【若者必見】"ゲーム好き"のオトナたちとうまくやっていくためのゲーム基礎知識【2018年版】
© Giichi Totsuka
ゲーム

【若者必読!】"ゲーム好き"のオトナたちとうまくやっていくためのゲーム基礎知識【2018年版】

現代の若者にとって打ち解けるのが難しいと思われる40代前後のオトナも、テレビゲームに関するキーワードを足がかりに接すればそうでもない!?
Written by 戸塚伎一
読み終わるまで:10分公開日:
テレビゲームは、1970年代終盤から1990年代前半にかけて、目覚ましい進化を遂げた。
その期間に青春時代を送った世代の一部は、自身の成長とテレビゲームにまつわるエピソードを重ね合わせ、ある種の達成感であったり挫折を味わったりしていた。
2018年現在、かつての"ゲーム戦士"たちは、年代的な順番から社会のさまざまな組織・コミュニティで重要な役割を担っている。
彼らにとってテレビゲームは、思い入れの大小こそあるものの、自分たちの世代を代表するひとつの大きな象徴であり、自身の若き日の記憶をくすぐり感覚をよみがえらせる、甘美なキーワードでもあるのだ。
'80年代の貴重なレトロアーケードゲーム(闘会議2018より)。

'80年代の貴重なレトロアーケードゲーム(闘会議2018より)。

© Rolling Uchizawa

そこで今回は、若者が学校や会社、ホビー系イベントの会場などあらゆるシーンで接することになる年長者──とりわけテレビゲーム好きであることをカミングアウトしている40代付近のオトナと接する際に役立つテレビゲームの基礎知識と、会話が弾みやすい対処法を、キーワード別に紹介する。
年長者に必要以上におもねる必要もないが、多少なりとも関心のある分野の話に花を咲かせることで物事が円滑に進むのであれば、それに越したことはないだろう。

●キーワード その1: ゲームセンター

▼関連ワード
駄菓子屋、カツアゲ、補導、電子ライター、ゲームセンターあらし
▼コア年代の目安
1960年代後半~1970年代前半生まれ
1980年前後のゲーセンのスタンダードだった、テーブル型アーケード筐体(闘会議2018より)。

1980年前後のゲーセンのスタンダードだった、テーブル型アーケード筐体(闘会議2018より)。

© Giichi Totsuka

▼基本情報
設置したアーケードゲームを客に遊ばせることを主目的とした店舗の名称。通称"ゲーセン"。
1985年に風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)が施行されて以降、店舗の健全化が促進したが、それ以前は薄暗い店内に不良学生が溜まりがちな場所だった。
▼傾向と対策
「アミューズメント施設」と称され、若者のデートコースに普通に組み込まれるほど一般化する以前のゲームセンターは、"目新しい遊びであるテレビゲームへの好奇心"と"社会や当時の大人への反抗心"が絶妙にブレンドされた場所だった。
そこに出入りする当時の若者は、前者成分が強ければ"(ネクラな)マニア"、後者成分が強ければ"不良"といった具合に、どのみち普通とは少し違う人種に見られがちだった。
そういうわけで、「昔は俺もゲーセンに通っていて……」とアピールする40代後半のオトナも、2タイプに大別できる。やんちゃで遊び人の空気が板についている相手には"いかに非合法な手段でゲームをタダで遊んだかの武勇伝"を、どこか陰があり、ゲームへの真摯な愛情をキープしている相手には"いかに当時のゲームセンターが悪意と危険に満ちた場所だったかの証言"を聞き出すことで、自然と饒舌になっていくだろう。
▼キラークエスチョン
  • 「えっ、当時のアーケードゲームって1プレイ20円で遊べたんですか?」
  • 「どうしてゲームセンターに行くのに鉄定規が要るんです?」
  • 「学校の先生やPTAが敵って感覚、よくわからないので教えてください!」

●キーワード その2: パソコン

▼関連ワード
ナイコン、MSX、データレコーダー、マイコンBASICマガジン
▼コア年代の目安
1960年代後半~1970年代前半生まれ
画像は、国内では1982年にリリースされた米コモドール社のホビーパソコン"マックスマシーン"。

画像は、国内では1982年にリリースされた米コモドール社のホビーパソコン"マックスマシーン"。

© Giichi Totsuka

▼基本情報
アメリカの科学者アラン・ケイが1970年代初頭に提唱した、個人用途の汎用コンピュータ形態"パーソナルコンピュータ"の略称。
日本国内では、日立の"ベーシックマスター"、シャープの"MZ-80K(エムゼットハチマルケー)"、NECの"PC-8001(ピーシーハチマルマルイチ)"といった比較的安価なデスクトップ・モデルが1970年代終盤にリリースされたのを皮切りに、さまざまな企業が独自規格の本体を開発・販売した。
▼傾向と対策
いまでこそ各種作業・仕事の道具として欠かせないパソコン(PC)だが、1980年代の大部分のユーザーにとっては、パソコンを使うことそれ自体が最大の目的であり"ホビー"のひとつだった。
現在IT系業界で働く40代~50代前半の大人は、当時所有していたパソコンでゲームプログラミングをした経験があるはず。パソコン雑誌に掲載されているプログラムリストを一生懸命入力したエピソードや、オリジナルゲームのプログラムを雑誌に投稿したエピソードは、相手の技術者としての"初心"に触れる機会となるはずだ。
プログラミングにそこまで熱心ではない相手の場合、「どの機種を持っていて、どんな市販ゲームで遊んでいたか?」というテーマで、おおいに語ってもらうべし。
NECの"PC-8801mkⅡSR(ピーシーハチハチマルイチマークツーエスアール)"シリーズや、"PC-9801(ピーシーキュウハチマルイチ)"シリーズ、シャープの"X1(エックスワン)"シリーズや"X68000(エックスロクマンハッセン)"シリーズ、富士通の"FM-7(エフエムセブン)"や"FM-77AV(エフエムセブンセブンエーブイ)"シリーズあたりのユーザーは、当時の人気PCゲームを存分に遊んでいるため、青春時代のちょっとした優越感を呼び起こすことができる。
一方、玩具メーカーなどが独自開発またはライセンス販売していた、低価格帯(~5万円)のホビーパソコンのユーザーは、先に挙げた"メジャー機種"への羨望と嫉妬心を押し殺しつつ、所有するマイナーハードのマイナーなゲームソフトへの思い入れを強くしたたまオトナになっているケースが多い。
そんな相手のインナーチャイルド=内なる子供に優しく語りかけることで、世代や立場を超えた理解を深めることができるかもしれない。
▼キラークエスチョン
  • 「ニンテンドー3DSのソフトでBASICっていうプログラミング言語を知ったんですけど、昔のプログラマーは皆これを使っていたんですか?」
  • 「玩具メーカーが作っていたPCって、いまでいうスマホのおもちゃみたいなものですよね?」
  • 「『TOKYOナンパストリート』っていうゲーム、どんな内容か気になるなぁ」

●キーワード その3: ファミコン

▼関連ワード
ゲーム&ウオッチ、光線銃、裏技、ファミコン神拳、ディスクシステム
▼コア年代の目安
1970年代~1980年代前半生まれ
ファミコン(ニューファミコン)の実機で起動中の光線銃用ソフト『ダックハント』(闘会議2018より)。

ファミコン(ニューファミコン)の実機で起動中の光線銃用ソフト『ダックハント』(闘会議2018より)。

© Giichi Totsuka

▼基本情報
任天堂が1983年に発売した家庭用ゲーム機"ファミリーコンピュータ"の略称。別売りのゲームカセットを本体に挿しかえることで、さまざまなゲームを遊べた。
それ以前や同時期に発売された他社の家庭用ゲーム機よりも、グラフィックやサウンドの表現力が圧倒的に高く、幅広いゲームジャンルでのヒットタイトルに恵まれたこともあり、後継機のスーパーファミコンが発売される1990年まで"国民的ゲーム機”として君臨し続けた。
▼傾向と対策
いまから35年前に発売されたゲーム機……というとまったくピンとこないかもしれないが、その商業的成功によって後年任天堂が家庭用ゲーム機を作り続けることができ、現行ハード"Nintendo Switch"もその延長線上に存在しているとなると、現役ゲーマーにとっても無関係ではなくなってくるはず。
『マリオ』、『ゼルダの伝説』、『メトロイド』などの任天堂タイトルのみならず、『ドラゴンクエスト』、『ファイナルファンタジー』といった人気RPGのシリーズが始まった機種という意味でも、ファミコンは掘り下げ甲斐のある存在といえるだろう。
ただ、いわゆる"ファミコン世代"といわれる30代中盤から40代は、少年少女時代にテレビゲームをよくやったという記憶はあるものの、良くも悪くもブームに乗っかっていた側面があるため、細かい部分での記憶が曖昧になっている人が少なくない。
とくに後継機であるスーパーファミコンと、遊んだゲームタイトルがごっちゃになっているケースは、同世代のひとりとして嘆かわしい限りである。ゲーム好きをアピールしつつも、当時の思い入れがあまりなさそうな相手には「犯人はヤス」、「『スペランカー』の主人公は虚弱体質」、「IIコンのマイクで"ハドソン!"と叫ぶ」といった"ド定番ネタ”を振って、適度にノスタルジーに浸ってもらおう。
少し突っ込んだ話ができそうな相手には、任天堂が2016年にリリースした、ファミコン用ゲームソフト30タイトルが収録されたゲーム機"ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ"の話題を足がかりに、ゲーム観や人柄に踏み込んでいこう。
▼キラークエスチョン
  • 「ファミコン専用のロボットってのがあったそうですが、何ができたんです? やっぱりAI制御だったんですよね」
  • 「ファミコン版の『ドラゴンクエストIII』ってすごく人気だったみたいですが、当時どうやって手に入れたんですか?」
  • 「ファミコンって、いまも現役で活躍している有名人のゲームが結構出ていたんですよね。ビートたけし、明石家さんま、所ジョージ……あとほかに誰かいましたっけ?」

●キーワード その4:『ストII』(『ストリートファイターII』)

▼関連ワード
四天王、ゲーメスト、待ちガイル、リアルファイト、
▼コア年代の目安
1970年代中盤~1980年代中盤生まれ
Nintendo Switch用ソフト『ウルトラストリートファイターII』のプレイヤーセレクト画面。

Nintendo Switch用ソフト『ウルトラストリートファイターII』のプレイヤーセレクト画面。

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▼基本情報
カプコンが1991年にリリースしたアーケード対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』の略称。シリーズの前作『ストリートファイター』(1987年)からゲームシステムを大幅にパワーアップし、多彩な技をスピーディーに繰り出せるようになった。
後に1990年代のゲームシーンを席捲する"格ゲーブーム"の火つけ役となった、金字塔的タイトル。
▼傾向と対策
最新作がつねに対戦格闘ゲームファンから注目され続けている『ストリートファイター』シリーズ。
2018年現在は、プレイステーション4/PC用ソフト『ストリートファイターⅤ(ファイブ) アーケードエディション』が、世界各地で開催されるゲーム大会の主要競技タイトルとして扱われている。
しかし、1990年代にゲームとともに青春を過ごした多くのオトナにとって、カプコンの対戦格闘ゲームといえば、いつまでたっても『ストII』。決して若手とはいえない中堅お笑い芸人たちがバラエティ番組などで披露するゲームネタも、『ストリートファイターII』に登場するプレイヤーキャラクター8人+ボスキャラ4人の物真似止まりだ。
しかし、近年のeスポーツの盛り上がりに関連づけることで、話自体は思いのほか広げやすい。歴史ある人気ゲームジャンルゆえ、情報を更新していないオトナたちでもすんなり入れるプレイ環境がつねに用意されているので、「まずは、一戦」という具合にゲームプレイありきのコミュニケーションも可能だ。
接待プレイに徹するかガチでやりあうかは、相手の気質や腕前によって判断しよう。
▼キラークエスチョン
  • 「昇竜拳(またはスクリューパイルドライバー)のコマンド入力って難しくないですか? コツがあれば教えてください」
  • 「エドモンド本田って、『ストリートファイターⅤ アーケードエディション』ではプレイヤーキャラとして登場する予定がないみたいですね(※2018年2月現在)。いったい何が原因だと思いますか?」
  • 「『ストII』って当時ハリウッド映画になってましたよね。主演はたしか、アクションスターのドルフ……じゃなくてジャン=クロード……なんでしたっけ?」
以上のキーワードおよびキラークエスチョンを参考に、ぜひ(40代前後の)オトナたちとコミュニケーションを図ってはいかがだろうか?