Participants compete at The Red Bull BC One New York Cypher at the Rock Steady Crew 40th Anniversary in New York, USA on 29 July, 2017.
© Carlo Cruz/Red Bull Content Pool
ダンス

【ブレイキンとは?】世界的人気を誇るダンススタイルの歴史と基本を学ぶ

ブレイキンについて学びたい人のために成り立ち、特徴、人気イベントなどを簡単に紹介する。
Written by Emmanuel Adelekun
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ブレイキンとは?

ブレイキンとは、ダイナミックでアクロバティックなストリート発祥のダンスで、B-BoyまたはB-Girlと呼ばれるブレイカーたちによってパフォーマンスされる。ブレイキンはヒップホップカルチャーを構成する4要素の1つとなっている(その他3つはDJ、ラップ/MC、グラフィティ)。
Rock SteadyのJazzy Jes

Rock SteadyのJazzy Jes

© Carlo Cruz/Red Bull Content Pool

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ブレイキン誕生の経緯と発案者

ブレイキンは、1970年代のヒップホップカルチャー黎明期にニューヨーク・ブロンクス地区に住んでいたアフリカ系およびラテン系米国人によって生み出された。
この地区を中心にパーティを開催していたDJ Kool Herc(クール・ハーク)は、自分がプレイしている楽曲がブレイクに差し掛かるとダンスフロアの一部の若者たちがいつもよりもダイナミックなダンスを踊ることに気が付いた。
彼らのダンスを見たDJ Kool Hercは、“メリーゴーランド” と呼ばれるテクニックで同じレコード2枚を同時にプレイするようになった。同じレコード2枚をミックスすればブレイクを延ばして、ダンサーたちが踊れる時間を長くできたのだ。このDJとフロアの連動によって “ブレイキン” が誕生した。ブレイキンとは “Breaking”、つまり、“ブレイクに合わせて踊ること” を指す。
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ブレイキンの音楽

ブレイカーたちがダンスする主な音楽ジャンルは、ブレイクビーツ、ファンク、ラップ、ソウルだ。ブレイキンと同義で語られることが多いクラシックトラックをいくつか紹介する:
  • Incredible Bongo Band「Apache」
  • Jimmy Castor Bunch「Just Begun」
  • Babe Ruth「The Mexican」
  • James Brown「Give it up or turn it loose」
とはいえ、ブレイクビーツはあらゆるジャンルのあらゆる楽曲に見つけることができるため、有名なブレイクの中には、意外な楽曲から取られているものもある。そのようなひとつが、ロックオペラ『ジーザス・クライスト・スーパースター』の収録曲「Overture」のブレイクだ。
Rainbow Disco Clubにも出演したDJ Skeme Richards

Rainbow Disco Clubにも出演したDJ Skeme Richards

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世界的人気を獲得するまでの経緯

1970年代を通じて、ブレイキンはニューヨーク全体へ広がっていった。そして、プロモーターやメディアがパーティや公園、クラブで踊っているB-BoyとB-Girlに気付くと、今度は様々なメディアやイベントなどを経由して世界へと広まっていった。
1982年、ブレイキンのクルーRock Steadyが【Roxxy European Hip Hop】ツアーを敢行し、ロンドンとパリでパフォーマンスを披露した。また、1983年には米国の人気トークショー『レイト・ナイト・ウィズ・デイヴィッド・レターマン』にも出演した。
同じように、New York City Breakerも1984年にテレビ番組『Graffiti Rock』へ出演した他、ワシントンD.C.で開催されたケネディ・センター名誉賞ロナルド・レーガン大統領の前でパフォーマンスを披露した。このパフォーマンスは全米に放映された。
また、B-BoyとB-Girlたちはミュージックビデオやハリウッド映画にも出演するようになり、これもブレイキンの世界への露出を高める助けになった。ブレイキンが初めてフィーチャーされた映画の例としては、『フラッシュダンス』(1983年)や『ブレイクダンス』(1984年)、そしてオープニングのクルーバトルが有名な『ビート・ストリート』(1984年)などが挙げられる。
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“ブレイクダンス” は正式名称ではない

ブレイキンが正式名称で、ブレイクダンスはメディアが誤って広めてしまった呼び方だ。Rock SteadyのマネージャーだったCool Lady Blueが【Roxxy European Hip Hop】ツアー中にこの名称を使ってメディアに説明したことが発端になったと言われている。
フリーズをメイクするRoxrite

フリーズをメイクするRoxrite

© Lea Duval/Red Bull Content Pool

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ブレイキンの基本要素

ブレイカーたちがパフォーマンスに組み込んでいるブレイキンの基本要素は次の通り:
  1. トップロック:ブレイカーたちが立った状態で踊るダンスで、フロアへの導入になる。基本的なトップロックとしては、インディアンステップやクロスステップが挙げられる。
  2. ゴーダウン:ブレイカーたちがトップロックからフロアへ “落ちる” ムーブを指す。基本的なゴーダウンとしては、ニードロップやスピンダウンが挙げられる。
  3. フットワーク:フロアで踊るブレイカーが手で支えながらメイクする多様な足さばきを意味する。基本的なフットワークとしては、シックスステップやスリーステップ、CCが挙げられる。
  4. フリーズ:ブレイカーが身体を数秒間停止させるムーブを意味する。基本的なフリーズとしては、ベイビーフリーズやチェアフリーズ、エルボーフリーズが挙げられる。
  5. パワームーブ:ブレイカーがダイナミックに全身を連続回転させるムーブを意味する。パワームーブの例としては、ヘッドスピン、エアフレア、ウインドミルが挙げられる。
  6. トリック:通常のステップ、フリーズ、パワームーブに特殊なアレンジを加えたムーブを意味する。トリックの例としては、エアチェアでのホッピング、ハンドホップとスレッドのコンビネーションムーブが挙げられる。
  7. トランジション:トランジションとはブレイカーがフットワーク、フリーズ、トリック、パワームーブへ移行するときの “繋ぎ” を意味する。基本的なトランジションとしては、スウィープ、プレッツェル、スピンが挙げられる。
Red Bull BC One 2018でバトルするKateとAmi

Red Bull BC One 2018でバトルするKateとAmi

© Dean Treml/Red Bull Content Pool

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サイファーとは何か? なぜ重要なのか?

サイファーとは、ブレイカーたちが作る “円” のことで、ひとりずつその円の中央に入ってダンスを披露する。
また、サイファーは場所を選ばないため、パーティやクラブ、屋外を問わず、どこでもできる。また、サイファーのブレイカーたちはお互いをコールアウトしてバトルを挑むこともできる。ただし、バトルと言っても、時間制限や勝敗のルールは特に決められておらず、それぞれのスキルを披露・確認し合う機会としての意味合いが強い。
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有名なブレイキンイベント

ブレイキンは、パーティダンスから競技性を備えたワールドワイドなアートフォームまで成長しており、現在は世界中で様々なイベントが開催されている。
これらのイベントにはフォーマットの違いが確認できるが、多くが採用しているフォーマットのひとつが、ソロバトル(1v1)とクルーバトル(1クルーあたりのメンバー数は2v2から8v8まで様々)だ。
バトルイベントではDJが音楽を担当し、司会進行役のホスト、そして各バトル終了後に勝者を決めるジャッジ(通常はトップブレイカーが務める)が3〜6人用意される。
Breaking crew Flooriorz doing a synchronised routine at a Battle of the Year event.

Taisuke with his crew Flooriorz at Battle of the Year

© Little Shao/Red Bull Content Pool

長い歴史と高い知名度を誇るインターナショナルブレイキンイベントの代表例:
  • Battle of the Year(ドイツ:シーン最長の歴史を誇る)
  • Freestyle Session(米国)
  • The Notorious IBE(オランダ)
  • Red Bull BC One(ワールドワイド)
  • UK B-Boy Championships(英国)
  • The Legits Blast Series(スロバキア、チェコ、米国)
  • BBIC(韓国)
ブレイキンはパリ2024の正式種目に採用されているため、今後のさらなる成長と発展が約束されている。
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【News🔥】Red Bull BC Oneの開催決定&情報解禁!

世界最高峰の1 on 1ブレイキンバトルイベント『Red Bull BC One』の日本大会が今年も開催。
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Red Bull BC One

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

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