちらから前に出るべきなのかなど、ライダーは様々な条件・状況について考える必要があります。どのタイミングでどこを走るべきなのかを常に考えているのです」
レース戦術とマインドゲームがクロスカントリーの魅力のひとつ
レース戦術とマインドゲームがクロスカントリーの魅力のひとつ
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注目ライダー

レースの注目ポイントは理解できたが、注目ライダーは誰なのだろうか?
バッティは「女子部門では数人のレッドブル・アスリートが活躍中です。現在の女子部門はトップ12の誰が優勝してもおかしくない戦国時代を迎えています。エナジーに溢れていますよ。誰が強く、誰がその座を狙っているのかがひしひしと伝わってきます」と説明している。
以下にそのようなエナジーに溢れる女子部門で要注目のレッドブル・アスリートたちを紹介する。
「自分の時代が来たことを高らかに宣言しているライダーがケイト・コートニーです。彼女にとって素晴らしい1年った2019シーズンを今年再現できれば北米のクロスカントリーシーンは大いに盛り上がるでしょうね。カナダと米国がヨーロッパと肩を並べられるようになれば最高です」(バッティ)
「ウクライナ出身のライダーです。臀部骨折から1年半ぶりに復帰しました。絶好調時の彼女は誰にも止められませんよ」(バッティ)
「イーヴィーは私の元チームメイトです。彼女はマシンのようなアスリートで、2020シーズンはXCC(クロスカントリー・ショートトラック)でいくつかの勝利を挙げました。間違いなく現在注目のライダーのひとりです」(バッティ)
次世代を牽引するケイト・コートニーとイーヴィー・リチャーズ
次世代を牽引するケイト・コートニーとイーヴィー・リチャーズ
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レースの観戦方法

クロスカントリーの概要と注目ポイント、注目ライダーを理解できたはずだが、実際のレースはどこで観戦できるのだろうか?
Red Bull TVではUCIワールドカップが全戦中継されているので、レース観戦を楽しめます。Red Bull TVはコンテンツが非常に充実しているので、ただのレース中継を超えていますね。言語は英語だけですが、レース前のインタビューや特集も楽しめます」
このように語るバッティは、お気に入りのライダーのソーシャルメディアアカウントをフォローすればRed Bull TVでのレース中継をさらに楽しめるようになると続けている。
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