A competitor takes part in a South African enduro race.
© Ewald Sadie
MTBエンデューロ

MTBエンデューロ:レース基礎知識

MTBエンデューロとはどのようなカテゴリーで、レース形式はどうなっているのだろうか? 地形や必要なバイクの種類など、知っておくべき基礎知識をまとめてみた。
Written by James McKnight
読み終わるまで:6分Published on
MTBエンデューロのレースは、基本的には1日中(あるいは複数日)バイクに乗り続けるというタフな内容で、通常はダウンヒルで行われる複数の計時ステージそれらを繋ぐ区間(リエゾン)で構成されている。
レースフォーマットは様々だが、一般的なエンデューロレースでは決められたルートを走り、リエゾン区間では計時ステージ開始に間に合うために規定タイム以内でフィニッシュする必要がある。
エンデューロレースは様々なフォーマットで開催される

エンデューロレースは様々なフォーマットで開催される

© Matteo Cappe/Enduro World Series

通常、これらのイベントは1日、または2日で開催される。ブラインドレースと呼ばれる試走なしのレースもあるが、最低限の試走(イベント開催前日、またはステージレース直前の1回限りのレッキ走行)が認められているレースもある。
これらのレースでは、ライダーは1人、または2人1組でパドックを出発し、自走、またはアップリフト(チェアリフトやゴンドラなど)で各ステージにアクセスする。
それから1人ずつステージをスタートして、ダウンヒルレースと同じ方法で計時が行われ、1日(あるいは複数日)の全ステージの合算タイムで優勝者が決まる。
エンデューロは肉体・精神両面でチャレンジング

エンデューロは肉体・精神両面でチャレンジング

© Matt Wragg/Red Bull

大半のレースでは、ライダーは1レースを通して同一のフレーム / フォーク / ホイールを使用するように規定されており、指定時間外・区域外の外部からのアシスト(メカニカルサポート、戦術アドバイス、食料補給など)は一切認められていない。
つまり、エンデューロはライダーの準備とパフォーマンス維持能力に重点を置きながら、一般的なオールラウンドタイプMTBの耐久性を試すレースと言える。
また、マススタートのエンデューロレースもあり、このフォーマットはフランスのラルプ・デュエズで年に1度開催されるMegavalancheで一躍有名になった。
これらのイベントでは、ライダーたちはメインイベント前に予選レースを戦わねばならず、予選結果によって、栄光を目指す一発勝負のメインイベントのスターティンググリッドが決まる。

MTBエンデューロの起源

ダウンヒル中心のマルチステージイベントはMTBが生まれた当初から行われてきたが、我々が知っている今のエンデューロレースの起源はフランスにあるとされる。
2003年、フレッド・グロー(現在はEnduro World Seriesの運営に参画)と彼のチームがフランスのヴァル・ダロスでTribe 10000というイベントを初開催し、その直後にフランス国内のエンデューロシリーズが創設された。
その後、イタリアのSuperenduroシリーズが立ち上がり、ステージ試走を認めつつ、リエゾンの登坂区間もペダリングで登らなければならないという新たな方向性が打ち出された。
Superenduroでは山の尾根もコースに含まれる

Superenduroでは山の尾根もコースに含まれる

© Lukas Pilz

エンデューロのコース構成

先ほども述べた通り、エンデューロの計時ステージはダウンヒルが中心で、自然そのままの地形を走ることもある。
ステージは短距離スプリントからフィジカルの要求度が極めて高いものまで様々で、中にはトップクラスでも15分を要するステージもある。
岩や木の根が露出した路面から、全開区間、トリッキーでテクニカルな路面まで、エンデューロレースにはMTBの全要素が組み込まれていることがままある。そのようなレースは決して少なくない。
ダウンヒルを駆け下りるグレッグ・キャラハン

ダウンヒルを駆け下りるグレッグ・キャラハン

© Enduro World Series

エンデューロレースは様々な場所で確認できるが、基本的には山岳地帯で開催されている。そのため、リエゾンではタフな登りをペダリングすることになり、オーガナイザーの難易度設定によっては、リエゾン区間が他のセクションよりタフになることもある。
オーガナイザーはライダーたちが各ステージ間を移動するリエゾン区間にタイム制限を設けており、規定時間よりも遅くなった(次のステージ開始時刻に間に合わなかった)場合、そのライダーにはペナルティが科される。

エンデューロで使用するバイク

A specialist Enduro bike used by racers at Enduro events

The Specialized Enduro Comp is a specialist MTB aimed at Enduro racing

© Niall Bouzon

エンデューロレースで使用されるバイクは、我々が普段乗っているMTBに近い。というのも、エンデューロレースでは大半のライダーがオールマウンテンタイプのMTBを使用しているからだ。
サスペンショントラベルは140mm〜170mm、ホイールは27.5インチか29インチ、ドロッパーシートポストを備え、長いダウンヒルに対応した強力なブレーキと大型ディスクも備えたエンデューロバイクは、限りない軽量性と長時間かけて厳しい路面条件を走破できるだけの堅牢性が求められる。Enduro World Seriesを完走できるバイクは、極めてタフなバイクなのだ。

世界各地のエンデューロイベント

UK Gravity Enduro(英国)、Superenduro(イタリア)、Big Mountain Enduro(米国)、Enduro Series(フランス)など、現在は世界各国でポピュラーなエンデューロシリーズが開催されている。
また、フェスティバル的な性格の強いワンオフイベントも数多く開催されており、英国で絶大な人気を誇る‘ArdRock Enduroには数千人規模のライダー・観戦者が参加しており、音楽ライブやエキシビジョンエリアも用意されている。
GT Factory Racingに所属するマーティン・メイズ

GT Factory Racingに所属するマーティン・メイズ

© Sven Martin/Red Bull Content Pool

Enduro World Series

Enduro World Series(EWS)は2013年にイタリアのプンタ・アーラで始まった。
この歴史的に重要な一戦を制したのはファビアン・バレル(フランス / 男子)とトレイシー・モズレー(英国 / 女子)で、同シーズンの初代王者にはジェローム・クレメンツ(フランス / 男子)とトレイシー・モズレーが輝いた。
以来、エンデューロレースの人気はますます拡大し、世界各地で国内選手権・地方選手権などが行われるようになっている。2018年、6シーズン目を迎えているEWSは、その規模をさらに大きくしている。
年間8戦が開催された2017シーズンは、世界42カ国から累計2,960人のライダーがエントリーし、31のオフシャルチームが参戦した。また各イベントのハイライトはオンライン / TV経由で世界中で視聴された。
これまでEnduro World Seriesでは6人の年間王者が生まれており、ジェローム・クレメンツトレイシー・モズレージャレッド・グレイブスセシル・ラヴァネルサム・ヒルリッチー・ルードが名を連ねている。
フィナーレ・リーグレで行われたEnduro World Series

フィナーレ・リーグレで行われたEnduro World Series

© Sven Martin/Red Bull Content Pool