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2020年のeスポーツシーンを振り返る

© Hugo Hu/Riot Games
激動の2020年をたくましく乗り切ったプロゲーミングシーンを12のハイライトで振り返る。
Written by Ben Sillis公開日:
2020年はすべてが破壊された1年だった。当然ながらeスポーツシーンにとってもそれは同じで、同年春にあらゆるオフラインイベントがオンラインへの転換を余儀なくされたが、各コミュニティは上手く対応し、レベルアップを続けた。
そのような1年が終わった今、eスポーツ史で最も奇妙な1年をあらためて振り返っていくことにしよう。トーナメントがリモートで開催されるようになり、メジャートーナメントが数ヶ月間一切開催されなかったタイトルもあった中、プレイヤーたちは成長を続けた。番狂わせから完勝まで、あらゆる試合展開が確認できた2020年のeスポーツは、競技レベルにおいては素晴らしい1年だった。

1:G2 EsportsがLEC連覇

G2 Esportsは長年に渡り『リーグ・オブ・レジェンド』ヨーロッパ最強チームとして認識されており、彼らに互角の勝負を挑める可能性があるのはFnaticだけだった。2020年はその勢力図が多少変わり、Mad LionsRogueが新たに台頭。Summer Splitでは優勝候補に数えられるほどの活躍を見せたが、最終的にはSpringとSummerの連覇に成功したG2 Esportsが、LEC最強の称号を再び手にした。
LECを完全制覇したG2 Esports
LECを完全制覇したG2 Esports
2020年のG2 Esportsはプレイオフで圧倒的な強さを見せ、ほぼすべてのチームを完膚なきまでに叩きのめした。G2 Esportsは両プレイオフで最大のライバルFnaticを3-0で退け、Mad LionsとRogueのような勢いのある新進チームも寄せ付けなかった。2020年のG2 Esportsは歴史に残る1年を送ったと言って良いだろう。

2:T1のグローバル化

長年に渡り『リーグ・オブ・レジェンド』と『StarCraft 2』の韓国最強チームとして知られてきたT1は2020年に欧米のプレイヤーとチームを獲得し、さらにはレッドブルファミリーにも加わることで、真のグローバルチームへトランスフォームした。
An image of T1's LCK League of Legends team.
Faker and T1 are now part of the Red Bull family
『リーグ・オブ・レジェンド』では、Worlds 2020出場こそ逃したものの、Lee “Faker” Sang-hyeokが依然として世界最強プレイヤーのひとりであることを証明した。また、T1はもうひとつのRiot Gamesタイトル『VALORANT / ヴァロラント』(以下、『VALORANT』)にも進出し、すでに世界最強クラスのロースターと共にいくつかの成功を収めている他、『Dota 2』新ロースターと『フォートナイト』プレイヤーも用意した。T1にとって2020年は文句なしの1年だった。

3:シミュレーションレーシングの大ブレイク

世界中の多くの人たちが “ステイホーム” を強いられ、伝統的なスポーツが何ヶ月にも渡って中断された状況をeスポーツシーンは最大限活用することになったが、現実世界の再現度の高さを売りにしてきたあるジャンルが他のジャンルよりも大きな成功を収めることになった。シミュレーションレーシングだ。
シミュレーションレーシングタイトルの多くは現実と見間違うほどの再現度を誇っていることと、現実のレーシングシーンが中断・延期されていた状況が掛け合わされることで、同ジャンルのeスポーツシーンは2020年に大ブレイクを果たした。
その中でひときわ大きく成長したカテゴリーがF1で、本物のF1ドライバーたちが公式バーチャルレースやスペシャルオンラインレースのシートに座り、それらのライブストリーミングを世界中のF1ファンが視聴した。
このような状況はレッドブルファミリーのクロスオーバーにも繋がり、トップドライバーやワールドクラスのアスリートたちがeスポーツプレイヤーたちとオンラインでスキルを競い合うイベントがいくつも開催された。

4:『VALORANT』の大ブレイク

2020年の混沌の中で、Riot Gamesは果敢にも完全新作のタクティカルシューター『VALORANT』をリリースした。そして、彼らのリスクテイクは見事に成功し、クローズドベータから複数のメジャーイベントが開催され、ビッグチームが早々にロースターを用意することになった。
女性プレイヤーだけで構成されているCloud9 White
女性プレイヤーだけで構成されているCloud9 White
2021年も『VALORANT』の人気は続くと見られている。Riot Gamesが独自に企画・運営する公式ツアー【VALORANT Champions Tour】の開催が決定しており、G2 EsportsCloud 9女性限定チームCloud Whiteを含む複数のロースターを用意)、T1などの強豪チームがワールドチャンピオンの称号を目指して激しいバトルを繰り広げることになる。

5:TI3連覇を目指すOG

Dota 2』のトップチームOGは2019シーズンにTI(The International)連覇を達成しており、2020シーズンはTI3連覇を狙う予定だったが、TI10の開催が延期されたため、大記録の達成はお預けとなった。
しかし、『Dota 2』のあらゆるオフラインイベントが中止・延期となった中、OGは “オンラインウォリアー” へ転生。ライバルチームたちから徹底マークされながらも、メタをかき回すプレイであらゆるマッチを楽しみながらプレイした。
最近も《Morphling》と《Earth Spirit》のクレイジーなコンボを繰り出してEpic League2位に入る活躍を見せるなど、OGは2020年で最もエンターテインメント性が高いチームのひとつとして人気を獲得した。Dota Pro Circuit 2021の開催が迫る中、彼らの照準は前人未踏のTI3連覇へ切り替わっているが、ここ数ヶ月の調子を見れば、大記録達成の可能性を除外することはできない。

6:『CS:GO』の盛り上がり

メジャーeスポーツの大半が中止・延期になった2020年、CS:GOはそれまでのオフラインビッグイベントと比較しても遜色ないクオリティのオンラインイベントを次々と開催した。最近開催され、Team Vitalityが優勝したBlast Premier Fallを見るだけでも、過去最高クラスのアクションが展開されていたことが理解できる。
Nikola “Niko” Kovač
Nikola “Niko” Kovač
トーナメントの他にも、2020年の『CS:GO』では “ビッグプレイ” が確認され、いくつかの “スーパーチーム” が結成された。
トップチームCloud9のマネージメントチームは映画『マネーボール』の影響を受けたようで、レジェンドプレイヤーのHenry “HenryG” Greerを招き入れてチーム再編に取り組んだ。また、2019年末に結成されたばかりのOGの『CS:G0』チームも成長を続けた。G2 Esportsもそれまでの常識を覆す動きを見せてNikola “Niko” Kovačを獲得し、2020年最大の移籍ニュースを届けた。

7:成長を続けるウメハラ

「eスポーツプレイヤーは反射神経が鈍り始める20代後半に引退する」という定説を完全に否定している存在が、『ストリートファイター』シリーズのレジェンドプレイヤー、ウメハラだ。2020年はフォームを維持するために必要なトップトーナメントの開催数が減っていたが、39歳のウメハラは過去最強とも言える強さを見せつけた。
ウメハラ
ウメハラ
海外では “The Beast” として親しまれているウメハラは、強豪プレイヤーたちがひしめく CAPCOM Pro Tourのオンラインイベント “東アジア1” で優勝し、CAPCOM CUP出場権を獲得。通り名に恥じないプレイを見せたベテランは「年齢はただの数字に過ぎない」ことを自ら証明した。

8:G2 EsportsがRekklesを獲得

G2 Esportsは参加している全タイトルでワールドチャンピオン獲得を目指しているようだ。『CS:GO』でトッププレイヤーNikoを獲得してスーパーチームを手に入れたG2 Esportsは、『リーグ・オブ・レジェンド』でもヨーロッパ最強クラスのMartin “Rekkles” Larssonを獲得し、ヨーロッパ最強チームの称号を明け渡すつもりがないことをアピールした。
An image of Rekkles in a G2 shirt
Rekkles signs with G2 Esports
RekklesはG2 Esportsの宿敵Fnaticに所属していたため、G2 Esportsが彼を獲得することはまず不可能と見られていたが、今回獲得が実現。G2 Esportsはヨーロッパ最強チームという評価をさらに固めることになる。シーズンファイナルのWorldsで2シーズン連続トップ4フィニッシュを記録しているG2は、2021シーズンはRekklesと共に悲願のワールドチャンピオンを目指すことになる。

9:Cloud9がPerkzを獲得

G2 EsportsのRekkles獲得は、Luka "Perkz" Perković移籍の結果だった。Perkzはヨーロッパから北米へ移り、Cloud9のプレイヤーとしてLCSを戦うことになった。ヨーロッパ最強プレイヤーのひとりとして活躍を続けてきたPerkzの移籍にベテラントッププレイヤーたちの引退が重なったため、2021シーズンのLCSは勢力図が大きく変わる可能性が高い。
A photo of Luka ‘Perkz’ Perkovic.
Luka ‘Perkz’ Perkovic
Perkzをロースターに加えたCloud9は、LCSで最も恐ろしいチームのひとつとなっており、LCSタイトル獲得の可能性が高まったと見られている。また、Perkzやその他のフレッシュなタレントが新たに加わったことでLCS全体が活性化するため、2021シーズンは同リーグ所属チームがインターナショナルタイトルを獲得する可能性も十分に考えられる。

10:『FIFA』シリーズが堅調に成長

シミュレーションレーシングと同じく、現実世界のサッカーの試合が何ヶ月も開催されなかったことから多くのサッカーファンがFIFAシリーズの試合を観戦するようになったため、同シリーズのeスポーツシーンがさらなる成長を遂げた。
REBELZ
REBELZ
この流れを受けて、レッドブルも元ワールドチャンピオンのMusaed “Msdossary” Al Dossaryをレッドブルファミリーに迎え入れた。Msdossaryはオフラインイベントがすべて延期となったあと、オンラインで活躍を続けており、2回目のワールドチャンピオン獲得を視野に入れている。
また、eスポーツプレイヤーと契約するサッカークラブが世界中で増えており、RBライプツィヒも『FIFA』チーム “REBELZ” を結成。Lena Güldenpfennig(19歳:RBライプツィヒの女子チームにも所属)、Umut Gültekin(17歳)、Anders Vejrgang(14歳)、Richard “Gaucho10” Horme(27歳)の4プレイヤーで構成されるREBELZは、2021シーズンの活躍が期待されている。

11:『Age of Empires II』の人気再燃

2019年末にリリースされた『Age of Empires II: Definitive Edition』のeスポーツシーンが2020年にブレイクした。メジャーイベントが複数開催され、様々なニュースが生まれたことで、『Age of Empires II: Definitive Edition』は想定外の人気を獲得した。大きなハイライトとなったのは2020年に2回開催されたRed Bull Wololoで、【Empire Wars】の改良バージョンとなる新ゲームモードをプロトーナメントに持ち込むことに成功した。
2020年の『Age of Empires II: Definitive Edition』関連イベント最大の盛り上がりを見せたRed Bull Wololoは、1回目は中国人プレイヤーのMr_Yo、2回目はオーストリア人プレイヤーのKai “Liereyy” Kallingerが優勝した。『Age of Empires II: Definitive Edition』のeスポーツシーンは拡大を続けており、Red Bull Wololo IIIの開催も予定されていることから、2021年も同ゲームは素晴らしい伸びを見せるはずだ。

12:Worlds 2020が記録更新

2020年に厳しく管理された環境で開催されたオフラインイベントのひとつが、『リーグ・オブ・レジェンド』のシーズンフィナーレ、League of Legends World Championship(Worlds)だった。Worlds 2020は、大観衆が集まるビッグアリーナでの開催ではなかったが、それでもいくつかの記録更新に成功した。
Worlds 2020は、最多同時視聴者数約4,595万人1分あたりの最多平均視聴者数約2,304万人を記録し、Worlds 2019の両記録を上回った。開催規模が小さくなってもWorldsが記録を更新したという事実は、2020年のeスポーツシーンの堅調ぶりを物語っている。2021年はいくつかのオフラインイベントの復活が予定されているため、さらなる盛り上がりを見せるはずだ。2021年もeスポーツから目が離せない。
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