ゲーム
毎年優秀なインディータイトルがゲーミングシーンに新陳代謝を促しているが、今年はダイビングアドベンチャーとレストラン経営シミュレーションを組み合わせた韓国製タイトルがその1本になりそうだ。
韓国の開発スタジオMin Rocketが2023年夏にリリースした『Dave The Diver / デイヴ・ザ・ダイバー』がゲーミングシーンを驚かせている。
ダイビングアドベンチャーと寿司屋経営をキュートに組み合わせたこの作品はPCゲーマーたちのハートをがっちりと掴んでいるようなので、先日、早期アクセスを終えて正規リリースされたこの作品を早速レビューしていこう。あらゆるディテールに愛情と拘りが感じられるピクセルアートインディータイトルの魅力とは?
ダイビングと言えば… 8月3日に高千穂峡で開催される【Red Bull Cliff Diving World Series 2023】をチェック!
01
あらすじ
ゲームスタート時、タイトルにもなっている主人公のデイヴはビーチでくつろいでいる。しかし、すぐに友人のコブラから「美味い寿司をご馳走する」と連絡が入る。そして誰もがそうするように、デイヴはすぐに飛行機に飛び乗り、南の島へ向かうのだった。
しかし、島に着いたデイヴはコブラからその寿司のネタを自分で用意しなければならないことを伝えられる。デイヴはダイバーなので海に潜って魚を獲るのは問題ないが、実は彼がやらなければならないことはこれだけではなかった…。
コブラは、常に生態が変化している不思議なブルーホールの脇に寿司レストランを開く予定で、メニューはありとあらゆる魚がいるそのブルーホールの特徴を活かしたものにしたいこと、そしてその寿司はバンチョと呼ばれるひと癖ありそうな板前が握ることを明かすのだが、デイヴはここでも仕事を任される。
なんと、デイヴは昼にブルーホールで魚を獲ったあと、夜はこのレストランのホールを担当しなければならないのだ…。
他にも様々なキャラクターと出会い、それぞれのストーリーを進めながらブルーホールに潜む謎を解き明かしていくことになる彼が新しい生活に飽きるまでは相当の時間がかかりそうだ!
02
ダイビング
デイヴがやらなければならないことは多岐に渡るため、『デイヴ・ザ・ダイバー』のゲームプレイもバラエティに富んでいるが、大きく2つに分けることができる。
前述した通り、昼間はブルーホールに潜って魚やアイテムを集め、夜は寿司レストランの経営を手伝うのがデイヴの大きな仕事だ。
寿司レストランではメニューやインテリアデザインを決めたり、スタッフを雇ったり、空腹の客に寿司を出したりしなければならないが、ウエイトがより大きいのは昼間のダイビングだ。
ダイビングでは、ローグライクのように潜るたびに変化するブルーホールを探索しながら魚を獲り、クラフト用アイテムを集め、ダイビングの助けになるツールが入っているボックスを探していく。しかし、最終的にプレイヤーはこれらに優先順位をつけなければならなくなる。
その理由は2つあり、ひとつはデイヴの酸素残量だ。酸素がなくなればコブラに強制回収されるのだが、この場合、デイヴが持ち帰れるアイテムはひとつだけになってしまう。
そしてもうひとつの理由が重量制限だ。デイヴが持ち運べる重量は決められており、魚を含むすべてに重量が設定されている。さらに、デイヴが持ち運ぶ重量が重くなればなるほど彼の移動速度が落ちてしまい、重量制限を越えたあとは何も持てなくなる。
また、デイヴやナイフや銛を使って魚を獲るのだが、ブルーホールにはデイヴを襲う魚も棲息している。このような敵対種には銛や銃で対抗できるが、サメやカサゴを含むそれらの魚に襲われると酸素残量が減ってしまう。
つまり、ただ適当に潜るのではなく、酸素量を常に考えておく必要があるのだ。しかし、幸運なことに海中には酸素を追加できるコンテナや浮上用ポッドなどが用意されているので、ある程度は安全に探索を進められるようになっている。
魚の捕獲はミニゲーム形式になるときもある。小魚はナイフなどで簡単に捕獲できるが、そうではない魚もいる。そのときは銛を撃ったあとに特定のボタンを連打したりゲージを特定の位置で止めたりする必要がある。
ミニゲームの内容が銛ごとに変わるようになっているのは非常に優れたゲームデザインだ。また、銛によっては効果が付与されており、スリップダメージや電撃を与えることができる。
当然ながら、ダイビング関連は稼いだお金でアップグレードできるようになっており、酸素ボンベのサイズ、重量制限、ダイビングの限界深度などを改良できる。また、銃器を新たに開発することもできる。コブラの知人(ダフ)に連絡を取り、彼から指示されたアイテムをブルーホールから回収してくれば、強力な武器を製造してもらえるのだ。
03
寿司レストラン
キャッシュフローを維持するためには寿司レストランを上手く経営しなければならない。
デイヴは自分が獲ってきた魚で毎晩メニューを考案しなければならないのだが、人気のメニューがどれで、どれだけの利益が出ているのかなどについても確認しなければならない。また、メニューとして用意する魚の数を事前に決定しなければならないところも興味深い。余った魚は処分されてしまうので、なるべく無駄にならないように注意する必要がある。
握りを含むその日のメニューを決定したら開店だ。開店後はミニゲーム形式でお茶を提供したり、板前のバンチョが用意した寿司や料理を客まで運んだりしなければならない。また、皿を下げたり、わさびを仕込んだりする必要もある。
最初は比較的簡単だが、寿司レストランの評価が高まっていくとストレスが大きくなっていく。しかし、幸運なことにある程度資金が貯まれば、スタッフを雇えるようになる。
客が満足して退店すると、飲食店レビューアプリで高評価を残してくれる。そして「いいね」の数が十分に集まるとレベルアップするので、メニューの数を増やしたり、新しい料理を研究したり、スタッフを雇い入れたりできるようになる。これらのアップグレードによって収益力がさらに高まり、ダイビングの設備・装備にさらに投資できるようになる。
このエコシステムが『デイヴ・ザ・ダイバー』最大の魅力だ。このタイトルには様々なゲームプレイ要素が盛り込まれているが、そのすべてがまるでメンテナンスの行き届いた機械のように上手く噛み合って機能している。それぞれがお互いに影響を与えるようになっているため、何をプレイしていても、ゲーム全体が前に進んでいることが理解できる。
また、すべての部分に遊び心が詰まっているためストレスが溜まらず、いわゆる “作業” になるときもない。夢中になってプレイを続けてしまうのだ。すべてのキャラクターが非常に魅力的なところも全体に貢献している。
04
ディテールへの拘り
『デイブ・ザ・ダイバー』の素晴らしさはゲームプレイだけに留まらない。音楽とビジュアルも非常に優れており、ピクセルアートと3Dを見事に融合しているビジュアルとリラックスしたBGMのコンビネーションは最高だ。
『デイブ・ザ・ダイバー』は “サプライズヒット” であり、ローグライクや経営シミュレーションのファンなら必ず楽しめるだろう。また、どのゲームプレイも難度が適度に抑えられており、ビギナーでも楽しめるようになっているが、ベテランプレイヤーが簡単すぎると思うこともないだろう。
暑い夏にピッタリの1本と言える『デイヴ・ザ・ダイバー』は年内にはSwitch版のリリースも予定されている。
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