Expect a more indeth experience for viewers thanks to this new tech.
© ELEAGUE
eスポーツ
最新テクノロジーでeSports中継を牽引するELEAGUE
『ストリートファイターV』や『CS:GO』のトーナメントをホストするELEAGUEが導入したeSports中継の未来を変えるテクノロジーとは?
Written by Kevin Hitt
読み終わるまで:6分Published on
Turner(ターナー・ブロードキャスティング・システム:TBSやCNNなどを抱える米国の衛星・ケーブル放送局)が展開するELEAGUEは、たった1年強でeSportsトーナメントの代名詞にまで成長した。Majorを含む『CS:GO』の各種トーナメントや『ストリートファイターV』のトーナメントなどを展開しているELEAGUEは、すでにストリーミング及びケーブルテレビコンテンツのトッププロデューサーとしての地位を確立させている。
そして現状から判断するに、彼らはその成功に満足していないようだ。

伝統的なeSports中継からの変化

先日、ELEAGUEの『CS:GO』シーズン2となる、CS:GO Premier 2017がPCモニターとテレビで中継された時、視聴者はこれまで見たことがない3つの最先端中継テクノロジーを目の当たりにした。
TurnerとIMGがIT企業3社と組み、プレイヤーの体温やパスマップ(軌跡)などのオンスクリーンの詳細データを表示すると同時に、アップデートされた3DVRテクノロジーを活用した360°のVR映像を提供することで、視聴体験を大幅に強化したのだ。
これらのテクノロジーを実現に導いたのが、Turner SportsのEsports Products & Technology部門の部長を務めるRobert Occhialiniだ。彼は新しい視聴体験を提供するために何ヶ月も前から準備を進めてきた。
Occhialiniは「伝統的なプロスポーツ中継の最先端テクノロジーに関するチャレンジは、分析データの導入です。ですので、データから作り出されたスポーツであるeSportsに伝統的なプロスポーツ中継のような分析データを重ねて良いのかと、最初はかなり疑問に感じていました。私たちは “ビルド・ア・ベア” のような、カスタマーに無数の選択肢を用意するeSportsエクスペリエンスを提供したいと思っていますが、同時に視聴者の多くがシンプルにリラックスして中継を楽しみたいと思っていることにも気付きました。ですので、3D映像の中に、これまで通りの2D映像を入れ込むというのが、ベストソリューションだと思ったのです」と説明している。
Occhialiniが触れているこのベストソリューションとは、先日のCS:GO Premier 2017で導入され、あらゆるプラットフォームの視聴者が楽しんだ最もエキサイティングなテクノロジーのひとつを指している。Sliver.tvの3D(VR)ストリーミングでは、360°のシネマティック・バーチャルリアリティ環境でELEAGUEの生中継を楽しめたため、ファンはゲームの中にほぼ完全に入り込むことができた。実際のゲームマップの中に入り込めた視聴者は、お気に入りのプレイヤーを追いかけたり、戦闘アクションのど真ん中に自分を立たせたりすることができた。対戦中のあらゆるアクションがVRのファーストパーソン視点で楽しめたのだ。
There's more than one way to watch a game of CS:GO.
3Dに2Dを組み合わせたCS:GO Premier 2017のVR中継© Sliver.tv
Occhialiniが続ける。「私たちはELEAGUEの通常の2D映像を誇りに思っています。Sliver.tvの視聴体験が素晴らしいのは、没入感の高いVR映像を楽しみつつ、その2D映像も楽しめるところです。今回の導入で、Sliver.tvがELEAGUEにふさわしい存在だということが明らかになりました。VRヘッドセット専用ではない、Silver.tvのプラットフォームとしてのユビキタス性は本当に素晴らしいと思います」
この3D視聴体験と並んで、ELEAGUEが今回新たに導入した最も興味深い中継テクノロジーのもうひとつが、最先端のアイトラッキング(指標追跡)テクノロジーだった。彼らのアイトラッキングテクノロジーは、最大2名のプレイヤーの目の動きを画面に表示することが可能で、視聴者は世界トップレベルの『CS:GO』プロプレイヤーが対戦中にどこを見ているのかを知ることができた。
ELEAGUE is experimenting with different views and maps.
Shadow.ggが提供する詳細データ© Dojo Madness
Dell傘下のAlienware PCにこのアイトラッキングテクノロジーを提供した企業Tobiiは、生体認証データを分析し、それを瞬時にディスプレイ上に重ねて表示することで、対戦中のプレイヤーの視点移動が分かるようにしている。これにより、CS:GO Premier 2017のプレイヤー、キャスター、ファンは緊張感高まる瞬間にプレイヤーがどこを見ているのか、またどれだけ速く状況を判断しているのかなどを対戦中に知ることができた。
ELEAGUEが今回新たに導入した3つ目のテクノロジーが、Dojo MadnessのShadow.ggだ。eSportsのデータ分析ツールを提供しているShadow.ggは、視聴者にヒートマップ、スモークマップ、パスマップなどの高度なデータ画像と、戦術的・統計的なリプレイを提供しており、シーンで話題を集めている。CS:GO Premier 2017でも、アナリストと視聴者にデータを元にした各チームの戦術的傾向、長所、短所を提供していた。
かつてNBAと仕事をしていた伝統的なプロスポーツ業界出身のOccialiniは、伝統的なプロスポーツ中継で使用されるようなデータをeSportsに提供できる企業を探していたが、彼のニーズに応えたのがDojo MadnessのShadow.ggが提供するデータだった。Occialiniは、これらの詳細データは多くのeSportsファンが興味を持ち始めている部分への答えになると考えている。
Occialiniが説明する。「最近のeSportsのアナリストやファンは『誰が勝ったのか』ということしか知りたがりません。『なぜ勝ったのか』を知りたがる人はあまり多くないのです。今回のShadow.ggの導入は、『なぜ勝ったのか』を知りたがる人が増えるきっかけになると思います」
今回紹介した3つのテクノロジーは、このようなファンの疑問に答えるために非常に重要だが、統計データの分析が重要視されてきている今のeSportsシーンに参加するあらゆるチームや団体にとっても重要だ。
ELEAGUEは、TBS単体でCS:GO Premier 2017の各エピソードの平均視聴者数30万人弱を達成しており、eSports中継を引き続きプッシュしている。ちなみに、Twitch.tv史上最多視聴者数記録を達成した『CS:GO』のELEAGUE Majorは100万人以上が視聴したと言われている。
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