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サッカーゲームファンにとっては嬉しい季節になった。年に一度のサッカーゲームダービーが目の前に迫っており、我々はお気に入りのサッカーゲームを隅々まで楽しめるチャンスを嬉しく思っている。そして我々は長年これを繰り返してきたのだ。
有り難いことに、このダービーは両者が切磋琢磨する状況を生み出しており、『FIFA 16』にも数々の改良が加えられ、あらゆるタイプのプレイヤーが楽しめる最高のサッカーゲームとなった。今回はリリースに先駆け、世界最多販売本数の上位に入るこのタイトルのどこが改良されたのかを紹介する。
1:リアルさの向上
『FIFA 15』のヴィジュアルは素晴らしいものがあり、プレイ画面を本物のテレビ中継と見間違う人もよく見られた。しかし、それに満足しなかったEA Canadaは、ヴィジュアルの美しさを更に追求。今作でも驚愕のリアリティを提供している。
『FIFA 16』では試合開始前にデビュー戦になる選手がいるかどうかがアナウンスされる他、もしそのような選手がいる場合は、その選手の移籍金が表示される。また、スター選手同士のスタッツの比較などの各種情報も表示される他、試合中に電撃移籍の情報や、スタッツの途中経過なども提供される。
Alan SmithとMartin Tylerの実況も本当に素晴らしく、自分のプレイを細部まで追ってくれているように感じられる。また、『FIFA 15』の実況は多少ふざけた表現も見られたが、『FIFA 16』では現実的な実況が復活しており、プレイヤーは巨大なサッカー界の一員であることを実感することになる。
ブンデスリーガパッケージも追加された今回の『FIFA 16』で、EAはヴィジュアルのリアリズムの追求において完ぺきな仕事をしており、この部分における王座を守ったと言えるだろう。
2:新しいキャリアモード
『FIFA』はこれまでに何回か愚かな「削除・除外」を行ってきた。プレシーズントーナメントの除外もそのひとつだ。これは些細な機能に思えるかも知れないが、リアルさが売りの『FIFA』ゆえに、些細なことがこのゲームへの没入感を邪魔してしまう。しかし、今年はそのトーナメントが遂に盛り込まれたため、若手を試す絶好のチャンスが生まれている。今回のテストプレイで我々はアーセナルを使ってドルトムントと対戦したが、フレンドリーであるがゆえに、ジョエル・キャンベルをサイドで起用することが可能になり、彼のスピードがサイドでも効果的だということが把握できた。
尚、今作で追加されたのはこれだけではない。新しいトレーニング方法も追加されており、選手たちを実際に見ながら育てることが可能だ。これまでは詳細が文字で表示され、そのままメニュー画面内で行われるだけだったが、『FIFA 16』ではピッチへ向かって自分でプレイできる。これも些細な変更だが、全体としては大きな意味を持っており、ベンチコートこそ着ていないものの、本物の監督になった気分が味わえる。
3:更に分かりやすく
『FIFA』のプレイ人口は非常に多い(昨年9月から今年7月にかけて、レアル・マドリードだけで実に3億8734万2888試合がプレイされた)が、このような大規模なゲームを面倒に感じる人もいる。しかし、『FIFA 16』ではトレーナー機能が追加され、パスや選手切り替えのタイミングを教えてくれる。ベテランの我々はこの機能をすぐにオフにするかも知れないが、取っつきやすいゲームにしようとしている彼らの努力は称賛に値する。
『FIFA 16』はシリーズ初となる女子サッカーが導入された。EAはただこのモードを追加するだけでも良かったのだが、彼らはこのモードのプレイ感を正しい形で完全な別物に調整している。
当然ながら選手たちのルックスは男子と変わらない美しさだが、試合のスピード感が違う。そしてそのスピード感はむしろプレミアリーグのそれよりも素晴らしいと思う時もあった。また、女子用に新たに制作されたアニメーションを見れば、これがただ追加しただけのモードではないということが理解できる。中途半端なモードではないため、今後も含まれることが期待できる内容だ。将来的には女子版FUTも登場するかも知れない。
5:FUTの新機能「FUTドラフト」
EAが誇るFUTの最大の問題は、MMOのように際限なく時間を費やしてしまうことにある。FUTを自分のメインモードにしようと思わない限り、そして、パックで幸運を得るか、メッシクラスの経済力が自分にない限り、ベスト・オブ・ベストの選手の入手は不可能だ。
しかし、今回導入されたFUTドラフトは、自分で好きなチームを編成して腕試しができるモードで、勝ち続ければプライズが獲得できる。参加費15000コインはやや高額に思えるかも知れないが、上手く行けばゴールドパック2組がもらえる。通常ゴールドパックは1組7500コインなので、投資分は取り返せるという計算だ。
また、FUTドラフトではレアな選手が各ポジションに5人存在する。我々のテストプレイ時には、ジョージ・ベスト(新しいレジェンドカード)が絶好調のロナウドと並んで表示されたため、今までのFUT体験の中で最も難しい選択となった。
6:改良されたFUTはやはり最高
今作のFUTは一新されたわけではないが、細かい部分を調整することで、過去最高の内容になっている。コイン稼ぎと移籍市場の荒しを防ぐべくセキュリティが強化されると同時に、ユーザーインターフェイスがスムースになった。
パックの開封はシンプルで、右アナログスティックで複数の選手を同時に選択(クラブへ送信時や売却時)できるようになったため、操作にかかる時間が短くなった。また、ソートも簡単になっており、選手の入れ替えが楽になった他、検索も強化された。自分のクラブの選手、そしてコンセプトチームの選手と移籍市場の選手の入れ替えなどが瞬時に楽しく行える。
7:リアルなプレイスタイル
『FIFA 16』でバルセロナと対戦すれば、ポゼッションで圧倒される。これは面白い新たな特徴だが、同時にプレイヤーは苛立つことになる。しかし、現実世界でも、バルセロナはポゼッションで圧倒するクラブだ。そして、ゲーム内で彼らを上回ることができれば(我々はレアル・マドリードを使用して0-1から5-2の逆転勝利を収めた)、最高の体験が得られる。
また、特徴的なプレイをするのはバルセロナと女子チームだけではない。『FIFA 16』のほとんどのトップクラブとリーグには個性が盛り込まれている。チェルシーはパワフル且つ攻撃的で、マンチェスター・シティはサイドにナバスとスターリングを擁するためスピードがある。また、アーセナルでキャリアモードをプレイした時は、すぐに優秀なストライカーが必要だと感じられ(ジルーは好きな選手だが)、リヴァプールは夏期の補強が順調だったにも関わらず、カギとなるポジションにピンとくる選手がいなかった。このようなユニークな差が、『FIFA 16』をシリーズ最高作品にしている。
8:ピッチでの自由度
『FIFA 15』は素晴らしかったが、やや筋書き通りの展開になる時もあった。しかし、『FIFA 16』はピッチ上にかなりの自由を与えており、中盤の争いが激しくなっている他、特定の選手に個性も加わったため、試合のカギとなるエリアでの素晴らしいプレイの応酬が期待できる。
また、難易度も上手く調整されており、低く設定すればGKが躓いたりファンブルしたりするが、高く設定すれば現実のGKのような安定感が生まれ、相手DFもプレイヤーが知性と力で上回らない限り、オフザボールの動きでプレイヤーを封じ込めようとする。
更に、ドリブル時のコントロールが増えたため、トリックの重要度も下がった。足元に自信がある選手ならば、DFを抜き去る際にトリックに頼る必要はない。DFの前で多少動いたあと、ダッシュで横を抜き去ればOKだ。これは素晴らしいフィーリングを与えてくれる新しい機能だ。
平凡な言い方になるが、『FIFA 16』は以前よりも “ルーズ” になっており、我々はそこに好印象を持った。パスに力を入れすぎれば相手スローインになり、微妙なタイミングでのロブのスルーパスはGKに取られるか、相手ゴールキックになる。
しかし、それ以上にも様々な変更や機能が盛り込まれている。10月には今シーズンの『FIFA』がどれだけ素晴らしいゲームになったのかが正確に把握できるが、今回のテストプレイからは、過去最高作品という印象を受けた。
