ゲームが起動するまでに30分もかかる時代があった!? ~よく分かるゲーム記録媒体の歴史~
© Munetatsu Matsui
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ゲームが起動するまでに30分もかかる時代があった!? ~よく分かるゲーム記録媒体の歴史~

CD、DVD、Blu-rayとさまざまな形でパッケージ販売されてきたゲームソフト。その記録媒体は他にどのようなものがあったのか。その歴史を紐解く。
Written by 松井ムネタツ
読み終わるまで:6分公開日:
昨今、店頭でゲームのパッケージ版を買うよりも、ネットからダウンロード版を購入する人の割合が増えてきている。
スマホのゲームは基本ダウンロード版しかないし、また最近では家庭用ゲーム機もパッケージ版の発売と同時に、ダウンロード版が配信されるのが主流だ。
直接ゲーム機にインストールするダウンロード版。画面はPlayStaiton Store。

直接ゲーム機にインストールするダウンロード版。画面はPlayStaiton Store。

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ダウンロード版は、発売日の午前0時に配信されることも多くパッケージ版よりも早く遊べるメリットがある。
また、ソフトをゲーム機本体にインストールするため、いちいちディスクやカードを入れ替える必要がない。
一度これに慣れてしまうと、ディスクの出し入れがかなり面倒に感じる。昔はまったく苦ではなかったのに、一度便利さに慣れてしまうと後戻りできなくなってしまうとは……。
……さて、昨今のパッケージタイトルにおける記録媒体は、カード型Blu-rayとがほとんどだ。

●カード型

Nintendo Switchのゲームソフト(カード型)。

Nintendo Switchのゲームソフト(カード型)。

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カード型は、Nintendo Switchやニンテンドー3DS、PlayStation Vitaで使用されている。
よくこんな小さいカードに、ゲームソフトが1本まるまる入っているとは本当にびっくりだ。
(2018年2月現在)、Nintendo Switchのカード容量は最大で32Gバイト。いまどきのゲームなら十分な容量だが、今後拡張が予定されているという。
なお、ニンテンドー3DSとPlayStation Vitaは4~8Gバイト程度の容量と言われている。

●Blu-ray

PlayStation 4のゲームソフト(Blu-ray)。

PlayStation 4のゲームソフト(Blu-ray)。

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Blu-rayは2006年に発売されたPlayStation 3から採用され、現行機だとPlayStation 4とXbox Oneのパッケージソフトに採用されている。
最大で50Gバイトの容量となっており、現時点ではいちばん大きな容量を記録できる媒体だ。
Blu-rayは映像メディアとしても普及しているが、じつはもうひとつ、HD DVD(最大30Gバイト)という規格があった。
2002年ごろからBlu-rayと次世代メディアを競い合っていたのだが、2008年には事実上消滅。もしHD DVDが生き残っていたら、ゲームの歴史にも影響があったかもしれない。
現在の主流はこの2つだが、もちろん過去には、これ以外のさまざまなメディアがあった。少しずつ時代を遡りながら、ゲームの記録媒体の歴史をみていこう。

●UMD

PlayStation Portableのゲームソフト(UMD)。

PlayStation Portableのゲームソフト(UMD)。

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2004年にリリースされたPlayStation Portable(PSP)では、UMDという記録媒体を使っていた。最大1.8Gバイトの容量で、映画など映像ソフトもリリースされたが、UMDが再生できるハードはPSPだけだった。

●DVD

PlayStation 2のゲームソフト(DVD)。

PlayStation 2のゲームソフト(DVD)。

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続いて2000年、DVDを搭載したゲーム機が登場する。そう、PlayStation 2だ。
同時期に映画『マトリックス』のDVDソフトが発売され、PlayStaion 2を再生機として購入する人も多く、一気に普及した。容量は最大8.5Gバイト。

●CD

PlayStation 2のゲームソフト(DVD)。

PlayStation 2のゲームソフト(DVD)。

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さらに遡っていくと……つぎは1994年のCD。音楽メディアとして登場したCDがゲーム機に標準搭載されたのは、初代PlayStationとサターンからだ(これ以前に周辺機器として発売されたハードはあった)。
ソニー vs セガ vs 任天堂の三つ巴は当時「次世代ゲーム機戦争」と呼ばれ、ゲーム業界全体が非常に盛り上がった時代でもある。CDの容量は700Mバイトと、20世紀のゲームは一気に1Gバイト以下となってしまう。

●カセット(カートリッジ)

ファミコン、スーパーファミコンのゲームソフト(カセット、カートリッジ)。

ファミコン、スーパーファミコンのゲームソフト(カセット、カートリッジ)。

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そして、さらに前のファミコン(1983年)やスーパーファミコン(1990年)の時代はカセット(カートリッジ)が中心となる。
手のひらサイズほどの大きさで、ゲーム機本体の差込口に挿入し、電源を入れれば即遊べる、というものだ。
カセットの容量は、ファミコンで最大1Mバイト、スーパーファミコンで最大6Mバイト。
いまどきのスマホで撮影した写真のデータが1~2Mバイト程度なので、’80年代はいかに制約のあるハードでゲームが作られていたか、ということがよくわかる。
ここで、パソコンゲームにも目を向けてみよう。パソコンもCDやDVDでゲームのパッケージ販売が行われていたが、それよりも前には以下のような記録媒体があった。
まずは、1980年代後半から'90年前半、このころはフロッピーディスクで販売されていた。

●フロッピーディスク

パソコンのゲームソフト(5インチフロッピー)。撮影協力:BEEP秋葉原

パソコンのゲームソフト(5インチフロッピー)。撮影協力:BEEP秋葉原

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パソコンのゲームソフト(3.5インチフロッピー)。撮影協力:BEEP秋葉原

パソコンのゲームソフト(3.5インチフロッピー)。撮影協力:BEEP秋葉原

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大きさが異なる5インチと3.5インチのフロッピーが主流で、’90年代まではパソコン本体にフロッピーディスクを読み書きするためのドライブが搭載されていたが、21世紀になるとその姿はどんどん失われていった。
容量はディスク1枚で最大1Mバイト程度。ゲームの規模が大きくなるとディスク枚数が増え、オープニングだけでディスク1枚まるまる使ってしまう作品もあったほどだ。

●カセットテープ

パソコンのゲームソフト(カセットテープ)。撮影協力:BEEP秋葉原

パソコンのゲームソフト(カセットテープ)。撮影協力:BEEP秋葉原

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そしてさらに時代を遡り、フロッピーディスク以前はどうだったのか。
いまの若い人たちには信じられないと思うが、1980年代前半のパソコンゲームは、(音楽用の)カセットテープで販売されていた。
カセットテープには、ゲームのデータが音声信号として保存されており、その音声信号を再生して(ロードして)、パソコンに読み込ませるのだ。
とはいえ、いかんせんカセットテープなので、データ量が多いと、パソコン本体に読み込ませるだけでかなりの時間を要する。
ロード時間が30分なんてのはザラで、当時パソコンゲームで遊ぶことはかなり気合いを入れて行うものだった。
待ち時間に晩ご飯と食べたりお風呂に入ったりと、ロード時間をどう使うかは、各自で工夫したものだ。
というわけでゲーム記録媒体の歴史としては、概ねこんな感じなのだが、番外編としてもうひとつ紹介しておこう。

●雑誌(紙メディア)

パソコンゲーム雑誌に掲載されていたプログラム。

パソコンゲーム雑誌に掲載されていたプログラム。

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そう、雑誌にゲームのプログラムが掲載されていたのだ。
自分でこのプログラムをパソコンに入力し、実行させることでゲームを遊ぶことができた。
インターネットがない時代、紙メディアにプログラムそのものを掲載することで、読者にゲームを提供していたのである。
1~2ページ程度のプログラムなら数時間で入力し終わるが、これが10ページ規模になると数日を必要とする。
しかも"入力間違い"があるとゲームが動かないため、地道な確認作業が必要となる。
間違えやすい文字としては0(数字"ゼロ")とO(欧文大文字"オー")、1(数字"イチ")とl(欧文小文字"エル")、8(数字"ハチ")とB(欧文大文字"ビー")あたりの入力ミスは、当時を経験していた人なら「あるある」だろう。
さまざまな、ゲームの記録媒体。

さまざまな、ゲームの記録媒体。

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というわけでゲームの記録媒体の歴史を綴ってみたが、キミはどの時代からゲームを楽しんでいただろうか。
もしかしたら、あと10年くらいすると、ダウンロード販売だけの世の中になり、店頭でゲームを買ったことがない人もあらわれるかもしれない……。
(※ 撮影協力:BEEP秋葉原  https://www.akihabara-beep.com/
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