Max Verstappen charges through the back of the field during the F1 Grand Prix of Australia in March 2026 in Melbourne.
© Joe Portlock/Getty Images/Red Bull Content Pool
F1

F1 2026シーズン:バッテリー管理の重要性とレース戦略への影響

F1 2026シーズンの新レギュレーションによって、バッテリー管理がレース戦略のひとつになっている。オーバーテイクの回数が飛躍的に増えた開幕戦のデータを元にその重要性と影響を考察する。
Written by Tom Hopkins
読み終わるまで:6分Published on
F1マシンは2014シーズンからハイブリッドパワーユニットを搭載してきたが、2026シーズンの新レギュレーションによってすべてが変わった。これまで以上に電力にウエイトが置かれるようになったのだ。そのため、プレシーズンから開幕戦までのパドックの話題は、この新システムとレースへの影響で持ちきりだった。
RTEの記事によると、2026シーズン開幕戦オーストラリアGPでオーバーテイクが120回記録され、昨シーズンの45回から大幅な増加となった。多くのファンにとって、ドライバーたちがこれまでよりも激しいポジション争いを展開すればレースはさらに面白くなる。
この急増の大きな要因となっているのが、マシンの変更に加えて、バッテリー管理がマックス・フェルスタッペンを含むすべてのドライバーの戦略において極めて重要な要素となっている点だ。
01

F1ハイブリッドシステムの仕組み

2026シーズンからF1マシンの出力の50%が通常の内燃機関から生み出され、残り50%がバッテリーから生み出されるようになった。ハイブリッドパワーユニットは、特定量充電されたバッテリーとともにレーススタートを迎えるが、そのパワーをいつどのように使うかはドライバー次第だ。
これまでのシーズンと同様、ドライバーたちはブレーキングコースティング(ブレーキもアクセルも踏まない状態)でバッテリーに充電できるが、今シーズンは充電の戦略的重要度がこれまで以上に増している。
周回中にバッテリーを充電したドライバーは、任意のタイミングでその電力を開放してトップスピードを高めることで前走マシンをオーバーテイクできる。ステアリングホイールに配置されているボタンを押すだけで、目の前にいるライバルたちをオーバーテイクできる強力なブーストを得られるのだ。
スプリントが加わりさらに複雑なレースとなった中国GP

スプリントが加わりさらに複雑なレースとなった中国GP

© Lars Baron/LAT Images

しかし、ライバルたちも条件は同じなので、たとえば、AがBをオーバーテイクすれば、数コーナーあるいは1周後にBがAをオーバーテイクする可能性がある。2026シーズン開幕戦でオーバーテイク数が急増したのはこれが理由だ。
さらに、もうひとつのバッテリー型充電システムが旧来のDRSシステムから置き換えられ、ドライバーが前走マシンに十分接近すればサーキット上の特定のポイントでリアスポイラーが開くようになった。サーキット上の特定のチェックポイントで前走マシンから1秒以内まで接近できれば、バッテリーパワーの追加ブーストを獲得し、次の周回中にそれを使用できる。
これもポジション争いを増やすための施策で、開幕戦のオーバーテイク急増の要因のひとつだった。
02

バッテリー管理の重要性とレース戦略への影響

2026シーズンは新しいテクノロジーが数多く採用された

2026シーズンは新しいテクノロジーが数多く採用された

© Mark Thompson/Getty Images/Red Bull Content Pool

上記すべてが、ドライバーと観客の両方におけるF1最大の話題を生み出した。バッテリー管理はすべてのコーナーで考慮される必要があるレース要素のひとつとなっており、ドライバーたちのポジショニングに対する考え方に変化を与えている。「5周後に自分はどの位置につけているのか」「このあとライバルたちが仕掛けてくるオーバーテイクをブロックする必要があるのか」などを判断するようになっているのだ。
わずか数コーナー後に抜き返せることが分かっているのにオーバーテイクをブロックしてバッテリー充電をふいにする必要があるのだろうか? リスクを負いすぎる必要はない
比較的クリーンエアな状況で、前走マシンとの差が開いているときは、ドライバーはバッテリーの回生にフォーカスできる。しかし、僅差のレース展開では、ドライバーは「できるときに充電」しながら、オーバーテイクをブロックしたり、前走マシンをオーバーテイクしたりするためにパワーを解放することになる。充電と解放を繰り返しながら、コーナーごとにアプローチを変えていくのだ。
03

レーススタートへの影響

メルボルンでのスタートは混乱を極めた

メルボルンでのスタートは混乱を極めた

© Simon Galloway/LAT Images/Getty Images/Red Bull Content Pool

開幕戦で見られたように、新ハイブリッドシステムはレーススタートをより予測不可能なものにする可能性がある。たとえば、開幕戦のリアム・ローソンは中位グリッドからのスタートに失敗し、すぐ数台に追い抜かれてしまった。
公式テストからターボラグが新マシンの問題のひとつとなっているが、ドライバーたちはスタートからターン1までのバトルで優位に立てるだけのバッテリー残量を用意しておく必要もある。
スタート直後に十分な残量があれば、ドライバーたちは好ポジションを取り、ここでバッテリーを使い切らなければ残りのレースを有利に進められるようになる。逆に、使い切ってしまえばオープニングラップの残りで不安に晒されることになる。
フェルスタッペンもレーススタートへの影響についてコメントを残した。最初の数周はかなり落ち着きがなかったので、とにかくトラブルに巻き込まれないようにした。全体的にチームは良い仕事をしたと思う。20位からの素晴らしい追い上げだったし、このあともチームとして差を詰めていきたい」
04

フェルスタッペン&オラクル・レッドブル・レーシングへの影響

バッテリー管理を意識することは、他のチームとドライバーたちと並んでファエルスタッペンとオラクル・レッドブル・レーシングにも影響を与えている。
予選での不運なクラッシュにより、フェルスタッペンは開幕戦決勝を20番グリッドで迎えたため、そこからオーバーテイクを繰り返してポイント圏内まで順位を上げていった。そのパフォーマンスは素晴らしく、彼は開幕戦のドライバー・オブ・ザ・デイにも選出された。
ヘッド・オブ・カーエンジニアリングのポール・モナハンと話し合うフェルスタッペン

ヘッド・オブ・カーエンジニアリングのポール・モナハンと話し合うフェルスタッペン

© Mark Thompson/Getty Images/Red Bull Content Pool

この経験は今シーズンの残りに活かされるはずだ。フェルスタッペンはバッテリーの管理と追加パワーの使い方について貴重な経験を得ることができた。formula1.comで彼は「バトルでもバッテリーの使い方などについて多くを学べたので、(開幕戦は)ポジティブなレースだったと思う」とコメントしている。
チームとドライバーがバッテリー管理について速やかに学べれば、ライバルたちに対して大きなアドバンテージを得られる。フェルスタッペンとレッドブル・レーシングはまさにそれを狙っており、彼のメルボルン、そしてリタイアに終わった第2戦中国GPの経験がバッテリーを簡単に管理する方法の発見に繋がることを願いたい。
ひとつ確かなのは、2026シーズンはハイブリッド時代最多のオーバーテイクが見られるということだ。そしてこれは、多くのファンにとってエキサイティングなレースが増えることを意味する。
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!

関連コンテンツ

マックス・フェルスタッペン

F1最年少優勝記録を含むいくつもの記録更新を続けながらドライバーズタイトル4連覇を達成したオランダ人ドライバー

オランダオランダ
プロフィールを見る