MTBダウンヒルを体験したことがない人にとっては、今は絶好のチャンスと言えるだろう。バイク本体や周辺パーツの価格は昨今非常に手頃な価格になってきており、世界各地ではリフトサービスを備えたバイクパークが続々と新規オープンしている。初心者が取り組みやすい環境が出来上がっているのだ。ダウンヒルバイクで重力に任せて急峻なトレイルを駆け下り、強烈なスピードとグリップの限界を追求するスリルは、他の何物にも代え難い。
しかし、1台のバイクと使い古したヘルメットだけでは、安全に高速ライドを楽しむには十分とは言えないのも事実。そこで今回はダウンヒル初心者のための必携アイテムリストをまとめてみた。
バイク
当たり前だが、まず何はなくともバイクが必要だ。自分のバイクをまだ所有していなくとも、多くのバイクパークがレンタルサービスを提供しているので心配はいらない。しかし、ライディングに出かける当日に自分に合ったフレームサイズのバイクがレンタル可能になっているかどうかは必ず確認しておきたい。
自分のバイクを持ち込む時は、事前の整備を済ませておけばスムースな1日を過ごすことができる。タイヤの空気圧をチェックし、ドライブトレインにしっかりと注油し、トルクレンチを使って主要なボルトが全て正しく締まっているか確認しておこう。ちょっとした整備不足が丸一日を台無しにしてしまうので注意したい。
ライディング・キット
速さをどこまでも追求する際は、それに適した装備を身に付けておこう。ダウンヒルトレイルをライディングする際は、フルフェイスタイプのヘルメットを必ず装備しておくべきだ。ヘルメットもバイクパークでレンタル可能だが、自分の頭に合ったサイズを選ぶことが重要だ。サイクリスト用のサングラスも悪くないが、できればゴーグルを着用した方がベターだ。ゴーグルなどを一切着けずにライディングしたいという気持ちも分からないではないが、裸眼のままの高速走行は思わぬ問題を招きやすく、特に時速50km/hで網膜に虫が直撃した時は最悪だ。
ある程度スピードが乗った状態からの転倒では、肘や膝などに大きな衝撃が加わることが多い。そこで役立つのがエルボーパッドとニーパッドで、安全確保に大きく役立ってくれる。また、グローブも怪我の予防に役立つ。楽しいライディングの1日を惨めな思い出にしてしまわないよう、安全装備には万全を心がけたいものだ。
また、スペアのグローブやゴーグルを用意しておくのもおすすめだ。雨が降った場合は、スペアの乾いたグローブがあれば役立つだろう。
食事
トレイルライドに出かける際は、必ず幾らか現金を持っていくようにしよう。辺鄙な山中で1軒だけ営業しているようなカフェでは、クレジットカードが使用できない場合が多い。また、翌日の食事を前日に作っておくことは面倒に感じるかもしれないが、用意して持っていけばお金の節約になる上に、貴重なライディングの時間も確保できる。ハムとチーズを挟んだサンドイッチがあれば1日の後半に必要なエナジー源は十分に確保できる。ちょっとしたエナジー補給用の甘いお菓子があれば言うことなしだ。
また、水分補給も忘れないようにしたい。水を入れた大きめのコンテナを持参し、必要な分をボトルに補給しておくと便利だ。1日の終わりには、自分が消費した水量に驚くはずだ!
スペアパーツと工具
初めてのトレイルライドでアップリフト(トレイルのスタート地点までバイクを車で運搬してくれるサービス)を利用すると、1日でこなせるトレイルランの回数には限りがあることに気づくはずだ。要するに、1回のランも無駄にできないのだ。プロ仕様の強力なダウンヒル用タイヤを装着していない場合は、スペアタイヤを用意しておけば仮にサイドウォールがダメージを受けても安心だ。パンクに備えてスペアチューブを用意しておくのも良いだろう。さらにポンプや内圧計もあれば完ぺきだ。サスペンション調整用のショップポンプがあれば、サスペンションのセッティング変更が手軽に行える(サスペンションのセッティング変更の際は、変更内容をスマートフォンにメモしておけば後々役立つ)。
アーレンキーやトルクスキーセットなどの工具類を各種揃えておけば心強い。万全を期すなら、スペアのチェーンや整備用のスタンドも持参しておこう。
アプリ
昨今では私たちの生活をより効率化するためのスマートフォンアプリが巷に溢れているが、MTB用も数多く揃っている。Stravaはライディング中のデータ収集に役立ち(ランの合間にポーズすることを忘れずに)、GoProのCapture appは、グローブを装着したままヘルメットマウントのGoProをリモート操作する際に便利だ。また、自分がライディングする予定のトレイル名をInstagramやYouTubeで検索し、他のライダーたちが撮影したヘルメットカムやPOV映像をチェックしておけば、事前予習に役立つだろう。