フィットネス

FTPを学ぼう!

© Graeme Murray/Red Bull Content Pool
自転車競技で積極的に取り入れられている計測方法について解説しよう。
Written by Paul Mill公開日:
FTPとは? この3文字の意味が分からなくても心配する必要はない。サイクリングコーチング企業Elite Cyclingのトップが解説する。

FTPとは?

FTP(Functional Threshold Power)は簡単に言えば、フィットネスの計測値だ。FTPは、自分が1時間維持できるパワーをワットに置き換えて表示する数値で、ワークアウトごとにFTPテストを行い、自分のフィットネスを向上させていく。
FTPを筋肉と運動の面から説明すると、FTPでのライディングは、それ以上プッシュすれば持続するのが非常に難しくなってしまう、限界ギリギリでのライディングを意味する。
しかし、筋肉が刺激され、「なんとか耐えられる」が「もう耐えられない」になる直前、幻覚症状に突入する直前の限界ギリギリのライディングは、1時間における筋肉と仕事量が理想的なバランスにあることを意味する。
 下を読んで、FTPの計測方法と、パワートレーニング / トレーニングゾーンでの活用方法について学ぼう。
 

FTPテストとは?

FTPテストとは、自分のフィットネスのスナップショットと言える。このテストを行ってフィットネスを計測して数値化しておけば、週・月・年ごとのフィットネスの変化をトラッキングできるようになる。
誰のためのテスト?
FTPテストは、パフォーマンスを向上させたいライダーや、レースやイベントに向けてピークを調整したいライダーに向いている。FTPテストは非常にハードなので、自分の健康状態に不安がある人は、テスト前に医師の指示を仰ぐべきだ。また、FTP計測は自分が望むだけハードにすることもできる。ハードにするだけ最終的なゴールも高まる。

テストの方法は?

FTPテストは、所定のウォームアップをこなしたあと、20分間の全力のFTPライドに切り替える。そしてこの全力時のパワーの平均計測値の95%がFTP値だ。この数値があれば、1時間全力でライディングした時にどれだけのパワーが出せるのかを予想できるようになる。

テストの内容は?

最初に10~15分のウォームアップをこなす。このウォームアップには、気道を開いて、運動中の筋肉に酸素を含んだ血液を送る高負荷のライディングも含まれている。
その後、20分間の全力タイムトライアルに移行する。このタイムトライアルはスタート時よりもハイパワーでフィニッシュすることが理想とされており、パワー、ケイデンス、心拍数を高めながら、最後の3分間で全力を出し切る。とはいえ、20分間が過ぎたあともペダリングを続ける必要がある。ゆっくりとペダルを回し続け、筋肉から乳酸を取り除いたあと、炭水化物とプロテインを摂取してリカバリーする。

FTPテストが必要な理由は?

FTPテストを行えば、自分のフィットネスレベルをトラッキングできる上に、パワーレベルなど、自分に合ったトレーニングゾーンを設定できるようになる。フィットネスが向上していくのに合わせて、トレーニングゾーンを再設定できるのもメリットだ。
テンポ、スウィートスポット、VO2 MaxなどのインターバルトレーニングはFTP値で表現することが可能だ。たとえば、テンポトレーニングならFTP値76~90%、VO2 MaxならFTP値106~120%が目安になる。
インターバルトレーニングごとにターゲットのエナジーシステムは異なるので、それぞれの順応ペースも異なる。よって、FTPのようなパーソナルデータを用意し、自分のニーズや能力に合わせて各トレーニングを調整することが重要になる。

FTPテストは自宅でも可能? それともコーチが必要?

FTPテストはロードでも、ジムでも、ひとりでも可能だが、コーチに立ち会ってもらえば、ハードにプッシュできるようになる。また、テストに集中しながら、スプリットデータや取ってもらったり、途中経過を教えてもらったりすることも可能だ。
ロード中に計測する場合は注意が必要だ。全力でライディングできる体力を残しておく必要がある。また、専用計測装置がなくてもFTPは算出できるが、その際はパワーではなく心拍数を使用する。
そのウォームアップは正式なFTPテストと同じだが、20分間のハードライドが行える余裕を残しておく必要がある。計測結果はその20分間の平均心拍数になる。これはFTPではなくTHR(スレッショルド心拍数 / Threshold Heart Rate)と呼ばれており、この数値はトレーニングゾーンに結びつけて使用することができる。

かなりハードなテストのようだが、無事に終わらせるためのアドバイスは?

ハードなトレーニングやテストを乗り越えるためのカギになるのは、ヴィジュアライゼーションと集中力だ。身体の痛みや止まりたいという気持ちを意識する代わりに、自分のスピードやテクニック、リズムに集中しよう。クライミングやスプリント、タイムトライアルに挑むトップライダーのスムーズで力強いライディングを頭にイメージしよう。そしてそれが今の自分だと意識する。リラックスしてしっかりと呼吸をしながら、流れに乗ろう。頭の中で良いイメージを持つことはどのスポーツでも非常に重要なので、自分の状況や感情を意識的に楽しむようにしよう。
このようなヴィジュアライゼーションとメンタルの強さが、トップアスリートがライバルたちよりも頭ひとつ抜けている理由だ。FTPテストは確かにハードだが、アスリートとして成長できるので、自分を信じて集中しよう。そしてとにかく楽しもう。テストを終えれば、今後に活用できる最高の報酬が得られるはずだ。
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