F1 2025シーズン第9戦 スペインGPで科せられたペナルティポイントが目下の話題となっている。しかしながら、ペナルティポイントは違反行為をしたドライバーを罰する方法のひとつに過ぎない。
では、F1のペナルティはどのような内容で、どのように運用されているのだろう? 今回はF1のペナルティシステムについて詳しく解説していこう。
01
F1のペナルティポイントとは?
F1におけるペナルティポイントは、F1の統括団体であるFIA(Fédération Internationale de l'Automobile:国際自動車連盟)がドライバーたちに自らの行動の責任を負わせるための手段のひとつだ。
このペナルティシステムは2013シーズンから導入され、違反行為を繰り返すドライバーに対して明確な制限を設けることを主な目的としている。常習的に規則に違反するドライバーは誰でもペナルティポイントによる罰則対象となり、既定の点数に達すればレース出場停止という結果を招く。
F1におけるペナルティポイント規則は、F1競技規則の第54.3条において具体的に定義されている。これによると、「戒告または罰金を除き、本競技規則または第54.3条に従ってペナルティが科される場合、スチュワードはドライバーのスーパーライセンスに対してペナルティポイントを適用できる」としている。
ドライバーたちには様々な違反によってペナルティポイントが加算されていく。違反対象は、コース上の接触、ショートカットあるいはトラックリミット外の走行、フラッグ無視まで多岐に渡る。
Red Bull TV『フォーミュラ1 ABC』でモータースポーツ最高峰カテゴリーの基礎知識を学ぼう!
27分
フォーミュラ1 ABC
あらすじ: モータースポーツの一つであり、世界選手権もある“F1”。この動画では、F1の専門用語やルール、歴史やトップドライバーなど、全貌を徹底解説する。【過酷なスポーツの基本(シーズン1/日本語字幕)】
02
ドライバーに科せられるペナルティポイントの点数
適用可能なペナルティポイントの点数は、規則において明確に定義されている。1回の違反行為につきペナルティポイント1点が加算され、累積ペナルティポイントが12点に達すると、次回イベントでのスーパーライセンスが停止される。
F1におけるスーパーライセンスは運転免許証に相当する。F1でレースを戦うことを目指すドライバーは、誰もがスーパーライセンスを取得する必要がある。スーパーライセンスはモータースポーツ統括団体であるFIAが様々な基準から判断して発給している。
FIAは同団体の公認競技ごとに様々なライセンスを発給しており、その対象競技はカートや耐久レース、シングルシーターなど広範に渡るが、F1では最高位ライセンスとなるスーパーライセンスが必要となる。
スーパーライセンスを取得するために、ドライバーたちは国際モータースポーツ競技規則(FIAが主催するあらゆるモータースポーツイベントを包括するルールセット)に定められたいくつかの基本要件を満たす必要がある。
03
ペナルティポイントの有効期間
あるドライバーのF1ペナルティポイントが累積で12点に達した場合、スーパーライセンスは1イベント(つまり、グランプリウィークエンド1回)分停止となる。従って、ペナルティポイントが累積12点に達したドライバーは次回のイベントへの出走が認められない。
累積ペナルティポイントが12点に達すると自動的にカウントがリセットされ、当該ドライバーは出走資格が認められるイベント(次々回)からペナルティポイント0点で再スタートする。
ペナルティポイントはドライバーのスーパーライセンスに対して12カ月間有効となっている。当該ドライバーが12カ月間にライセンス停止に相当する点数に達しなかった場合、ペナルティポイントは12カ月経過時点で自動的に失効となる。
例を挙げると、F1ワールドチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンは2024シーズンにペナルティポイント8点を計上している。そのうち2点は2024シーズン オーストリアGPで計上したもので、2025年6月30日をもって自動的に失効する見込みだ。
04
レース出場停止の実例
ペナルティポイントがF1に導入されてレース出場停止処分が科せられるようになったが、この処分が実際に適用されたケースは稀だ。
2014シーズンから2024シーズンにかけてF1に参戦したデンマーク人ドライバーのケビン・マグヌッセンは2024シーズンにけ累積12点のペナルティポイントを計上して1レース出場停止の処分を受け、アゼルバイジャンGPをコース外から眺めなければならなかった。
また、フランス人ドライバーのロマン・グロージャン(当時ロータス所属)が前戦ベルギーGPのターン1での重大アクシデントや同シーズン中の度重なる違反行為によって2012シーズン イタリアGPで出場停止処分を受けたが、当時はまだペナルティポイントシステムが導入されていなかった。
05
ペナルティポイントの決定方法
フリープラクティスや予選、あるいはレースなどのセッション中、レースディレクターは規則に反するあらゆるインシデントや違反疑いについてスチュワードに報告できる。報告を受けたスチュワードには、当該インシデントまたは違反行為を調査対象とするか否かの判断が委ねられる。また、スチュワードは彼らが確認したインシデントや違反行為について独自に調査する場合もある。
あるインシデントが調査対象となった場合、当該インシデントに関与したドライバーとチームの両方、あるいはいずれか一方に通知が送付され、特定のインシデントが調査中であることが知らされる。その後、調査が完了すると、スチュワードがその判定結果を通達する。
しかし、一部のインシデントはレース後または聴聞後に調査される。この場合、通常は当事者が召喚されてスチュワードとの聴聞を行い、スチュワードがペナルティ適用の可否を判断することになる。
06
軽微な違反への罰則
とはいえ、FIAが違反行為を犯したドライバーに罰則を与える方法はペナルティポイントだけではない。ドライバーまたはチームが犯した軽微な違反については、いわゆる戒告処分が下される。
ペナルティポイントとは対照的に、これらの軽微な違反は個別に考慮され、当初はまったくデメリットはない。しかし、これらの違反行為もまた記録対象であり、戒告が累積すると処分の対象となる(例:グリッド降格ペナルティ)。
戒告は、ドライビングに関する警告(“ドライビング” カテゴリー)と、ドライビング以外に関するその他の警告(“ノンドライビング” カテゴリーに区別されている。
競技規則第18.2条によれば、1シーズンで合計5回の戒告を受けたドライバーにはペナルティが課せられるが、うち4回は “ドライビング” カテゴリーの戒告でなければならないとしている。
ドライビングカテゴリーには、ピットレーンでの追い越し、ピットレーン入口の横断、接触、または損傷したマシンでの走行が含まれる。ペナルティとして、ドライバーは次戦で10グリッド降格の処分を受ける可能性がある。シーズン終了時点で、すべての戒告はリセットされる。
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!
関連コンテンツ