European ski resort guide
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スキー

ヨーロッパ ベストスキーリゾート集

一度は訪れてみたいヨーロッパのスキーリゾートの数々をテーマ別にリストアップ!
Written by Stuart Kenny
読み終わるまで:11分公開日:
本格的な冬がやってきた。雪山を思いきり楽しむ季節が到来したのだ。
日本国内にも北海道をはじめとした世界人気を誇るスキースポットが数多く存在するが、一生に一度はヨーロッパのスノーリゾートを体験してみたいスキーヤー&スノーボーダーは少なくないはずだ。
ヨーロッパには1,700超のスキーリゾートが点在し、その中には群を抜いているトップレベルが存在する。フリースタイル向け、コストパフォーマンス良し、初心者・上級者向け、充実したアフタースキーなど、その特徴は多種多様だ。
今回は、ヨーロッパでベストと断言できるスキーリゾートの数々をテーマ別に一挙紹介しよう。経験値・予算・スタイルを問わず、自分に合ったスキーリゾートが見つかるはずだ。

【初心者向けスキーリゾート】

レ・デュー・アルプ(フランス)
一部のスキーリゾートは山の麓に近いエリアに初心者用のゲレンデを設けている。これはこれで理に適っていて便利だが、初心者がスキーリゾートらしい絶景を楽しめないということでもある。
ところが、レ・デュー・アルプは違う。このフランス随一のスキーリゾートの初心者用ゲレンデは、Jandri Express 1と呼ばれるリフトの終端地点、つまり山頂にあり、周囲を一望できる絶景が広がっている。そして、さらに上のレベルのゲレンデも豊富に用意されている。
また、レ・デュー・アルプの初心者用ゲレンデへのリフトの一部は無料で利用できるので、リフト券を購入することなくスキーの基礎を学べるようになっている。
6日間有効のスキーパス(大人料金):255ユーロ(約3万2千円)
サースフェー(スイス)
サースフェーも、初心者でも景観を楽しめるスキーリゾートのひとつだ。ここには4,000m級の山々を望める初心者専用ゲレンデがある。また、初心者専用の逆T字型リフトも用意されている。さらに、ゲレンデで転んでも心配はいらない。周りも初心者だからだ。フェルスカンヌのメインゲレンデには中級者向けのスロープもある。
6日間有効のスキーパス(大人料金):365スイスフラン(約4万1千円)前後
オーバーグールグル・ホーホグールグル(オーストリア)
ドイツ語圏外のスキー初心者にとってこのスキーリゾートがやや困難に思える唯一のポイントは、“オーバーグールグル・ホーホグールグル(Obergurgl-Hochgurgl)”という地名の発音だ。これを除けば、ここはスキーを学ぶのに最適なリゾートだ。
総延長約112kmのゲレンデの大部分を占めるイージースロープをのびのびと滑りつつ、このリゾートに豊富な雪をもたらす標高3,080mから続く氷河のスロープも楽しめる。尚、ダメ押しで言っておくが、オーバーグールグルの街も非常に魅力的だ。
6日間有効のスキーパス(大人料金):293.50ユーロ(約3万7千円)
(有効期限3日間以上のスキーパスには近隣の谷全域で利用可能なエッツタール・スーパー・スキーパスが含まれる。)

【上級者向けスキーリゾート】

ヴェルビエ(スイス)
ヴェルビエはやや常軌を逸している。とにかく高級なのだ。その高級ぶりは『Made in Chelsea』(英国の上流階級の子弟たちの日常を描いたリアリティ番組)にも登場するほどだ。ヨーロッパのいわゆるリッチピープルがスノーボードやスキー(一応両方書いたが、実際はスキーのみだろう)を楽しむためにこぞって向かう場所、それがヴェルビエだ。
しかし、この山は別の一面を持っている。華やかな高級スノーリゾートの裏には、スイスはもとよりヨーロッパ屈指の手強さを誇るスロープ(またはドロップやルート)が存在するのだ。
“エクストリーム” の称号は伊達ではなく、毎年開催されるFreeride World Tourにも含まれているという事実は、ヴェルビエが何を上級者に提供してくれるのかを説明している。
ヴェルビエは総延長400kmのゲレンデを誇るル・カトル・ヴァレーの一部で、このエリアはナンダ、ティヨン、ヴェゾナ、ブリュソン、ラ・ズマなどの複数のリゾートで構成されている。出費を抑えたいなら、町外れに宿泊するのが良いだろう。
6日間有効のスキーパス(大人料金):340スイスフラン(約3万8千円
シャモニー(フランス)
シャモニーの中心街は決して魅力的とは言えない。しかし、アフタースキーに関しては充実している。そして重要なことに、この街は雄大かつ有名な山々に囲まれている。その主役がモンブランだ。
シャモニーの谷には行き届いたリフトシステムがあり、あらゆるタイプのスノースポーツに対応した5つのリゾートが存在するが、思わず逃げ出したくなるような難関オフピステを思う存分楽しむには、安全装備とトレーニング、ノウハウが不可欠だ。
そのようなピステの中で、シャモニー、ひいてはヨーロッパで最も有名なのが、エギーユ・デュ・ミディのリフト反対側に位置するヴァリ・ブランシュだろう。狂おしいほどに美しいこの長距離ルートは、同時にチャレンジングでもある。
6日間有効のスキーパス(大人料金):265ユーロ(約3万4千円)
ツェルマット(スイス)
モンブランに触れたので、公正を期すためにヨーロッパが誇るもうひとつの名峰マッターホルンの麓に控えるリゾートも紹介しよう。
ツェルマットは信じられないほどに美しいリゾートだ。朝食や夕食を摂る時、あるいは家族で記念撮影する時でも、常にその背景には常にマッターホルンの雄大な姿があり、スキーに特別感をもたらしてくれる。
正しい装備を身につけ、そこに挑むだけの十分な経験を持ち合わせているのなら、ツェルマットのオフピステは素晴らしいものになる。
公式なフリーライド・ルートの全長は28kmで、Freeride World Tourの舞台としても知られている。また、モンテローザ山への1日ヘリスキーも約250ポンド(約3万6千円)で利用できる。忘れられない思い出になるはずだ。
マッターホルン・スキー・パラダイス・パスを入手すれば、山頂を越えて、素晴らしいフリースタイルのオプションと美しい小村のあるチェルヴィニア(マッターホルンのイタリア側登山口)でスキーするのも可能だ。チェルヴィニアでピザのランチを済ませ、イタリアでのひと滑りを楽しんだら、スイス側に戻って1日を終えよう。
6日間有効のスキーパス(大人料金):338スイスフラン(約3万8千円)

【フリースタイルスキー向けスキーリゾート】

ラア(スイス)
ラアには4つのパークとミニパイプ、スーパーパイプ、全長43kmのフリーライドルートを備え、長年に渡りBurton European Open / Laax Openの開催地となっている。これらを踏まえれば、ラアはヨーロッパで最もフリースタイルに適したリゾートと言って良いだろう。
各パークにはそれぞれ多彩なフィーチャーが設置されており、あらゆるライダーのレベルに対応している。また、フリースタイル専用ゲレンデのフィーチャーとキッカーは毎日変更されている。
6日間有効のスキーパス(大人料金):310スイスフラン(約3万5千円)
リヴィーニョ(イタリア)
イタリアとスイスの国境近くにひっそりとたたずむリヴィーニョは、アクセス良好なリゾートではない。実際、この街へはミラノよりもインスブルック(オーストリア西部の街)からアクセスした方が早い。それでも、リヴィーニョにはわざわざ訪れるべき魅力がある
モットリーノにあるメインパークは英国代表のパーク&パイプチームが練習拠点にしており、巨大なキッカーや強烈なスーパーパイプが設けられている。
カロセッロにある2番目に大きなパークは中級ライダー向けで、初心者向けのパークもいくつか存在する。まだフリースタイルを始めたばかりの初心者でも、オリンピックレベルのパイプに挑めるレベルのライダーでも楽しめるのだ。
リヴィーニョにはもうひとつの大きな魅力がある。はるか昔のナポレオン時代に定められた特別税制により、VAT(付加価値税)が非課税なのだ。飲食や日用品などはヨーロッパ最安で済むなら、多少のアクセスの悪さも苦にはならないのではないだろうか?
6日間有効のスキーパス(大人料金):242ユーロ(約3万1千円)

【アフタースキーが充実しているスキーリゾート】

レ・トロワ・ヴァレー(フランス)
ヨーロッパ最大級のスキーリゾート、レ・トロワ・ヴァレーは、メリベルからヴァルトランスまでだけでも世界のスキー学生人口の約半分を一気に迎え入れているように思えるが、これには納得できる理由がある。
サックスが鳴り響き、ハウスミュージックがプレイされ、テーブルダンスもありのどんちゃん騒ぎが繰り広げられるアフタースキーの定番バー、La Folie Douceはメリベルとヴァルトランスの両方に店舗を構えており、そのライバル店Bar 360(ヴァルトランス)ではおなじみの人気DJたちが出演している。
また、ヴァルトランスにあるクラブLe Malaysiaは良い意味でも悪い意味でも、その “ワイルドな” パーティーで知られている。
6日間有効のスキーパス(大人料金):306ユーロ(約4万円)
サンクト・アントン(スイス)
スキーヤーかスノーボーダーのグループに「ヨーロッパでアフタースキーが一番充実しているリゾートは?」と尋ねれば、かなりの確率で、少なくともひとりがゆっくりと頭を揺らしながら「サンクト・アントンだよ」と小声で囁くだろう。
サンクト・アントンはスキー上級者にとっての “夢の国” で、元々、ここが有名になったのはそのスロープのクオリティだ。しかし、ここはパーティ解放区でもあるのだ。
The Mooserwirtは「世界で最もいかしたアフタースキーバー」を自認しており、ここには、テーブルトップダンス、大量のビール、英国のハイスクールディスコでもなかなか聴けないチージーな選曲のDJなど、底抜けに陽気なアフタースキーを過ごすためのあらゆる条件が整っている。
一方、Krazy Kanguruhではそれよりもほんの少しクールなアフタースキーを提供しており、ピステにあるUndergroundでは通常生バンドの演奏が楽しめる。
6日間有効のスキーパス(大人料金):289ユーロ(約3万7千円)
マイヤーホーフェン(オーストリア)
マイヤーホーフェンには2種類のアフタースキーバーが存在する。
まずひとつは世界最大のスノーフェスティバルSnowbombingにインスパイアされた店で、ハウスやラップ界のビッグネームたちがオーストリアのこの小さな街で毎年プレイしている。そしてもうひとつは、より昔ながらのオーストリアらしいアフタースキーバーで、チージーなチューンやユーロポップにインスパイアされている。
つまり、Fatboy SlimとEurovisionのどちらを好むかによって行くべき店が決まるというわけだ(どちらを選んでも我々は気にしないのでご安心を)。尚、マイヤーホーフェンのスキーやスノーボードもそれほど悪くはない。
6日間有効のスキーパス(大人料金):256.50ユーロ(約3万3千円)

【低予算で楽しめるスキーリゾート】

バンスコ(ブルガリア)
英国のスノースポーツファンの間で、低予算で楽しめるスキーリゾートとして急速に定番化しつつあるバンスコは、近年リフトや設備面にかなりの投資をしているが、その人気急騰には納得できる理由がある。
バンスコの山々に雪が積もり始めると、ゲレンデは連日混雑することになるが、オフピステに出れば、たった2ポンド(約280円)で飲める地元ビールと同じくらい簡単にフレッシュなラインが手に入るのだ。
6日間有効のスキーパス(大人料金):340レヴァ(約2万2千円)
ヤスナ(スロバキア)
驚くなかれ、スロバキアのヤスナでは1パイント(もちろんビール)が、たったの65ペンス(約93円)で飲める。
さあ、まだ冷静でいられるだろうか? 早速バッグに荷物を詰めて空港に向かっている人は正しい。ヤスナに到着すれば、ツリーランが楽しめる素晴らしいゲレンデがふんだんに待っている。
また、近年大規模な開発が行われたため、ヤスナのスキーリゾートはアクセスもかなり容易だ。スキーを楽しんだあとの名物グラーシュ(煮込みスープ)を嫌がる人もいないだろう。
6日間有効のスキーパス(大人料金):199ユーロ(約2万5千円)