グラベルロード − 今外へ向かって石を投げてこのバイクに当たる確率はかなり高い。2020年現在、グラベルロード(グラベルロードバイク / グラベルバイク)は正しい意味での世界的な流行になっている。
グラベルロードは米国が発端だが、すぐに世界各地で受け容れられた。かつてはMTBが中心だった自分のソーシャルメディアフィードが今はドロップバーで埋め尽くされているという人は世界中にいる。
俄然興味が沸いてきたのではないだろうか? というよりも、積極的に興味を持つべきだ。なぜなら、グラベルロードならフィットネスと持久力を高めることができる上に、未踏の地をグイグイと走れるのだから。
今回はスコットランドの南部に位置するトゥイード・バレーでグラベルロードデビューをした我々が持った印象を参考にしつつ、グラベルロードについて知っておくべきことをリストアップして紹介する。
1:ホイールサイズは重要ポイント
グラベルロードデビューを考えているMTBライダーなら、グラベルロードシーンについて知っておくべきことがひとつある。それは、グラベルロードのライダーたちもホイールサイズ談義が好きだということだ。
基本的にグラベルロードのホイールサイズはどんな路面をどれだけ走りたいかによって変わってくるが、現在は650Bと700Cが主なホイールサイズとなっている。650Bは約26インチで、700Cはロードバイクのスタンダードサイズ(約27インチ)となっている。
グラベルロードのタイヤは非常に重要なパーツだ。なぜなら、サスペンションの役割を担う唯一の存在であると同時に転がり抵抗にも影響を与えるからだ。基本的にはより太いタイヤを履ける650Bに比べて700Cは少し細い。しかし、すべてはフレームとフォーク次第で変わってくる。
MTBに慣れているなら剛性と走破性に優れている650Bの方がしっくり来るだろう。逆にロードバイクに慣れているなら700Cの方が良いだろう。
もちろん、その他にもタイヤのエアボリュームやリムサイズとの相性などが関わってくる。また、身も蓋もない話になってしまって恐縮だが、ホイールサイズには絶対的な正解がなく、最後は個人の好みという話に落ち着きがちだ。
2: 絶対的 "ウェア" は存在しない
今回のデビュー後に確信したのだが(そしてこれが正解だと思っているのだが)、グラベルロードで着るウェアは、腰から下はMTBクロスカントリー、腰から上はロードバイクをイメージするのが良いだろう。
もちろん、グラベルロードのライディングは “サイクリング” なので、クールなルックスを手に入れたいという人にはいくつかの外せないアイテムがある。サイクルキャップとウエストバッグ(バムバッグ)がその2トップだ。
ウエストバッグはサイクルキャップより実用的な理由から好まれている。グラベルロードはロングライドが多く、輪行込みの複数日のバイクトリップになることもあるため、なるべく多くの荷物を運べるようにしておくことが重要なのだ。
トゥイード・バレーでも非常に変わりやすい天候下で文明社会から遠く離れたエリアを走ることになったため、十分な数のスペアタイヤ、飲食料、ウェアなどを携行する必要があった。
グラベルロードのライディングで着用するウェアはMTBクロスカントリーとロードバイクの組み合わせがベストと書いたが、天候変化とメカニカルトラブルも考慮しておくべきだろう。
3:パンクは付きもの
これはグラベルロード特有の奇妙でマゾな要素だ。森の中の荒れた路面が多いエリアではパンク率はさらに高まる。
なぜなら、グラベルロードはサスペンションがなく、トップスピードがMTBライドよりも高くなる時もあるのだが、比較的細いタイヤで無数の砂利から受ける衝撃を吸収し続けなければならないからだ。
つまり、パンクはグラベルロードの大きな一部と言えるのだが、パンク修理を軸とする仲間意識もグラベルロードの大きな一部と言える。グラベルロードライダー全員が「次は自分かもしれない」という意識を持っている。
しかし、パンクを除けば、グラベルロードは機構・構造的に非常に頑丈だ。MTBとロードバイクの良いところを集めているため、1X(ワンバイ)ドライブトレインやディスクブレーキをはじめとする実証済みのバイクテクノロジーが採用されている。
このようなテクノロジーを備えているグラベルロードは路面からバイクに伝わってくる振動や揺れを消せるため、安定した姿勢でギャップを飛び越えたり、水たまりをバニーホップで越えたりすることができる。
4:知っているようで知らない世界
グラベルロードデビューから約1時間はこのバイクに驚かされ続けることになる。
登坂で得られるスピードはそれまで経験したことがない高さで、苦しみ続け堪え忍んできたあの坂がフルアタックセクションに変わる。また同様に、ドロップバーで挑む最初の高速左バームではすっかり忘れていた大きなコミットメントが必要になることに気付くだろう。
言うまでもなくグラベルロードはトレイルバイクではないが、比較的簡単なトレイルでのライディングはあらゆる意味で楽しく、トレイルセンターの登坂で練習すればより厳しい坂を含む丘陵地帯へステップアップできるようになるだろう。
オフロードを走るという意味ではMTB経験者の方が早く慣れることができるはずだが、初めて木の根に気付いた時は慣れないグラベルロードに振り回されるはずだ。
5:デビューライドは経験者と
ひとりでグラベルロードデビューをしようとすれば、その本質を理解しないで終わってしまう可能性が高い。完全に新しいセットアップとバイクシェイプを味わい、そのフレッシュな感覚が過ぎ去ってしまえば、少し退屈に感じてしまうだろう。
我々は、事前に設定した全長40kmのグラベルロードルートをガイドツアー業者(Tweed Valley Guides)と一緒に走った。Tweed Valley Guidesはグラベルロードライドに100%没入できるアップダウンや興味深いスポットを用意してくれた。
MTBトレイルではグラベルロードはやや場違いに思え、その魅力を理解するのが難しかったが、そこを抜けたあと、前走するライダーが跳ね返す砂利を頭を下げて避けながら開けた林道を高速で走り始めると、その魅力が理解できるようになっていった。
グラベルロードライドは完全に新しい感覚が得られるバイクアクティビティで、ライダーとしての自分の意識に改革をもたらし、さらに成長したいと思っているなら不可欠とさえ言える。
最初はバイクショップで企画しているイベントやグラベルロードライダーのグループライドを探して参加してみるのが良いだろう。
