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フライフィッシングを始めるべき7つの理由

© Kit Young
フィットネス・ストラテジー・マインドフルネスを同時に楽しめる週末を過ごしたいならフライフィッシングを始めるべきだ。その7つの理由を解説する。
Written by Tayla Gentle公開日:
端的に言えば、フライフィッシングとは腰まで水に浸かり(あるいは川べりに立ち)、釣り糸に小さなフライ(虫を模した毛針)をつけて前方にキャスティングし、数時間に渡って虫の動きを模してロッドを動かし続ける釣りのスタイルだ。
このゲームの目的は、腹をすかせた魚を騙してフライに食い付かせることだが全く簡単ではなく、熟練した釣り人のアクションには目を見張るものがある。
今回、筆者はメルボルンから東に2時間の距離にあるルビコン川へ出向き、ベテランフライフィッシャー兼ガイドのチャーリー・メイにフライフィッシングのコツを教わることにした。
英国生まれのメイは、英国のピークディストリクト周辺の渓流での釣りや、パタゴニア氷河の小川で大物を追った経験を持つが、彼女の心はビクトリア州のハイカントリーに惹きつけられている。
5時間をかけて、おぼつかないキャスティングテクニックで美しいカワマスを2匹釣り上げた筆者は、すっかりフライフィッシングの虜になった。
なぜこれほどまでにフライフィッシングは魅力的なのか? その7つの理由を以下に記そう。

1. 思いがないワークアウト効果

川・湖・渓流で腰まで水に浸かって1日を過ごすと、知らない間に体をかなり動かすことになる。
ジムのことは忘れて構わない。ステップマシンの代わりに岩の多い河床へ向かい、姿鏡を穏やかな湖の水面に置き換えよう。アウトドアの方が新鮮な空気も多いので、心肺には良いことずくめだ。
もちろん、小型ボートからフライフィッシングを楽しむこと(誤解して欲しくないが、これもまた素晴らしい)も可能だが、体幹を鍛えたいなら、川の上流に向かい、流れに逆らって腰まで水に浸かって、1日中ロッド経由で虫の動きを模すのが良いだろう。
川で過ごす1日には楽しさが満ち溢れている
川で過ごす1日には楽しさが満ち溢れている

2. 戦略性の高いゲーム

フライフィッシングの上級者は川の流れを常時分析しており、その周辺に棲む虫たちの生態に注意を向け、魚の給餌パターンを学び取っている。
小さくて気まぐれな魚たちをキャッチするチャンスを増やすには、釣り人のあらゆる行動 (川に入るタイミングからラインにつけるフライの種類まで)が関わってくる。
チャーリーはフライフィッシングを「ひとつの巨大パズルのようなもの」と表現し、その心を「ベストを尽くして全体をひとつにまとめるのも楽しみのひとつ」と説く。
たとえば、マスはとても臆病な魚なので、彼らの興味を惹くには、こちらが虫の動きを完全に真似るか、マスからアグレッシブな反応を引き出す必要がある。
トビケラや幼虫の動きを真似するのは想像以上に難しいが、だからこそ釣り上げた時の満足感は絶大だ。
フライを駆使して魚を釣り上げるのは予想以上に難しい
フライを駆使して魚を釣り上げるのは予想以上に難しい

3. 謙虚になれる

チャレンジを好むアウトドアファンにフライフィッシングはうってつけのスポーツだ。
ビギナーに伝える最高のアドバイス? それは “初日から釣れると思うな” ね」とチャーリーは語る。
フライフィッシングは初心者がいきなり極められるようなスポーツではない。練習と根気強さが必要なのだ。
上級者のキャスティングは一朝一夕で身に付くものではなく、フライやリールの扱いにも同様のことが言える。筆者も岩や木、川底などあらゆる場所にフライを引っ掛けてしまったが、ドライフライで最初に魚を釣り上げた時の感触は今でも生涯最高の体験のひとつとして残っている。

4. その気になれば世界中を巡れる

ロッドを折りたたみ、フライコレクションを携えて旅に出るのは簡単だ。また、アラスカの川やニュージーランドの湖ほど、世界屈指の自然環境を堪能するのに相応しい場所はあるだろうか?
必要なのは、各地の漁業法を遵守し、必要以上に魚を釣らず、自分で出したゴミはきちんと持ち帰る、サステイナブルで周囲に敬意を払う釣り人であることだけだ。
チャーリーは英国の美しいスポットのほとんどで釣りを楽しんだ経験を持つが、バケットリストの上位には、北オーストラリアのソルトウォーター・フライフィッシングが入っている。
「ニュージーランドはフライフィッシングの究極の楽園のひとつだけど、クイーンズランド州まで行って、ソルトウォーター・フライフィッシングにトライしてみたいわね。クロコダイルの横でフィッシングなんて、考えるだけでクレイジーでしょ!」
フライフィッシングはロッドとフライ、ラインさえあればできる手軽なホビー
フライフィッシングはロッドとフライ、ラインさえあればできる手軽なホビー

5. 比較的財布に優しい

フライフィッシングは決して高価なホビーではない。
もちろん、夢に見る憧れのギアを手に入れようと思えば大枚をはたくこともできるが、ビギナーならフライロッドとライン、リーダー、数種類の小さなフライがあれば十分だ。川や渓流は無料で、魚から料金を請求されることもない。
(編注:日本国内ではキャッチ&リリースのフライフィッシングでも遊漁券 / 入川券の購入が必要)

6. 瞑想的

フライフィッシングでは、水上で禅的な体験ができる。
釣り人の心は日々の心配事から完全に解放され、目の前の仕事 — つまり、1匹の魚を釣り上げる作業だけに集中することになる。何時間ものあいだ(時には数日間)ひとりきりで大自然と向き合い、ラインの端から伝わる微妙な “引き” をひたすら待ち続けるのだ。
自然の中で過ごせばセロトニン分泌が促進されるのは証明済みで、これに小川のせせらぎという静寂さを組み合わせると、驚くほどのリラックス効果が得られる。
チャーリーも、フライフィッシングを逃避のひとつとして捉えていた頃に、自分が成長するのに非常に役立ったと語っている。
「フライフィッシングは心穏やかにさせてくれるもので、メンタルヘルスにとても良いことが分かったわ」
大自然の中で魚を釣り上げた時の気分は格別
大自然の中で魚を釣り上げた時の気分は格別

7. 人類の原始に回帰できる

現代社会では、我々の原始的本能に訴えかけてくるようなシチュエーションは少ない。しかし、筆者はフライフィッシングが人間本来の姿へ回帰させてくれる深遠な手段であることを発見した。
常に変わる川の流れを読み取り、ロッドとライン、そして自分の知恵だけを武器にマスの群れに忍び寄る体験は他に例えようがないものだ。
フライフィッシングでは、“狩猟” の全てに驚くほど没頭できるので、その分だけ、魚を釣り上げた時の満足感は大きい(たとえキャッチ&リリースでも)。