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HenryG:強豪復活を目指すCloud9『CS:GO』新GM

© DreamHack/Adela-Sznajder
トップチームのゼネラルマネージャーに転身したトップコメンテーターが独自の取り組みや新ロースターなどについて語った。
Written by Ben Sillis公開日:
『CS:GO / カウンターストライク:グローバル・オフェンシブ』の殿堂が創設されれば、Henry “HenryG” Greerは必ず初年度に選ばれるだろう。
世界最強の『CS:Source / カウンターストライク:ソース』プレイヤーのひとりとして活躍し、複数のトーナメントで優勝を記録し、2000年代中頃には残念ながら終了してしまった世界初のビデオゲームリーグ、Championship Gaming SeriesのトッププレイヤーのひとりにもなったHenryGは、近年は『CS:GO』のビッグマッチを解説する “シーンを代表する声” として知られてきた。
そして今、ストリーミングに関連するほぼすべてを経験したHenryGは、多少意外だがエキサイティングな一歩を踏み出した。Cloud9『CS:G0』部門ゼネラルマネージャー(GM)に就任した彼は、すでに同ゲームの情勢を大きく変えている。本人は次のように語っている。
「コメンテーターからGMへの転身は難しい決断だった。GMをやるなら、理想の『CS:GO』チームとeスポーツ全体のイメージを僕と共有できるブランドでなければ意味がなかったからね」
「GMとしての僕の仕事はeスポーツチームのマネージメントよりも広範囲に及んでいる。コミュニティにポジティブな変化を起こす改革に参加しているんだ。Cloud9全体がこの改革に加わっているよ。Cloud9は僕を信頼して『CS:GO』部門を一任してくれている。こんな大胆な決断を下した組織は近年なかった」
HenryGが加入する前、Cloud9の『CS:GO』部門はいくつかのアップダウンを経験していた。2018シーズンのBoston Majorでの歴史的勝利以来、Cloud9の『CS:GO』チームは不安定でプレイヤーの出入りが激しかった。そのため、HenryGは加入と同時に悪い膿を出して再始動する必要があることを理解していた。
優れた基盤を用意してそこから始めることが成功への唯一の方法だ。他のチームはここで妥協しすぎている。僕は彼らのそういうミスを見て、多くを学んでいた。だから、コーチAleksandar “kassad” Trifunovićと一緒にパーフェクトチームの基盤になる部分を用意することにしたんだ」
「現時点で僕たちは一切妥協していない。プレイヤーのためにヘルシーな環境を用意したいと思っている。彼らが仕事を失う心配をせずに自分のスキルや才能に合ったロールでプレイできる環境さ」
HenryGが新GMに就任するというニュースから時間を空けずにCloud9はさらなるニュースを発表をした。HenryGが、新チーム1人目 / インゲームリーダーとして英国人プレイヤーAlex “ALEX” McMaeekinを獲得したことを明かしたのだ。
発表はこれだけではなかった。HenryGはALEXを約170万ドル(約1億8,000万円)で獲得したと続けたのだ。トッププレイヤーの獲得にどれだけの金額が支払われているのかについてファンが知る機会はほとんどないが、HenryGはeスポーツ業界全体があとに続くことを期待して、この部分を包み隠さず明かした。本人が説明する。
「ALEXのことは昔から知っているし、お互いに尊敬しているんだ。僕はチームプレイヤーとしての彼と彼の勝利への情熱を信頼している。僕も現役時代はインゲームリーダーだったし、あの経験は自分のキャリアの中で誇れるもののひとつなんだけど、ALEXにも優れたリーダーシップが備わっていると思うし、彼のキャリアはまだ始まったばかりだ」
「僕は栄光へ向かって走る車の鍵を彼に渡した。ALEXはこのチームで成功を収めるために何をしなければならないのかをちゃんと理解できている」
「具体的な情報を発表したのは、単純に隠すことはないと思っているからさ。発表した金額以外には何も支払っていない。発表した金額は見栄を張って上乗せした金額でもないし、経費などを除外した金額でもない」
「僕がチームの予算をどこにどう使っているのかが見えるようにファンには透明なガラス窓を用意したいし、ALEXをCloud9の未来のために獲得したワールドクラスプレイヤーとしてきちんと迎え入れるべきだと思っている」
「このような情報公開は他のプレイヤーやチームがそれぞれの市場価値を査定するきっかけになると同時に、この素晴らしいシーンで今まで明らかにされていなかった数字を公開できる。他のチームも僕たちのやり方に倣うはずだよ」
1人目を獲得し、クリアなヴィジョンを提示したHenryGは残りのロースター獲得に乗りだした。多くのトップチームが移籍や変更が数多く行われるリーグ中断期間で特別大きな動きを見せなかっため、フリーエージェントになったトッププレイヤーの数は多くなかったが、HenryGはこのような状況をまったく気にしていない。
「正直に言わせてもらうと、他のチームが “基盤作り” で採用してきた方法論を優れていると思ったことはなかった。その方法論の中心には常に “ビッグネームの獲得” が据えられている。そして、その他のプレイヤーを得意ではないロールに無理矢理はめることで、1シーズンかけてなんとか当面の目標をクリアしている」
「でも、僕とkassadがフォーカスしているのは “トロフィーを獲得できる『CS:GO』チームのために必要な基盤” だけだ」
コメンテーターからゼネラルマネージャーに転身したHenryG
コメンテーターからゼネラルマネージャーに転身したHenryG
彼らのそのフォーカスの結果のひとつが、Özgür “woxic” Ekerの獲得だ。我々がHellRaisersやMousesportsのようなチームで確認してきたように素晴らしいメカニカルスキルを備えているwoxicは、間違いなく新生Cloud9のスタープレイヤーのひとりになるだろう。
ALEXとwoxicに続く3人目のプレイヤーの名前はあまり知られていないかもしれない。しかし、HenryGはシーンを代表するプレイヤーのひとりになると踏んでいる。それが、数年前から英国で活躍している同国出身プレイヤーWilliam “mezii” Merrimanだ。HenryGが説明する。
「英国の神童と言えるmeziiを獲得した僕は、英国の『CS:GO』シーンが復活を果たしたと断言できる。ファンの多くにとって、meziiは聞き覚えのない名前に思えるかもしれないけれど、実家で食べる母親の手料理と同じくらい誰からも愛される親近感のあるプレイヤーになるはずだ」
「この若者は僕が用意する多国籍チームの主力になる。チームの頼れる柱として献身的なパフォーマンスを発揮し、スタープレイヤーが活躍するための基盤を築き上げるだろう」
新生Cloud9の残りのロースターについては原稿執筆時点(2020年10月6日)では明らかになっていないが、上記3人と優秀なコーチ、元トッププレイヤーのGMを備えているCloud9の『CS:GO』部門は、しばらく前から続いていた苦難の時代を乗り越えて再び明るい未来を手にすることが予想されている。
HenryGにとってこれはまだ長い旅の始まりに過ぎない。そして彼のチームの目標はたったひとつだけだ。
「僕はこのチームのためにすべてを賭けているのは誰もが知っているはずだ。唯一無二のコメンテーターとしてレガシーを遺した僕は、GMとして同レベルの期待をされている。次のメジャーで優勝を狙えるチームを用意できるという自信が100%ではなかったら、Cloud9には加入していなかった」
「その目標を達成するために必要なあらゆるリソースと知識、スタッフが僕の手元には揃っている。あとは僕次第だよ。何が起きようとも責任はすべて僕にある」
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