Gaming
『DiRT 5』が2020年10月にPC、Xbox One、PS4、そして待望の次世代機(PS5 / Xbox Series X)でリリースされる。
人気レーシングゲームシリーズとして知られる『DiRT』シリーズはシミュレーションのリアリティとアーケードの楽しさを見事に組み合わせてきたが、新機能とモードが追加される『DiRT 5』でもその特長は保たれるようだ。
開発元のコードマスターズで『DiRT 5』のリードデザイナーを務めるMichael Moretonをキャッチして、『DiRT 5』の新機能や新モード、そして次世代機に合わせたゲームデザインの難しさなどについて話を聞いた。
次世代機に向けた開発プロセス
『DiRT』シリーズは、跳ねる泥、タイヤスピン、ほんの少しの接触までもがリアルに感じられるほど細かくて美しいグラフィックスで知られているが、最新作『DiRT 5』はPS5とXbox Series Xにも対応するため、ゲーミング史上最高に美しいレーシングゲームのひとつになる可能性が高い。
最新作のグラフィックスはどこまで詰められているのだろうか? Moretonは次のように話を始める。
「“大胆不敵で勇敢で記憶に残る作品” という『DiRT 5』の全体目標に相応しいグラフィックスになります。次世代機のパワーが『DiRT 5』で設定しているプレイヤーエクスペリエンス面の高い目標を達成する助けになってくれていることに興奮を覚えています。グラフィックスはそのようなプレイヤーエクスペリエンスを得るためには欠かせません」
「コードマスターズは、すべてのレーシングゲームで独自の世界観を作り出す方法を見出してきましたが、『DiRT 5』ではゲーミングエクスペリエンスのあらゆる部分にアーティスティックな魅力を加えることに力を入れています」
「そして、そのアーティスティックな魅力に、グラフィックスのクオリティと精度を高めてくれる次世代機のテクノロジーを組み合わせようとしているのです。ですので、次世代機とコードマスターズの相性はかなり良いと言えますね」
次世代機の他に類を見ないパフォーマンスと機能に興奮を覚えているMoretonからは、それらの可能性にさらに大きな興奮を覚えていることが伝わってくる。コードマスターズは120hzのリフレッシュレートや超高速ロードなどをはじめとする次世代機のアドバンテージを最大限活用する予定だ。
しかし、新たな機能やモードが大量に追加される『DiRT 5』の開発プロセスでは何が最優先されたのだろうか? Moretonは次のように回答している。
「自社のゲームエンジンを次世代機で問題なく機能させることを最優先しました」
「次世代機対応で開発を進めた時に得られるメリットを確認したあとは、ハードウェアと機能面の両方の新しい部分をすべて具体的にリストアップして、『DiRT 5』のゲーミングエクスペリエンス、奥深さ、グラフィックス、没入感を高めるためにそれらをどう活用すれば良いのかについて、ひとつずつ確認していきました」
また、Moretonは、新しいテクノロジ-は新しいチャンスと同時に新しいチャレンジも提供するため、開発チームは既存とは異なるアプローチを用意して開発を進める必要が出てくることを強調したあと、次のように続ける。
「プラットフォーム間で差が出ないように上手くバランスを取ることも意識しています。現行機、次世代機を問わず、すべてのプレイヤーに最高のゲーミングエクスペリエンスを提供することにフォーカスしています」
「すべてのプラットフォームで同じゲーミングエクスペリエンスを得てもらいたいですね。すぐに次世代機へ移行できないプレイヤーもいるわけですから、『DiRT 5』は彼らも楽しめるゲームにしたいと思っています」
ここで我々は、次世代機対応のビデオゲーム開発の難しさについてもう少し具体的に話してもらうことにした。
「家庭用ゲーム機の世代が交代するたびに、開発チームには乗り越えなければならないハードルが与えられます。世の中のすべての開発チームが、世代交代はエキサイティングであると同時にチャレンジングだと言うでしょう。長年採用してきたアプローチやシステムを再考する必要が出てきます。新しいテクノロジーに合わせてアプローチやシステムをアレンジしていくのです」
「有り難いことに、『DiRT 5』の開発チームは素晴らしい才能を持っている優秀なスタッフの集まりなので、次世代機をクリエイティブかつ斬新なアイディアで使えています。彼らは次世代機ならではのチャレンジを認識したあと、それらをチャンスとして捉えて素晴らしい仕事をしてくれます」
PS5とXbox Series X
また、PS5とXbox Series Xの具体的な違いについて、Moretonは次のように説明している。
「性能に関して言えば、PS5とXbox Series Xはゲーミング史上最大の世代交代のひとつになると思います。フレームレート、解像度、RAM、GPUを含むあらゆるスペックは、数年前なら家庭用ゲーム機ではまず不可能と言われていたレベルに到達しています」
「PS5とXbox Series Xを独自にテストしましたが、それぞれの性能には本当に驚かされています。もちろん、それぞれに、理解するまでに時間が必要な部分がいくつかありますが、共に素晴らしい家庭用ゲーム機であることに変わりはありません。ビデオゲーム開発の可能性を大きく高めてくれています」
新世界
長寿シリーズの最新作とくれば、注目を集めるのは新モードと新機能だが、『DiRT 5』では、コードマスターズが「増幅されたオフロードワールド」と謳うユニークな世界が中心に据えられている。具体的にどのようなゲームになるのだろうか?
「“増幅されたオフロードワールド” は私たちが大きな興奮を感じている『DiRT 5』の特長です。『DiRT 5』では、レースの勝利は栄光までの最初の一歩に過ぎません。プレイヤーは、スタイル、個性、カラーリングなどを含むすべての面で輝きを放つ必要があります」
「私たちはそのようなすべてをひとつにまとめて『DiRT 5』の “バイブス” と呼んでいますが、このゲームの世界では随所でこのバイブスを感じられるようになっています。そして、『DiRT 5』の世界はすべてが増幅されていて、マシン、音楽、レーストラック、アクションがすべてレベルアップされています。この増幅感もバイブスの一部です」
「レースに参加している時も、リバリーのデザインをしている時も、フォトモードで撮影している時も、この “増幅感” がクリエイティブで楽しいゲームプレイを促してくれます」
Moretonは、次世代機のテクノロジーが『DiRT 5』のクオリティと没入感をさらに高めてくれたおかげで「増幅されたオフロードワールド」のゲームプレイと機能をポップで印象に残るものにできているとし、次のように続ける。
「思わず笑顔になってしまう瞬間や、キャプチャして世界とシェアしたくなる瞬間をプレイヤーに提供できそうです。次世代機の進化したテクノロジーのこのような思いを現実に変える力になってくれています」
ここから先は、『DiRT 5』のモードと機能について具体的に話をしていこう。まず、ストーリー付きのオフラインキャリアモードが収録される。
英語音声にトロイ・ベイカー(『Last of Us』シリーズのジョエル)やノーラン・ノース(『アンチャーテッド』シリーズのネイト)を起用しているこのモードについて、Moretonは「ディープなナラティブが用意されています。また、プレイヤーの選択肢も大量に用意されています」と説明している。
また、オフラインのデザインモードも収録される予定で、レーシング環境やマシンを自分でデザインできるようになる。マシンはクラシックなラリーマシンからどんな悪路も走破できるラリートラック、カスタムバギーまでが含まれる。そして、すべてのオフラインモードは最大4人までの画面分割に対応する。
Moretonがさらに説明を続ける。
「一方、オンラインではプレイヤーが参加できるレースイベントリストを収録します。また、スペシャルなパーティゲームモードもいくつか収録する予定です。より具体的にお話できる日が近々来ると思います」
「また、プレイヤープロフィールやリバリーエディター、フォトモードで自分の個性とスタイルをアピールすることもできます。他にも多くの新機能や新モードを準備していて、今後数ヶ月で情報を公開していく予定です。その中にはシリーズ初も含まれています」
『DiRT 5』のアナウンストレーラーでは、様々なマシンが世界各地の様々な地形にチャレンジしており、ニューヨーク・イーストリバーでのアイスレースや中国の泥まみれのトレイル、ノルウェーのオーロラレースなどが収録されるようだが、Moretonはプレイヤーは地形以外にも注意する必要があるとし、次のように説明する。
「アナウンストレーラーに極端な天候でのレースをいくつか用意することで、『DiRT 5』のレーシングコンディションの変化の幅を紹介しましたが、吹雪、砂嵐、雷雨など視界がかなり悪い中で走らなければならない時があるので、大胆で勇気のあるハンドリングも必要になります」
「実際『DiRT 5』では天候と時間帯がダイナミックに変化するので、たとえば、濃霧の夜明けにスタートしたあと、日の出と共に美しく青空の下を走り、さらにそのあとで嵐や雪がに対応するレースも考えられます。このゲームではこのようなレース展開を経験することになるでしょう」
Google Stadiaにも対応
『DiRT 5』はPS5・Xbox Series 5・PS4・Xbox One・PC(Steam)に対応するが、時間差でGoogle StadiaとWindows Storeにも対応する予定となっている。ストリーミングサービス用の開発は他のプラットフォーム用の開発とは違うのだろうか? Moretonは次のように説明している。
「『このDiRT 5』は他のプラットフォームより少し遅れてGoogle Stadiaでもリリースされる予定です。Google Stadia版の開発は他の開発とは少し異なりますが、独自のアドバンテージもあります」
「Google Stadiaについては常に学んでいますし、Googleも『DiRT 5』をGoogle Stadiaに最適化させようとしている私たちに分厚いサポートを提供してくれています」
残念ながらGoogle Stadia版は日本ではまだプレイできないが、2020年10月の『DiRT 5』のリリースを楽しみに待ちたい。
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