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今回紹介する3人に共通しているのは優勝経験だ。
『ストリートファイター』シーンのシーズンファイナルに位置するCapcom Cupを昨年制したガチくんは12月22日の愛知でトロフィーキャビネットのさらなる充実を狙うだろう。
しかし、そうは簡単にいかないはずだ。Red Bull Kumite 2019には世界最大の格闘ゲームトーナメントとして知られるEVO 2018を制したProblem Xと、ハイレベルなチームトーナメントとして知られる日本のストリートファイターリーグを制したはくも参戦するからだ。
この3人は『ストリートファイター』プロプレイヤーのキャリアパスと野望の多様性を示していると言えるだろう。当然、成功までの道のりは一本道ではなく、何本も存在する。そしてそれぞれがプレイヤーに異なる才能とプレイスタイル、長所を授けてくれる。
Red Bull Kumite 2019王者がこの3人の中から出るかどうかは分からないが、全員が優勝候補であることは確かだ。
ガチくん
- 出身国:日本
- 年齢:27
- 本名:金森識裕
- Red Bull Kumiteのキャッチコピー:孤高のスピードスター
- 使用キャラクター:ラシード
ガチくんが『ストリートファイター』シリーズをプレイし始めた時、彼はプロプレイヤーの存在を知らなかった。地元広島のアーケードで娯楽として楽しんでいた彼は格闘ゲームを自分のキャリアにするイメージは一切持っていなかった。
『ストリートファイターIV』時代はサガット使いだった彼は広島最強プレイヤーとして知られるようになり、やがてesportsの存在を知った。そして2016年、『ストリートファイターV』に移行した彼は積極的に転戦するようになり、日本のシーンで注目を集めるようになっていった。
その注目がRed Bull Kumite 2017への招待へ繋がり、ガチくんは見事2位でフィニッシュし評価をさらに高めた。また、Red Bull Kumite 2018もオープン予選から参加してファイナル出場権を獲得すると、ファイナルで再び素晴らしい活躍を見せて5位フィニッシュを記録した。
そして同年末、レッドブル・アスリートになったガチくんはCapcom Cupで優勝し、ワールドチャンピオンになった。
プロプレイヤーになってからのガチくんは日本国内の新世代プレイヤーのロールモデルになることを目指しているが、Red Bull Kumite 2019は猛者が揃っているため優勝は簡単ではない。
Problem X
- 出身国:英国
- 年齢:27
- 本名:Benjamin Simon
- Red Bull Kumiteのキャッチコピー:独立独歩
- 使用キャラクター:ベガ / アビゲイル
世界的に有名なビッグトーナメントを複数制した経験を持つBenjamin “Problem X” Simonはヨーロッパ最強プレイヤーとして知られている。
近年、ヨーロッパは優秀な『ストリートファイター』プレイヤーが数多く存在し、圏内各国で数多くのトーナメントが開催されるようになっているため、Problem Xは恵まれた環境にいると言える。また、日米の後塵を拝してきたヨーロッパは国を越えた仲間意識が強く、非常にタイトなコミュニティだ。
しかし、ヨーロッパでプロプレイヤーとして活動するのは日米よりも遙かに難しい。Problem Xはこのシーンで認められたいなら全力で取り組む必要があることを早々に理解していた。
そこでProblem X Promotionsを立ち上げ、自分と仲間を自己資金で支えながら世界各地を転戦して好成績とスポンサー獲得を目指すことにした。
起業家と同じように全財産と賞金をつぎ込んで世界を回ったProblem Xは最後にはスポンサーたちに注目されるようになった。そして2017年、いくつかのトーナメントで結果を残していたことからドイツのesportsチームmousesportsからオファーが届き、晴れてプロプレイヤーになった。
プロプレイヤーになったProblem Xはゲームに集中できるようになったが、この環境の変化が結果に繋がった。EVO 2018を制した彼は、Red Bull Kumite 2018でも藤村に次ぐ2位でフィニッシュした。
Capcom Pro Tour 2019シーズンも11月4日現在グローバルランキング7位につけているProblem Xは、Red Bull Kumite 2019の優勝トロフィーを英国ヘ持ち帰ろうとするはずだ。
はく
- 出身国:日本
- 年齢:24
- 本名:増田紘之
- Red Bull Kumiteのキャッチコピー:謎の暗殺者
- 使用キャラクター:F.A.N.G.
日本のストリートファイターリーグ優勝経験を持つはくはキャラクタースペシャリスト、つまり特定のキャラクターに拘るプレイヤーとして知られている。
『ストリートファイターV』シーンは非常にコンペティティブで結果を残すのが難しいため、プロプレイヤーたちは時々のメタに合わせてメインに据えるキャラクターを変えたり、複数のキャラクターを用意したりしている。
しかし、はくは弱キャラクターのひとりに数えられているトリッキーなF.A.N.G.を使い続けており、他のプレイヤーにとっては問題とさえ言えるものを自分の強みに変えることに成功している。
この使いづらい弱キャラクターで日本のストリートファイターリーグ優勝を成し遂げたことがはくへの注目を集めることになり、今年後半はときど率いるTOKIDO FLAMEのメンバーとして同リーグで活躍を続けている。
Red Bull Kumite 2019はストリートファイターリーグから多くのプレイヤーが参加するため、リーグでの経験を活かしたはくのプレイに注目したい。