現在ニューヨークで開催されている Red Bull Music Academyにて初のDJセットを披露したモロダーを捕まえ、ダンサブルなディスコサウンドの秘訣などについて話を訊いた。
優れたディスコサウンドに欠かせない要素とは何でしょう?
ディスコサウンドにはいくつかルールがある。まずはは「4つ打ち」でなければならないということで、各拍にキックを入れなければならない。また裏に入ってくるハイハット。そして8分(音符)か16分(音符)で鳴るベースラインだ。メロディーはシンプルだったり、複雑だったり曲ごとによって異なる。例えば“Last Dance”は非常に複雑な曲だし、“Love To Love You Baby”はシンプルだ。
私が最初に4つ打ちを用いた曲は“Love To Love You Baby”だったが、作った時は「音楽的に正しくないからこのような曲は作ってはいけない」と思っていた。しかし、実際にレコーディングしてみると、「かなり良いぞ。他の楽曲よりもダンスできる」と感じることができた。最初は乗り気じゃなかったのだ。しかし、これ以降はこの手法を用いている。
“Love To Love You Baby”は私にとって初のメジャーヒットだった。このトラックによって私のキャリアが開かれ、Donna Summerが生まれ、私たちは瞬く間にナンバーワンとなった。そういう理由から私はこのトラックが一番気に入っている。また、音楽のすべての要素が盛り込まれているという意味では “Flashdance… What A Feeling”だろう。メロディーと歌詞が素晴らしいし、アレンジも良く練られている。またIrene Caraも映画に合うような見事な歌声を披露してくれた。そして結果的に映画もヒットして、ブームも生まれた。そういう意味で、このトラックはサウンドトラックとして素晴らしいというだけではなく、所謂音楽として大きな成功を収めた曲と言えるだろう。
音楽の世界だけではなく、カルチャーにも影響を与えるような音楽が良いと?
そうだ。例えば“Love To Love You Baby”は世間で議論を巻き起こしたが、多くの女性から支持されることになった。彼女たちはようやく解放されたと感じることができたのだ。彼女たちはノーだと思う時はノーと言って良いのだと感じることができたのだ。数多くの女性からそういう感想を言ってもらった。