AngryBird、Arslan Ash、Big Bird(左から)
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【リアル "努力・友情・勝利"】Big Bird & AngryBirdの格ゲーキャリアを辿る

偶然の出会いから『ストリートファイター』プロシーンで頂点まで飛翔した2匹の “バード” の飛行ルートを本人たちの言葉とともに振り返る。
Written by Red Bull MEA
読み終わるまで:5分公開日:
Big BirdことAdel AnoucheとAngryBirdことAmgad Al-Shalabiの『ストリートファイター』シーンへの旅は、ただの楽しい暇つぶしから始まった。
2000年、友人たちとAngryBirdの家に集まってビデオゲームをプレイしているときに『ストリートファイター』シリーズと出会ったBig Birdのこの格闘ゲームに対する第一印象は良くなかった。「技がひとつも出せなかったからです」と本人はその理由を明かしているが、夏休みに入るとその面白さに気付くようになり、自分で買ってプレイするようになった。
そしてBig BirdとAngryBirdが対戦を重ねるようになると、勝ち負けは関係なく対戦のたびにお互いのスキルが高まっていった。その後、2人は地元にアーケードを見つけ、競技として取り組んでいるプレイヤーたちが存在するという素晴らしい気付きを得たのだった。
こうして2匹の “バード” は『ストリートファイター』シリーズのさらに奥深くへと進み、その後約17年に渡りローカルシーンでプレイを続けていった。
AngryBirdがドバイの大学に通っていた2017年3月Capcom Pro Tour(CPT)が同地で開催され、AngryBirdは2位でフィニッシュした。そして、この活躍とツアーランキング55位という実績にNasr eSportsが注目し、彼はこのチーム初の契約プレイヤーとなった。
その後、プレミアイベントSEAM 2018をアジア人以外で初めて制したプレイヤーとなったことでシーンでの注目度がさらに高まったBig Birdはトッププレイヤーの仲間入りを果たした。
一方、AngryBirdは自分のキャリアについて「Big Birdが契約してから1年後に、彼が僕をチームに紹介してくれたのです。それで僕もプロプレイヤーとして契約することになり、プロキャリアが始まりました」と振り返る。しかし、当初のAngryBirdはプロプレイヤーとして結果を出すことに苦労したため、Big Birdよりもキャリアを軌道に乗せるまで時間がかかってしまった
「Nasr eSportsとの契約1年目は自分を証明する必要がありました。ですので、プレッシャーを感じてしまい、良いパフォーマンスができませんでしたね。希望を見出せなくなってしまいました」と語るAngryBirdは次のように続ける。
「それで “こういう生活は自分には向いていない。また経理の勉強に戻ろう" と思いました。ですが、パリのトーナメントで2連勝を飾り、ヨーロッパファイナルの出場権を獲得すると、このトーナメントを制してCapcom Cup出場権を得ました。さらにCapcom Cup7位で終えたのです」
ひとつの勝利が自信の回復に繋がりました。また、この快進撃でゲームに対する考え方が変わりました」
対戦相手がどんなチャレンジを投げかけてくるか分からないため、2人はトレーニングと練習を重ねることを最重要視している。
Big Birdは「トーナメント表を見て、誰と対戦する可能性があるのかを確認しています。対戦する可能性があるプレイヤーに対する苦手意識がなくなるまで戦術を研究していますね。あとは睡眠レッドブル・エナジードリンク缶も助けになっています」と語っている。
一方、AngryBirdのアプローチは少し異なる。「対戦相手は関係なく、毎日練習しています。誰が相手でも問題ないようにすべてのキャラクターと対戦しています。僕の場合、睡眠は5時間程度ですのでカフェインが非常に重要ですね」
苦手意識がなくなるまで戦術を研究しています
トレーニングとサポートについて話が及ぶと、Big BirdとAngryBirdは揃って2人の友情関係の重要性を強調している。この友情が2人のトーナメントでの活躍の秘訣なのだ。
トーナメント前はお互いに切磋琢磨し、トーナメントが始まればそれぞれのプレイに集中する。2人は所属するNasr eSportsと余計なプレッシャーをかけずに自分たちを支えてくれている仲間全員に感謝している。
将来の目標については、Big BirdはEVOとカプコンカップ優勝を掲げている。同じようにAngryBirdもカプコンカップ優勝に向けてギアを上げている。
しかし、同じ目標を持つライバル同士であるにもかかわらず、今でも2人はお互いを同じ情熱を持つチームメイトとして見ている。Big Birdは次のように語る。
「僕の中では、AngryBirdの勝利は僕の勝利です。彼が僕のライバルになるのは対戦するときだけです。ですが、トーナメントで彼に負けても僕はそこまで気にしません。なぜなら、彼がまだトーナメントに残っているからです」
AngryBirdも同じだ。「トーナメントでは "僕たち対他全員" と考えています」
トーナメントでは "僕たち対他全員" と考えています
AngryBird
すべての厳しい戦いで、2匹の “バード” は協力しながらすべての問題をクリアしてきた。趣味として始まったことを情熱、コミットメント、仲間意識によってキャリアに変えた2人のストーリーは、真のインスピレーションに溢れている。
eスポーツシーンは拡大を続けているが、2人は周囲に振り回されることなく自分たちの目標にフォーカスし続けている。2人は限界がないことを知っている勝者なのだ。
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