A photo of Donita Sparks's Riot Grrrl punk rockers L7 playing live  at New York venue the Marquee in 1992.
© Steve Eichner/WireImage/Getty Images
ミュージック

Riot Grrrlを代表する楽曲 ベスト8

男性支配のオルタナティブロックシーンに異を唱え、同世代の女性に声を与えながら次世代の女性アーティストのために道を切り拓いた、フェミニストDIYパンクシーンを代表する楽曲をチェック!
Written by Bella Todd
読み終わるまで:7分公開日:
Girl Power! / ガールパワー!」
Riot don’t Diet! / ライオットはダイエットなんてしない!」
Every girl is a Riot Grrrl! / エヴリガール・イズ・ア・ライオットガール!」
Riot Grrrl(ライオット・ガール)のスローガンとイメージは非常に強烈だったため、時として、このシーンを彩ってきた楽曲群は無視されてしまう。
1991年にインディーパンクシーンの性差別と「ビール大好きボーイズロック」的趣向への反発して誕生したRiot Grrrlは、ファンジンカルチャーのDIY精神と政治的仲間意識をベースに発展したフェミニズム音楽ムーブメントだった。
Riot Grrrl
Riot Grrrl
しかし、素晴らしい音楽がなければRiot Grrrlはあそこまで大きなインパクトは残せなかった。
Riot Grrrl系バンドの楽曲群は怒りと喜びに満ちており、その歌詞はDIY精神を謳うあらゆるアンダーグラウンドカルチャーシーンに、自分たちのシーンに存在する保守主義的問題に取り組むことを促した。
Riot Grrrlの歴史を簡単に振り返る映像と、今も新しいファンを生み出し続けているこのシーンを代表する8曲をチェックしよう。

1. Bikini Kill「Rebel Girl」

Riot Grrrlムーブメントのテーマ曲とも言える「Rebel Girl」は、1991年にBikini Killのセットに組み込まれるようになり、それから2年後にシングルとしてリリースされた。
ワシントン州オリンピア出身のBikini KillはRiot Grrrlバンドの代表格で、このバンドのフロントウーマンだったKathleen Hannaは、今も第3次フェミニズムの怒りと知性のご意見番として広く知られている。
「Rebel Girl」は、世の中のクールな女の子たちを称賛している楽曲で、若い米国人女性が自分自身のチアリーダーになる自由を得るきっかけとなった。

2. Heavens To Betsy「Terrorist」

「I’m gonna kill you, I’ll gut you and gouge out your eyes」と何とも恐ろしい歌詞を歌っているCorin Tuckerは、女性がただの物として扱われることについての怒りをぶちまけている。「Terrorists」Heaven’s To Betsyのアルバム『Calculated』からのシングルカットだ。
Heaven’s To Betsyは1991年にワシントン州オリンピアで開催されたInternational Pop Underground Conventionでデビューライブを披露した。出演アーティストが全員女性だったこのイベントは、Riot Grrrlムーブメントがメディアから注目されるきっかけとなった。
TuckerはこのバンドのあとSleater-Kinneyを結成したが、「Terrorist」よりも女性の本気の怒りを感じさせる楽曲はほとんど存在しない。

3. Bratmobile「Cool Schmool」

Allison Wolfeは多忙な女性だった。Riot Grrrlという単語を共同で生み出し、最初のファンジン『Girl Germs』を共同執筆し、Riot Grrrlムーブメントに関わる人物の中でジェンダー研究に最も精通していたひとりだった。
そんなWolfeには、当然ながら、ポートランドが生んだ伝説のパンクバンドWipersについてダラダラと1日中話をするつもりは毛頭なかった。
彼女はその気持ちを、“自分大好きなヒップな連中” を正面切ってこき下ろす典型的なBratmobileサウンドのこの楽曲の中で歌っている。

4. Huggy Bear「Her Jazz」

男女混合革命家集団と名乗っていたHuggy Bear英国のRiot Grrrlバンドの先駆けだった。
同国の民放テレビ局Channel 4の若者向けカルチャー番組『The Word』でこのトラックを歌ったあと、歌詞が卑猥だという理由でスタジオから放り出された彼女たちは、その話題性で『Melody Maker』誌の表紙を飾った。
そしてこの一連の出来事は、Sex Pistolsがビル・グランディ(英国のテレビ司会者)の番組に登場したあの伝説のシーンと比較されることになった(編注:Sex Pistolsは番組内で放送禁止用語を繰り返し発言した)。
しかし、騒動はさておき、実際のHuggy Bearは歌も演奏もできたバンドで(Riot Grrrl系はこの2つが必ずしも必須条件ではなかった)、「Her Jazz」の激しい魅力は今も失われていない。

5. L7「Pretend We’re Dead」

1992年に英国・レディングフェスティバルのステージから観客に向かって使用済みの生理用品を投げ込んだことでも有名なL7は、Riot Grrrl系の中ではヘヴィ&グランジ寄り、そしてあらゆる意味で血なまぐさいバンドだった。
妊娠中絶賛成派でNirvanaとも仲が良かったロサンゼルス出身の4人組は、ポルノグラフィの攻撃性などをテーマにした楽曲(Wargasm)を書いていたが、1992年にリリースしたこの失恋アンセムで、グランジバブルでひと稼ぎしていたHoleに挑戦状を叩きつけた。

6. Sleater-Kinney「Words and Guitar」

高く評価されたSleater-Kinneyの1997年のアルバム『Dig Me Out』収録の、この短くて鋭いスタッカート的な楽曲の中で、Corin Tuckerは素晴らしい歌唱力を思う存分に発揮している。
Riot Grrrlムーブメントの焼け跡から生まれたSleater-Kinneyは、数々のオルタナティブロッククラシックを生み出しているが、彼女たちの代表曲はおそらくこれだ。
シンプルさが独特の緊張感を生み出しているこの楽曲は、自力でやることの素晴らしさを伝えている。「Words and Guitar, I’ve Got it! / 言葉とギターだけで十分よ!」と。

7. Pussy Riot「Punk Prayer」

この楽曲と共にモスクワ市内の協会で政府に異議を唱えるパフォーマンスをしたあと、Pussy Riotは警察に逮捕された。
FIFAワールドカップ2018ロシアでのスタジアム闖入事件も記憶に新しい世界的に有名なこのバンドは、音楽よりもアナーキスト的アクションを優先する傾向が強い。しかし、聖母マリアをフェミニスト活動に巻き込んでいるこの楽曲以上に、Riot Grrrlの精神性を表現している楽曲はない。

8. Big Joanie「Fall Asleep」

Riot Grrrlムーブメントが戻ってきているのだろうか? もしそうなら、そのサウンドはロンドン出身のこのブラックフェミニストパンクトリオに近いはずだ。
彼女たちは自分たちを「1980年代のDIY精神とRiot Grrrlムーブメントを通過させて、ダシキ(アフリカの民族衣装)を少し加えたThe Ronettes」と表現している。
Riot Grrrlムーブメント唯一の問題は、交差性(重なっている / 共通している部分がある他の社会的アイデンティティや差別システム)をしっかりと理解していないことにあった。しかし、Big Joanieは黒人女性とパンクの間を繋げようとしている。
彼女たちのデビューアルバム『Sistahs』は2018年11月にThurston MooreEva Prinzが立ち上げた出版社Ecstatic Peace LibraryのレーベルDaydream Library Seriesの第1弾としてリリースされる予定だ。
そのリードシングルとしてリリースされた「Fall Asleep」は軽快なハンドクラップと歪んだギター、1980年代的シンセリードが力強く共存している素晴らしい楽曲だ。