あらゆる要素が高度に最適化された現代のF1ピットストップ
© Getty Images/Paul Gilham
F1
2秒を切る驚速F1ピットストップ!
ヨーロッパGPでWilliamsが達成したピットストップの今シーズン最速記録誕生の瞬間を映像でチェック!
Written by Eli Moore
読み終わるまで:2分Published on
3年前、2013年アメリカGPでRed Bull RacingのクルーたちはF1ピットストップの当時最速となる1.923秒を記録した。この記録は厳密には今も歴代最速記録として破られていないが、今年6月にアゼルバイジャンのバクーで行われたヨーロッパGPでWilliamsチームがフェリペ・マッサのピットストップで今シーズン最速の1.92秒台のタイムを叩き出した。おそらくRed Bull Racingの面々は自分たちの記録が破られたのではないかと内心ひやひやしたはずだ。Williamsチームは今シーズン開幕以来、見事なピットストップ作業を連続で披露して密かに周囲の注目を集めており、2016シーズンから創設されたピットストップ賞では開幕以来8戦連続でトップを独占し続けている。
あらゆる要素が高度に最適化された現代のF1ピットストップ
あらゆる要素が高度に最適化された現代のF1ピットストップ© Getty Images/Paul Gilham
奇妙な偶然というべきか、このバクー市街地サーキットでRed Bull Racingのダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンが予想外の不調に終わったのもピットストップ戦略の読み違いが原因だったと思われる。オフィシャルタイヤサプライヤーのPirelliはこのバクー市街地をデグラデーション(タイヤの性能劣化)の度合いが低いサーキットだとして、タイヤ交換は1回で済むはずと予測していた。だがその一方で、ここがエスケープの少ない市街地コースであることを考えると、セーフティカーがある程度長時間に渡って出動する確立がかなり高いという予測もあり、2ストップ戦略が最も有効なのも明らかだった。バクー市街地はストリートサーキットとしては異例のロングストレートを有し、オーバーテイクはさほど困難ではない。そこで、リカルドとフェルスタッペンを含めた約半数のドライバーたちが2ストップ戦略を選択してレースを戦った。しかし、彼らにとっては不運なことに、このレースでは予想外の出来事がほとんど何も起こらず、ごく淡々と展開していった。こうしたレース展開では2ストップ勢がメリットを活かせるチャンスはほとんどなく、2ストップ戦略を選んだドライバーの中での最上位はリカルドの7位。1位~6位まではすべて1ストップを選択したドライバーだった。
Formula Racing

人気のストーリー