F1
時代の終焉:ヘルムート・マルコがモータースポーツアドバイザーから退任
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めてきたヘルムート・マルコ博士が2025年一杯でF1から去ることを決定。その足跡と功績を振り返る。
マックス・フェルスタッペンが5回目のF1ワールドチャンピオンを惜しくも逃したあと、パドックの重鎮がオラクル・レッドブル・レーシングおよびF1から去ることになった。ヘルムート・マルコが2025年一杯でレッドブルのモータースポーツアドバイザーから退任することを決定したのだ。
82歳のマルコはF1の “レッドブル時代” の創出に大きく関わった人物のひとりで、レッドブル・ジュニアプログラムの責任者でもあった。
マルコは次のようにコメントを発表した。「私はモータースポーツに60年関わってきましたが、レッドブルでの過去20数年はとてつもなく大きな成功を収めることができた旅路となりました。才能溢れる多くの方々と形作り、共有してきた時間は素晴らしいものでした。私たちが共に作り上げ、成し遂げてきたすべてが、私を誇りで満たしてくれます」
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退任の背景
ヘルムート・マルコは、2025シーズンの結果が退任の決断に影響を与えたとしている。「今シーズンのワールドチャンピオンシップにわずかに届かなかったことが、私の心を大きく動かしました」とマルコは説明している。
レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは、一時首位から104ポイントも離されていたが徐々に差を詰めていき最終戦アブダビも優勝したが、ランド・ノリスにわずか2ポイント及ばずタイトルを逃した。
フェルスタッペンのF1キャリアを長年支えてきたマルコは「この結果が、今こそ熱意と成功に満ちていたこの長い旅路を終えるときであることを明確に示しました」とコメントし、「チームが今後も成功を収めていくことを願っていますし、来シーズンの彼らは両タイトル奪還に向けて戦っていくはずです」と続けた。
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時代の終焉
マルコは絶大な影響力を持つF1シーンの重鎮で、そのリーダーシップはレッドブル・レーシングの成功を形作り、セバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンをはじめとするトップドライバーたちの成長を助けた。
レッドブルの企業プロジェクト・投資担当CEOを務めるオリバー・ミンツラフは「ヘルムートから、2025年末でモータースポーツ・アドバイザーを退任したいという連絡がありました」と説明し、「素晴らしい一時代の終わりです。マルコの情熱、明確な決断を下せる勇気、そして才能を見出す能力が忘れられることはないでしょう」と続けた。
マルコの影響力は、彼が育成した人材だけではなく、在任期間中の成果にも表れている。在任期間中の戦績を下にまとめた。
ヘルムート・マルコ在任中の戦績
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ヘルムート・マルコとは?
ヘルムート・マルコは1943年にオーストリア・グラーツで生まれた元レーシングドライバーで1971年のル・マン24時間を優勝した経験を持つ。また、法学の博士号を取得していることから、“ザ・ドクター” としても知られている。大学在学中の1960年代、友人だったヨッヘン・リントとともにモータースポーツの世界に関わるようになった。
その後、ドライバーからマネージャーへ転身してモータースポーツに関わり続けたマルコは、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーに就任すると2025年まで同職を務めた。
レッドブル・レーシングを常勝チームのひとつに押し上げ、マックス・フェルスタッペンやセバスチャン・ベッテルをはじめとするトップドライバーたちを指導したマルコは、最も大きな影響力を持つF1関係者のひとりとされている。
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ヘルムート・マルコの指導を受けたF1ドライバー
- マックス・フェルスタッペン(ワールドチャンピオン4回)
- セバスチャン・ベッテル(ワールドチャンピオン4回)
- ダニール・クビアト
- アレックス・アルボン
- ピエール・ガスリー
- カルロス・サインツ
- ダニエル・リカルド
- セバスチャン・ブエミ
- スコット・スピード
- ハイメ・アリグエルスアリ
- ブレンドン・ハートレイ
- ジャン=エリック・ベルニュ
- クリスチャン・クリエン
- ヴィタントニオ・リウッツィ
- ジャック・ドゥーハン
- パトリック・フリーザッハー
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