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日本初のゲーム音楽プロオーケストラ"新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団"
クオリティーの高い演奏と、ゲームを愛していないとできないことをお届け
2011年、日本初のゲーム音楽を主体に演奏するプロオーケストラが発足した。現在、" 新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団"という名前を掲げるこの管弦楽団は、1ヵ月に1回という非常に短い間隔でコンサートを開き、精力的に活動を続けている。本楽団の代表であり、指揮者である 市原雄亮さんに話をうかがってみた。
「プロの奏者で構成される常設のゲーム音楽管弦楽団としては、我々は現在唯一の存在だと認識しています。僕たち以外にも、コンサートのたびに奏者を集めてゲーム音楽を演奏したり、クラシックのプロオーケストラを雇ってゲーム音楽を演奏するという"企画"は多くあります。やっていることはいっしょなんですけど、我々は立ち位置が違う。きちんと団員が固定されていて、定期的に活動する。それがプロオーケストラの定義だと思っていますので、今後もこだわっていきます」(市原氏)
現在、本楽団は少しずつメンバーを増やし、16人の固定メンバーで活動を続けている。しかし、最初にメンバーを集める際には、前代未聞とも言えるオーディションがあったそうだ。
「まぁ、もともと母体もなく、ゼロからこういう団体を作ったことでも前代未聞ではあるんですが(笑)。日本初のゲーム音楽のプロオーケストラを立ち上げる時点で、けっこうな話題になったんです。僕がTwitterで告知したらワーッと広がって、"Yahoo!ニュース"のトップに出てしまったくらい。メンバーの応募は300人もありました。僕は書類だけの選考はしたくなかったんで、300人全員と会ったんです。オーディションは、クラシックとゲーム音楽を1曲ずつ課題として演奏してもらい、全員と面接をしました」(市原氏)
この"300人オーディション"は、短く見積もってひとり10分と考えても、3000分という時間を費やしていることになる。市原さんは、それを2ヵ月がかりでやり切った。「それぐらい、プロフェッショナルで、かつゲームが大好きな人たちを集めようと思った」という市原さんの鬼気迫る熱意に感服する思いだ。
「このとき、演奏するゲームの曲は自由に選んでもらったんですけど、おもしろかったですね。これは好きじゃないとやらないよなぁという曲が出てきたり、アレンジがすごく細かかったり……。そういうところから、熱意やゲーム愛って伝わってくるんです」(市原氏)
そうした中で現在活動をする16人は、まさに"精鋭"。当然ながら全員プロとして活動している奏者たちで、『世界樹の迷宮』シリーズや、『大乱闘スマッシュブラザーズ』の最新作など、実際のゲームのBGMのレコーディングに参加している方も名を連ねている。その実力は、四の五の言わず、本稿の合い間に挟んだ動画を視聴してもらえれば一目瞭然。筆者の乏しい文章力での表現よりも100倍雄弁に、みなさんの耳に語りかけてくれるはずである。
【動画】任天堂のファミコンゲーム7タイトルをメドレーで一挙演奏。この疾走感は圧巻である。
演奏する楽曲の中心となるのは、いわゆるレトロゲーム。市原さんが「僕がいちばんゲームをやっていた時代」と語る、スーパーファミコン以前のタイトルが題材となることが多いようだ。ゲーム音楽が最もゲーム音楽らしかった時代のピコピコなサウンドが、対極とも言えるオーケストラに変換され、もう一度我々の耳に蘇る。懐かしさと新鮮さを同時に味わえる贅沢な時間だ。
「メインはレトロゲームですが、新しい曲を紹介するというのも、僕たちの使命のひとつだと思っています。いま現役で稼働しているスマホゲームの曲を演奏したりもするんですよ。『ファザナドゥ』の曲をやりながら、『パズドラ』もやる(笑)。昨年末には、スマホゲーム『消滅都市』の公式コンサートの演奏も担当しました」(市原氏)
【動画】奏者のゲーム愛が感じられる、『いっき』の演奏。ゲームオーバーまでの流れも絶妙。
市原さんがいまの楽団で自信を持っているひとつの"ウリ"として、「知らないゲームの曲があっても楽しんでもらえる」ことがあるという。
「僕がそのゲームのことを、演奏前に説明するんです。ゲームや選曲の解説や、小ネタなどで笑いを取ってから聴いてもらうと、お客さんも演奏がスムーズに頭に入ってくる。前説があって、それから演奏する。変わったオーケストラですよね(笑)」(市原氏)
市原さんはそう言って笑ったが、ゲームを愛していないとこういう発想は生まれないだろう。「淡々と演奏して、終わると拍手があり、また淡々と演奏を続けて……というオーケストラのイメージを覆したい」とも語る市原さん。5年も活動していて、楽団の固定ファンも増えてきたとのことだが、演奏の実力もさることながら、奏者のこういったゲーム愛やサービス精神が伝わるからこそ、リピーターを獲得していくのだと思う。
「クオリティーの高い演奏を提供するのはもちろんのこと、それプラス、ゲーム好きじゃないとできないことをやっている自信はあります。曲を知らない人でも楽しんでいただけるようにがんばっていますので、騙されたと思って一度来てみてください」(市原氏)
幸い、コンサートは毎月開催されている。「たまにやるイベントにはしたくない。ゲーム音楽のオーケストラを"毎月"聴ける場を提供し、活動を定着させたい」という市原さん。興味を持った方はぜひとも、公式サイトでスケジュールをチェックして、一度実際に生演奏を体験してみてはいかがだろうか。
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