Dr. Hill doing a freeze on the ledge of a park
© Little Shao/Red Bull Content Pool
ダンス
Luka & Dr. Hill:夢を追って海外へ飛び出した2人のB-Boy
ブレイキンを極める旅は海外生活と新たなキャリアパスに繋がる可能性がある。母国を離れて活動を続ける2人のB-Boyに話を聞いた。
Written by Emmanuel Adelekun
読み終わるまで:5分Published on
ブレイキンはただのワールドワイドなダンススタイルではない。
ブレイキンはひとつのライフスタイルであり、B-BoyとB-Girlはブレイキンを通じて世界を旅したり、新しい国を訪れたり、そしてさらには新しい人生を築く生活拠点を見つけたりしている。また、ブレイキンはひとつのハイレベルなパフォーマンスでもあり、ブレイカーたちは世界各地で仕事を得たり、人生に変化を加えたりしている。
Tsunami All-Starsに所属するB-Boy LukaUnik Breakersに所属するB-Boy Dr. Hillは、生まれ故郷から遠く離れた国で新生活を送っているブレイカーだ。今回は2人に移住したきっかけとその理由について話してもらった。
出身国と今住んでいる国について教えてください。
Luka:僕はブラジル・サンパウロ出身で、今は米国・ラスベガスに住んでいる。
Hill:僕はメキシコ出身で今はスイス・チューリッヒに住んでいるよ。
移住した理由は?
Luka:ラスベガスで公演されているシルク・ドゥ・ソレイユの『The Beatles LOVE』に出演するチャンスを得たんだ。彼らはメンバーが退団するタイミングでB-Boyを必要としていた。だから、メンバーのひとりとしてこの公演に深く関わっている友人が僕の映像を見せて、僕を売り込んでくれたんだ。それでシルク・ドゥ・ソレイユ側が気に入ってくれて連絡をくれたのさ。
このチャンスを得たことで、僕は家族を支えることができるようになった。キャリアを通じて僕を支えてくれた人たち、つまり家族に恩返しをするというのが、僕の長年の目標だった。だから仕事のオファーを受けることにしたんだ。
Hill:最初はブレイキンのために色々と飛び回っていた。ジャッジの仕事ができる国、バトルできる国を探していた。それをずっと続けていたんだけど、最終的にはガールフレンドが住んでいるスイスに落ち着いたんだ。
ハローバックをメイクするLuka
ハローバックをメイクするLuka© Dean Treml/Red Bull Content Pool
移住後に最も苦労した点は?
Luka:家族から離れたことだね。でも、ラスベガスはホームのように感じているよ。なぜなら、ラスベガスに住んでいるブラジル人の友人と彼の家族が助けてくれているからね。だから、すぐに慣れることができた。
Hill:言葉と友人だね。言葉の壁が問題になって自分を表現するのにとても苦労した。チューリッヒはスイス系ドイツ語圏だから、独学でドイツ語を学んだ。
あとは、友人がひとりもいなかったから、誰も知らないまま練習を始めた。友人ができるまではしばらく時間がかかったけれど、今は知り合いが沢山できたし、親友も5人いるよ。
移住はダンスとキャリアの目標を達成する助けになったと思いますか?
Luka:(移住は)神の恵みだよ。ラスベガスへ移ったことで僕は人間として成長できたし、自分のダンスを進化させることもできた。ハードワークと情熱を通じて、ヴィジョンとゴールを実現している。
あとは、職場が用意してくれている環境からも大きな恩恵を得ている。パーソナルトレーナーが細かくチェックしてくれているから、フィジカルをベストコンディションに仕上げることができている。これが僕のブレイキンにも活きている。
また、職場の理学療法士にトレーニングから得る痛みを解消してもらっている。こういう環境が得られていることに感謝しているよ。
Hill:僕はゼロからスタートした。クラスを開講しながら、自分の人生をゆっくりとリスタートさせたんだ。
また、自分のダンスを深く理解できるようになった。自分が踊りたい音楽が何なのか、自分のムーブが何なのかをきちんと理解できるようになった。
Red Bull BC One 2018のB-Boy Dr. Hill
Red Bull BC One 2018のB-Boy Dr. Hill© Little Shao/Red Bull Content Pool
故郷の何が恋しいですか?
Luka:家族だね!
Hill:自分のクルー、食事、家族だね。家族は常に僕の近くにいた。ダンスをサポートしてくれていたわけではないし、僕がダンサーになるために学校を辞めたことも残念に思っていたけれど、大会やイベントの結果を気にしてくれていた。
今は僕が残してきた結果を理解してくれているし、僕を誇りに思ってくれている。
ある程度の目標を達成したら母国に戻る予定ですか?
Luka:そのつもりはないね。自分の好きなことをやれる今の生活が気に入っているんだ。家族をこちらに移住させることが当面の目標だね。
Hill:選択肢のひとつだね。僕は今スイスに住んでいるけれど、僕の現実はメキシコにある。でも、人生を常にプッシュしてきたからこそ、今スイスに住んでいる。とりあえずは、落ち着いたライフスタイルを得ることが目標だね。
B-Boy Luka
B-Boy Luka© Little Shao/Red Bull Content Pool
移住したことを後悔していますか?
Luka:全くしていないね。
Hill:家族については多少後悔しているところがある。たとえば、僕の祖父が亡くなった時、僕はスイスにいた。家族を助けたいと思う時も良くある。
でも、父親がアドバイスを送ってくれたんだ。「まずは自分のために生きるんだ。そうすれば、他人を助けられるようになる」ってね。まずは、お金を稼いで、そのあとでお金が必要な人を助けようってことさ。
ブレイキンやダンスキャリアのために移住することを考えているブレイカーに送るアドバイスはありますか?
Luka:目標があって、その目標達成のための学習機会や成長機会が移住によって得られるなら、そうしない理由はないよね。不可能なことなんてない。
でも、何かしらの犠牲は必ず伴うし、なぜ自分がそうするのかを考える必要がある。目標は何なのか、何を成し遂げたいのかを忘れないようにしよう。正しい道を進む必要がある。
Hill:移住する前に目標を確認することだね。自国にあるものをフル活用していないうちに移住すれば、移住先でも中途半端に終わってしまう。僕はメキシコで全力を尽くした。そのあとも自分のやりたいことを続けるためにスイスへ移住したんだ。
Hill (aka Dr. Hill Skills)
Hill (aka Dr. Hill Skills)© Dean Treml/Red Bull Content Pool
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