BMX
【直径7.5m!】BMX史上最大フルループをメイク!
ギリシャ人BMXライダーのジョージ・ンタヴティアンがビル2階の高さに相当する直径7.5mの巨大パイプでフルループをメイクして新たな歴史を作り上げた!
ギリシャ・ピリ行政区のポルタイコス川近くにあるトリカラ近郊で、美しい自然とジョージ・ンタヴティアンの不屈の精神が出会った。ンタヴティアンはその才能によって長きに渡り世界から尊敬を勝ち取ってきたが、本当の彼を理解する人は、彼が “偉業を達成し続けたい” という野望を抱いていることを知っている。
そして、ンタヴティアンはその通りの偉業をやってのけた。ンタヴティアンと彼のチームはギリシャ・トリカラで廃パイプを発見し、彼はここで直径7.5mのフルループをメイクした世界初のBMXライダーになったのだ。
この空前絶後の偉業をンタヴティアンがどのようにして成し遂げたのか、その過程を振り返っていこう。
歴史に残るようなことをしたいと思っていました。少なくとも挑戦しない理由などあり得ませんでした。世界で初めて7.5mフルループを制するライダーになりたかったのです!
準備
この堂々たるパイプがンタヴティアンの次のビッグチャレンジとなった。新たなプレイグラウンドになるこの巨大パイプを発見した彼は、この不可能なチャレンジを成功させるための準備に取り掛かった。トリカラ周辺の風景は緩やかな丘陵地帯や農場、そして遠くに望むピンドス山脈が特徴だ。
「歴史に残るようなことをしたいと思っていました。少なくとも挑戦しない理由などあり得ませんでした。世界で初めて7.5mフルループを制するライダーになりたかったのです!」とンタヴティアンは語る。
ンタヴティアンのこのBMXにかける大きな情熱は、どこから始まったのだろう? 最初はスケートボードを楽しんでいたンタヴティアンだが、地元カラマタでのBMXとの邂逅により、このスポーツへ生涯身を捧げることになった。
実績豊富なMTBライダー / ロードサイクリストだった父に影響を受けたンタヴティアンは、BMXのテクニカルなチャレンジとアドレナリンを刺激するアクションに惹き付けられるようになった。
トレーニング施設が限られており、さらにはローカルシーンが衰退傾向にあったにもかかわらず、ンタヴティアンは粘り強く独立独歩でスキルを磨き続け、この不屈の精神が彼をさらに高いレベルへ押し上げていった。
夢を脅かす怪我
アテンプト初日の展開を予想できる者は皆無だった。プロダクションチームはンタヴティアンがテイクオフに使用するランプの設置を早朝までに終えており、誰が見ても全員が興奮していた。
残念ながら、すべてが計画通りには進まなかった。バイクのスピードに対してランプが小さ過ぎることが判明したのだ。そしてその結果、テイクオフが中途半端となり、ンタヴティアンは屈むタイミングを誤って腰を痛めてしまった。
このアテンプトは安全確保のために設置されたエアーバッグに受け止められて終わった。しかし、普段の彼ならすぐに立ち上がれたはずだが、痛みのために動くことができず、救助を求めなければならなかった。何らかの問題が起きたことは明らかだった。
しかし、ンタヴティアンの心が折れることはなかった。彼は次のように振り返る。
「かなりの痛みがありましたし、歩くだけでも苦労する状態だったので、期待はすっかりなくなってしまいました。ですが、そのまま終わるつもりはありませんでした」
彼は痛みを感じながらも、夢を諦めることを拒んだ。チームのサポートに支えられ、痛み止めの注射を打った彼は、それまで以上の強い決意とともに再び立ち上がった。
空前絶後のBMXループ
2日目は、チームクルー全員が夜明けから始動した。必要な木材を集め、ンタヴティアンが最大限の加速を得られるようにランプを延伸するためだった。そして、数時間を経てランプの準備が整うと、あとはすべてがンタヴティアンの手に委ねられた。
ンタヴティアンがスタートポイントに立つと、前日のアテンプトが頭の中から離れず、アドレナリンが血管を巡り始めた。しかし、必要なスピードまで加速し、ランプに対して正しいラインを取り、あらゆるムーブを究極の精度で行い、一切の躊躇を消し去るためには、身体と精神を正しいゾーンに持ち込まなければならなかった。
彼の手はハンドルバーを固く握りしめ、両脚はフル回転し、視線はループに釘付けとなった。躊躇は一切なく、恐怖心もない。そこには確信だけがあった。
「心の中では、成功することは分かっていました。自信に満ち溢れていたので、何も恐れていませんでしたし、心と身体がひとつになっていました。成功する自分の姿がほとんど見えていました」とンタヴティアンは振り返る。
驚異的な才能と精確さによって、ンタヴティアンは一瞬重力を覆すかのように見えるループを見事に完走した。そして、この過程で歴史を打ち立てた。フルループはついに現実となったのだ。
自信に満ち溢れていたので、何も恐れていませんでしたし、心と身体がひとつになっていました
BMXの歴史に名を刻む
少しの間息を止め、耐えたあとに待っていたのは、雄叫びと歓声だった。彼は見事にやってのけた。ジョージ・ンタヴティアンの名は、BMX史上最長ループをメイクした人物として歴史に刻まれることになる。
困難が立ちはだかり、序盤の後退があっても、個人目標を達成すると同時に、他の多くの人にインスピレーションを与えられることをンタヴティアンは心の底で知った。
最終的に、このプロジェクトは肉体的なチャレンジ以上のものとなった。これは自己発見の旅路であり、挫折をものともしない個の力と決意の証明だった。
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