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『ホグワーツ・レガシー』レビュー:『ハリー・ポッター』ファンの夢
『ハリポタ』ファン待望のビデオゲームがリリースされた。魔法学校での生活が楽しめるオープンワールドアクションRPGの長所と短所を挙げていく。
アクションRPG『ホグワーツ・レガシー』の開発は簡単ではなかった。なぜなら、世界中の『ハリー・ポッター』ファンのこのオープンワールドタイトルへの期待はかなり大きかったからだ。この記事では、その魔法の世界がどのようなものになったのかをレビューする。
01
『ハリー・ポッター』ファン待望の作品
いきなりレベリオを唱えて魔法学校を見てみよう…。稲妻の形の傷を持つ有名な魔法使いに惚れ込んだことがない、また彼をほとんど知らない人にとって、『ホグワーツ・レガシー』はおそらく面白くないはずだ。
たとえAvalanche Softwareのオープンワールドタイトルがファンタジーの世界、このゲームのタイトルになっている魔法学校を取り巻く人物たちとルールをプレイヤーに近づけるためのありとあらゆる努力をしたところで、やはりこのゲームには『ハリー・ポッター』へのある程度の愛情が必要になる。退屈な学校生活を送る最初の数時間は特にそれが必要だ。
とは言え、そこまで酷い作品ではない。特に序盤はホグワーツ魔法学校について学んだり、寮の違いや最初の呪文に慣れたりするのにかなりの時間を費やすことになる。
少なくとも小説や映画ファンなら組み分け帽子を見たり、スコットランド・ハイランド地方の静かな村ホグズミードでの杖作りのオリバンダー老人と初めて出会ったりするまでに喜びの涙をいくつかこぼすはずだ。
しかし、この作品はファンだけではなくあらゆる人に向けられた作品となっている。そのため、膨大なチュートリアルと説明が用意されており、約30〜40時間のメインストーリーを進めていけばマグル中のマグルでも真の魔法使いになれるようになっている。
02
ストーリー
『ホグワーツ・レガシー』は、ホグワーツ魔法学校で一番有名な魔法使いの登場から約100年前が舞台に設定されている。典型的なRPGと同じように最初の1〜18時間(気分次第で変わる)は、自分の分身となるキャラクターのエディットに時間を費やすことになるだろう。
そのあと、プレイヤーはエリエザー・フィグ先生とともに空飛ぶ馬車に乗り込むが、この馬車がドラゴンに襲われてバラバラに破壊されてしまう。そして、ポート・キーでフィグ先生とともに瞬間移動をしたプレイヤーは、グリンゴッツ銀行の秘密の地下空間で悪のゴブリン、ランロクと対峙することになる。ランロクは闇の魔法使いビクトール・ルックウッドと手を組み、魔法界のパワーバランスを変えることを画策しているのだった…。
この作品のストーリーは非常に良くできており、美しいカットシーンとともに進んでいくが、1周目を終えて思い出すような魅力的な瞬間は特にない。とはいえ、そこまで悲観する必要もない。他に良い部分があるからだ。
03
学校生活
その後、プレイヤーはホグワーツ魔法学校へ入り、組み分け帽子に自分の寮を決めてもらうか、その決定に意義を唱え、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンのいずれかから自分で選ぶという最初のタスクをこなすことになる。
ここでどの寮を選んでもゲーミングエクスペリエンスに大きな影響はないが、のんびりしている時間はない。なぜなら授業がすぐに始まるからだ。『ホグワーツ・レガシー』では、スタートからの最初の数時間で様々なミニゲームを通じて基礎呪文を学ぶことになる。これらはどれも非常に有用で、謎解きや戦闘では特に重宝するだろう。
バリアを張れる《プロテゴ》や物体や敵を浮かせることができる《レヴィオーソ》は非常に便利だ。プレイヤーは様々な授業を通じてほうきで空を飛ぶ方法や闇の呪文の防衛術を学んでいく。どの授業も特に緊張する必要はなく、簡単で面白いミニゲーム形式になっている。
しかし、少し時間を取って学校内を探索するのも楽しい。Unreal Engineのおかげでこのゲームの世界は細部まで丁寧に描かれている。秘密の部屋や謎解き要素、鍵がかけられている箱、そしてときに興味深くときにそうでもないクラスメートとの会話などが用意されている『ホグワーツ・レガシー』は、魔法学校の魅力を見事に捉えており、探索する甲斐は十分にある。
04
魔法に満ちた世界
学校内のA地点からB地点まですぐに移動したいなら、もちろんファストトラベルを使用できるが、そのあとはほうきも学外での高速な移動手段として使えるようになる。
実際、『ホグワーツ・レガシー』のオープンワールドはこの作品の最大の強みのひとつだ。美しいホグズミードから奥深い森、そして南部の海岸までのディテールの細かさもその強みに貢献しているが、単純に謎に満ちた世界を探索するだけで面白い。
この作品は『ハリー・ポッター』シリーズの雰囲気を見事に捉えており、技術的な不具合もほとんど確認できない。ゲームを通じて大小様々なサイズの敵と戦える戦闘システムも魅力的だ。
05
呪文・魔法薬・コンボ
『ホグワーツ・レガシー』のもうひとつの大きな強みは、アクションRPGの戦闘システムだ。魔法使いのプレイヤーは様々な呪文だけではなく魔法薬やカウンター、防御、回避ロールなども使用できる。回避ロールはタイミングを合わせるだけで、コンボ重視の戦闘システムは『バットマン』シリーズを彷彿とさせる。
また、プレイヤーは戦闘で植物も使用できる他、カモフラージュ系の呪文で奇襲を仕掛けたり、戦闘を完全に避けたりもできる。戦いのアプローチは非常に多様で、様々な方法を試したくなる。16種類の攻撃・防御魔法を同時に装備できるのだから当然と言えば当然だ。
魔法学校ではプレイヤーはレベルアップごとに新しいスキルや道具を入手したり、魔法薬を調合したりできる。そのため、たとえば戦闘中に回復系の魔法薬がなくなることはない。このようなアイテムは高難度の戦闘で非常に有用だ。
しかし、『ホグワーツ・レガシー』はカジュアルゲーマーのことも考えている。プレイヤーが望むなら、メインストーリーと美しいゲーム内世界の探索(および大量のサイドミッション)だけにフォーカスできる。
『ホグワーツ・レガシー』はビデオゲームをあまりプレイしない『ハリー・ポッター』シリーズのファンとビデオゲームに精通しているベテランプレイヤーたちの間のギャップを上手く埋めている。
すべてのゲームプレイが魅力的とは言えないが、このアクションRPGはディテールの細かい美しい世界とのめり込める戦闘、世界観の見事な再現によって、すべての人を納得させるだろう。
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