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任天堂の歴史に埋もれている隠れた名作10本

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かつて任天堂が開発/販売を担当した隠れた名作を紹介する。
Written by Jon Partridge and Ben Sillis公開日:
任天堂は映画業界になぞらえるなら、ゲーム業界のディズニーというところだろう。任天堂はすべての人たちに愛されている企業だ。任天堂は数多の名作に加え、『マリオ』、『ゼルダ』、『ポケモン』、『どうぶつの森』など、クロスメディアやグッズ販売も展開する人気長寿シリーズも保有している。
しかし、任天堂はそれだけではない。『スマブラ』ファンとamiiboコレクターならば分かると思うが、任天堂は分厚いバックカタログを所持しており、今まで一度も見たことがないようなキャラクターや世界観を備えたゲームが存在する。
これまでに任天堂本社、セカンドパーティ、そしてサードパーティは数多くの歴史的なタイトルを開発してきたが、その中には5つ星を獲得しそびれたタイトルも存在する。単純に面白くなかったがゆえにその評価に収まったタイトルもあるが(『Mario Is Missing』!)、低評価の理由が今ひとつ見えてこないタイトルも存在する。
今回は以上を踏まえながら、改めて任天堂のアーカイブに目を通し、欧米での知名度がやや低い、欧米のプレイヤーがプレイした経験が少なそうなタイトルを10本選んでみた。選出方法としては、任天堂が開発・販売のいずれかを担当しているゲームを選び出し、その上で「日の目が当たっていないと思われるゲーム」または「シリーズ全体が忘れ去られているゲーム」という2つの判断基準で更にフィルタリングした。
さて、我々が選んだのはどの10本なのか? 以下をチェックしてもらいたい。
『ウェーブレース』
水しぶきが飛ぶジェットスキーゲームの『ウェーブレース』は、元々トップダウン型のゲームボーイ用レーシングゲームとして欧米限定でリリースされたが、のちにNINTENDO64の3Dレースゲーム『ウェーブレース64』としてリブートされた。『64』は物理演算やゲーム内の広告板でリアリティを早くから追求しており、これは2001年にゲームキューブでリリースされた続編『ウェーブレース ブルーストーム』にも引き継がれた。驚くほどリアルな水と爽快なゲームプレイ、馴染みやすい操作性と美しいグラフィックを兼ね揃え人気を博したこのシリーズを任天堂が15年も放置しているのはミステリーだ。任天堂はマリオが登場しないスポーツゲームやレーシングゲームの開発を諦めてしまったのではないかと勘ぐってしまう。しかし、『ウェーブレース64』はWii Uでもプレイ可能なので、スポーツゲーム&レーシングゲームファンは是非ともバーチャルコンソールで試してもらいたい。
『ハコボーイ!』
昨年は3DSにとって快進撃とは言えない1年だった。少なくとも2016年よりは勢いがなかった。とはいえ、昨年は『ゼルダ』や『どうぶつの森』のスピンオフの合間を縫って、任天堂のセカンドパーティであるHAL研究所が密かにこの最高に面白いパズルゲームをリリースしていたのだが、このゲームは高評価だったにも関わらず、多くの人たちに見過ごされてしまった。プレイヤーはキュービィ(どうやら性別は男らしい)としてプレイし、踏み台・梯子・ボタンを押す道具など様々な形で活用できる箱を生成できるキュービィの能力を駆使しながら、モノクロのステージをクリアしていく。シンプルに聞こえるが、任天堂が販売する他のゲームと同様、独特の不思議な魅力が備わっている。HAL研究所は岩田聡任天堂前社長が務めていた由緒あるデベロッパーなのでそのクオリティは想像できるはずだ。是非ともプレイしてもらいたい。
『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』
『ファイヤーエンブレム』は長年に渡り存在しているが、この任天堂のシミュレーションRPGは同社の他のシリーズと比べると、そこまでの成功を収めてはいない。そのため、3DSの『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』はシリーズ最終作と言われていたが、2012年にリリースされると大ヒットを記録し、続編『ファイアーエムブレム if』も開発された。しかし、3DSからファンになったという人たちは、ゲームキューブ時代の作品もチェックすべきだ。ビジュアルこそ共通しているが、カジュアルモードが存在しないため、無慈悲な高難易度を誇る。また、ユニットも一度失ってしまえば二度と復活しないため、失ったユニットの代わりを育てる間にプレイヤー自身の社会性も失ってしまうだろう。
『ドンキーコングジャングルビート』
販売だけでなく開発まで任天堂が自社担当した、『ドンキーコング』シリーズのレアな1本『ジャングルビート』は、近年モバイルゲームとして人気を獲得した『レイマン』シリーズと同様、非常に魅力的なゲームだった。プレイヤーは『ドンキーコンガ』のあのタルコンガや自分の手をビートに合わせて叩きながらステージを進んでいく。このあとにリリースされた『スーパードンキーコング』シリーズの異常な高難易度と比較すると非常にシンプルなゲームで、もはや忘れられた存在のタルコンガもゲームプレイにフィットしていた。タルコンガはもう売られていないが、オークションサイトを探せば見つけられるだろう。
『ちびロボ!』
『ちびロボ!』2005年にゲームキューブでリリースされた。宮本茂がデザインを担当したにも関わらず、この可愛い小柄なメカは多くの人たちに見落とされてきた。人間が散らかした家を片付けるというストーリーは面白く思えないかも知れないが、『ちびロボ!』シリーズは新作がリリースされるたびに高評価を得ており、amiiboにもしっかりとその名を連ねている。最近の3DS版をプレイした経験がない人は今すぐプレイしてもらいたい。
『エターナルダークネス −招かれた13人−』
Denis DyackのスタジオSilicon Knightsは、Epic Gamesを相手にした裁判と『トゥー・ヒューマン』の失敗でよく知られているが、このデベロッパーはゲームキューブ時代に成功を収めており、日本企業と組んでゲームキューブ用のハイクオリティなゲームを2本リリースしている。その1本、コナミと共同開発した『メタルギアソリッド』のリメイク版『メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス』も人気を博したが、ゲームキューブのファンの間で絶大な支持を得たのが、任天堂が販売を担当した『エターナルダークネス −招かれた13人−』だった。大人向けのテーマとゲームプレイ、そして任天堂が商標登録したユニークな「サニティ・メーター」が成功の大きな要因となった。しかし、ゲームキューブの作品の中でも特にシリアスなゲームの1本として評価されていたこのゲームは、任天堂がファミリー向けに方向転換したことからシリーズ展開が中断してしまった。その後、Dyackはその精神を引き継いだ続編『Shadow of the Eternals』の開発をKickstarterプロジェクトで2度に渡って展開したが、いずれも失敗に終わっているため、このゲームを楽しむには、ゲームキューブの埃を払ってプレイするしかない。
『ゲームボーイウォーズアドバンス』
トップダウン型のシミュレーションゲーム『ゲームボーイウォーズアドバンス』が2001年にリリースされると、全員がこのゲームに取り憑かれた。『マリオストーリー』シリーズで任天堂と良好な関係を築いてきたIntelligent Systemsが開発したこのGBA用タイトルは、1988年にリリースされた1作目『ファミコンウォーズ』から数えて7作目に相当する。
任天堂は、新しいゲーム機をリリースするたびに『ゲームボーイウォーズ』や『スーパーファミコンウォーズ』などをリリースしてきたが、欧米デビューを飾ったのがこのGBA版で、『Advance Wars』という欧米版のタイトルは、その後もニンテンドーDSの『Advance Wars: Dual Strike』(国内版『ファミコンウォーズDS』)にも引き継がれた(2005年のゲームキューブの『突撃!!ファミコンウォーズ』と2007年にWiiでリリースされたその続編は別タイトルが付けられている)。しかし、任天堂はこのシリーズの存在をすっかり忘れてしまっているようだ。2007年の『ファミコンウォーズDS 失われた光』以来最新作がリリースされていないので、シリーズが誇る中毒性の高いゲームプレイとシャープなピクセルグラフィックとデュアルスクリーンを使用する本作を、Wii Uか3DS版として再調整してリリースしてもらいたいものだ。
『ワリオランド』
一風変わったテーマと敵キャラクターを擁していた『スーパーマリオランド』シリーズは、どちらかというと正統派ではなかったのかも知れない。そしてシリーズ2作目の後、プロデューサーの横井軍兵がマリオのドッペルゲンガーと言えるワリオに焦点をあてることで、このシリーズは異なるゲームとして生まれ変わり、その後5機種に渡ってシリーズ展開された。各タイトルが独自の魅力を備えており、死の恐怖もない(ワリオは多くのゲームで不死身だ)このゲームは完全な別物で、反射神経よりも探索をメインに据えたアクションゲームだった。残念なことに『ワリオランド』シリーズはWii最初期以来リリースされておらず、どうやら最近のワリオはミニゲームコレクションやスポーツゲーム要員になっているようだ。しかし、『ワリオランド3』が3DSのeショップで購入できるので、シリーズを体験したことがない人は是非とも試してもらいたい。
『巨人のドシン』
『スマブラ』シリーズをプレイしたことがあるのなら、アンロックした巨人のドシンのトロフィーが何なのか不思議に思った経験があるだろう。実は、かつて任天堂はゴッドゲームをNINTENDO64DD(忘れ去られた周辺機器)とゲームキューブでリリースしていたのだ。プレイヤーは黄色の魔神としてプレイし、自らの判断で、島に災害をもたらして村人から憎悪を買うか、土地を改善して村人から愛情を勝ち取るかを選択していく。その2つの感情を同時に得ると相殺としてカウントされてしまうが、どちらかひとつだけを集めていくとドシンはどんどん成長していく。奇妙なゲームプレイとルックスがこのゲームを目立たせることなり、高評価も得たのだが、任天堂はこの巨人を過去に置き去りにしており、amiiboとして活躍するチャンスさえ与えていない。
『カスタムロボ』
これもオリジナルよりも『スマッシュブラザーズ』のトロフィーで見たという人が多いゲームだろう。この『カスタムロボ』は、任天堂が『トランスフォーマー』ブームに乗ろうとしていた頃のシリーズで、NINTENDO64とゲームキューブ、携帯ゲーム機で数本がリリースされたが、日本国外では『カスタムロボ バトルレボリューション』と『激闘! カスタムロボ』の2本しかリリースされなかった。本作のバトルアリーナは不思議な魅力を保ち続けているので、『ポケモン』以外の任天堂の90年代のシリーズ作品に興味がある人は、探してみても良いだろう。