往年のアーケード筐体を3/4スケールで復刻、『ARCADE 1UP』の魅力とは!
© Porno Suzuki
ゲーム

往年のアーケード筐体を3/4スケールで復刻、『ARCADE 1UP』の魅力とは!

『スペースインベーダー』をはじめ、『パックマン』や『ギャラガ』など、懐かしのアーケードゲーム筐体が3/4スケールで復刻。
Written by ポルノ鈴木
読み終わるまで:6分公開日:
「ミニファミコン」こと『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』が登場したのを皮切りに、"懐かしく"て"小さい"をコンセプトにしたゲーム機が次々登場・発表されている昨今。
このコンセプトを、家庭用ではなくアーケードゲームマシンに落とし込んだ意表を突くプロダクトが先日発表された。
それがニューヨークに拠点を置く玩具メーカー、TASTEMAKERS社が手掛けた『ARCADE 1UP』だ。
TASTEMAKERS社『ARCADE 1UP』のサイトより。

TASTEMAKERS社『ARCADE 1UP』のサイトより。

© 2018 by Arcade1Up and Tastemakers LLC

コレは往年のアーケードゲームマシンを3/4サイズで再現したもので、"家庭用アーケードゲームマシン"という言葉の矛盾が大発生している斬新なコンセプトがウリ。
「アーケードマシンをいつか自宅に置きたい!」というのは100万年前からゲーム好きにとってのドリーム行為だが、そもそもアメリカでは、ゲームマニアではなくても本物のアーケードマシンを自宅に置くのがステイタスという風潮があった。
アメリカでのアーケードマシンというのは、バー等の人が集まる場所で小銭を稼ぐコインオペレートマシンとしての役割を与えられたのが発祥で、いわばジュークボックスピンボールマシンの親戚のような存在だった。
そしてアメリカの金持ちというのは金持ちになって金持ちらしい家を建てようとなったときに、金持ちの証として自宅にミニバーを設ける金持ち文化というのもあるのだが、そこでより"本物"のバーっぽさを演出するために、実物のピンボールマシンやアーケードゲーマシンを家に置いてしまうという金持ち行為ステイタス性が生まれたのだ。
アメリカのアーケード筐体が立ってプレイするスタイルのアップライト方式なのは、そうしたお酒を片手にワイワイ楽しむものとしてスタートしているからであり、座ってじっくりゲームとして遊ぶスタイルが定着した日本とは、そうした背景の違いがあるわけだ。
『ARCADE 1UP』を遊ぶ筆者。東京ゲームショウ2018にて。

『ARCADE 1UP』を遊ぶ筆者。東京ゲームショウ2018にて。

© Porno Suzuki

こうしたバー文化の側面もありつつ、'80年代以降ゲームがカルチャーとして定着すると、今度は普通にゲームファン(非金持ち)の心理として「アーケード筐体を家に置きたい」という動きが出始めた。
なんせアメリカの一般的な住宅は広いしガレージも付いているし田舎に行けば納屋まであるし、日本のようにスペースの問題で筐体購入を諦める理由はそんなにない。
しかし唯一デメリットがあるとすれば、それは重さだった。
なんせゲームファンの所有欲をそそるクラシックなゲームたちは、モニターがすべてブラウン管。それを駆動させる為の電源パーツも含めて重量がかさむので、買ったは良いが移動が困難なシロモノでもあった。
もちろんそれが'80年代物となればあちこちにガタが来ている場合も多く、各部のメンテナンスも必要になってくる。
そのメンテナンスも含めて所有することを楽しめればいいが、修理に電気的な知識も必要になってくると素人にはお手上げ。
その為、アメリカにはヴィンテージ筐体のレストア&メンテナンスを専門に行う会社もあるほどなのだが、もちろんプロの手が入った筐体は値段も効果になり、それらは再び金持ちの手に渡ることとなる。
というようなアメリカアーケードゲーム所有欲事情を考えると、この『ARCADE 1UP』というのは絶妙なコンセプトで作られている事がわかる。
(下は、『Arcade1Up Official』のオフィシャル動画【英語】)。
まずサイズをオリジナルの3/4サイズに小型化
これはモニターがブラウン管ではなく液晶(17インチ)になったことで、ブラウン管の為の奥行きやそれを駆動させるためのパーツが不要になったので筐体サイズそのものを圧縮。
『ARCADE 1UP』内部の機械部品は液晶モニターと操作パネルだけなのでもっと小さくさせることも可能だが、アーケード筐体としての雰囲気を失っては意味がないので3/4という縮小化に落ち着いたのだろう。
この若干の小型化により、『ARCADE 1UP』は座ってプレイするのにちょうどいい高さとなっているが、別売りで筐体の高さを上げるライザー(専用台)も用意されているので、それを筐体とドッキングさせれば立ってのプレイも可能となる。
別売りで筐体の高さを上げるライザー(一番右)も用意されている。写真はTASTEMAKERS社『ARCADE 1UP』のサイトより。

別売りで筐体の高さを上げるライザー(一番右)も用意されている。写真はTASTEMAKERS社『ARCADE 1UP』のサイトより。

© 2018 by Arcade1Up and Tastemakers LLC

そしてこの小型化による最大のメリットは、流通に乗せて販売できるということだ。
『ARCADE 1UP』は組立家具方式で販売されており、販売時はパーツがすべてバラされた状態でパッケージされている。
そのサイズ感はカラーボックスやちょっとした本棚くらいなので、アメリカではゲームショップだけでなくスーパー電器店ホームセンターでも売られている。
『ARCADE 1UP』は、この"世界で初めて小売りされたアーケード筐体"としても画期的な存在なのだ。
ちなみにその組み立てはドライバー1本でOK。本当にニトリやIKEAで買った家具を組み立てるのとなんら変わりはないので、"アーケード筐体を買う"という行為のわりにはそのハードルはひたすらに低く設定されている。
(下は、『Arcade1Up Official』の組み立て動画【英語】)。
そんなイケてる『ARCADE 1UP』だけに、なんと早々に日本での正規販売が決定
日本で第一弾として登場するのは、

『ARCADE 1UP』国内発売タイトル

『SPACE INVADERS ORIGINAL/SPACE INVADERS COLOR』

『PAC-MAN/PAC-MAN PLUS』

『GALAGA/GALAXIAN』

の3機種で、各機種2タイトルを収録。
(※下は、国内での『ARCADE 1UP』紹介動画)。
価格は各58000円(税抜)で、発売時期は2018年の12月を予定している。しかも発売元はタイトーだ。
日本での『ARCADE 1UP』は発表当初から大きな話題となり、先行予約を始めたAmazonでは即ソールドアウトとなったほど(現在は二次予約を受付中)。
先日開催された東京ゲームショウ2018では実機展示を行っていたので、そこでチェックしてきたディテールを以下でご紹介しよう。
東京ゲームショウで展開していた『ARCADE 1UP』ブース。

東京ゲームショウで展開していた『ARCADE 1UP』ブース。

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これが『ARCADE 1UP』! 筐体サイズは幅483mmX高さ1,163mmX奥行き584mm。重さは25kg。

これが『ARCADE 1UP』! 筐体サイズは幅483mmX高さ1,163mmX奥行き584mm。重さは25kg。

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筐体の裏側。電源ケーブルが1本出るだけのシンプルな作り。中はがらんどうのようだ。

筐体の裏側。電源ケーブルが1本出るだけのシンプルな作り。中はがらんどうのようだ。

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操作パネル部分。個人的にはアメリカっぽい梨地の表面を期待したが、ツルツル仕上げだった。

操作パネル部分。個人的にはアメリカっぽい梨地の表面を期待したが、ツルツル仕上げだった。

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電源オンオフと音量調節は物理スイッチで行う。

電源オンオフと音量調節は物理スイッチで行う。

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パネル部分にはインストもプリントされている。日本語ではなく英語仕様だ。

パネル部分にはインストもプリントされている。日本語ではなく英語仕様だ。

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各機種とも2種のゲームを内蔵。本体起動時に選択画面が現れる。

各機種とも2種のゲームを内蔵。本体起動時に選択画面が現れる。

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操作方法もゲーム起動前に表示される。

操作方法もゲーム起動前に表示される。

© Porno Suzuki

プレイ感覚は当時のアーケードそのまま。液晶モニターだけに映像は非常に綺麗だ。

プレイ感覚は当時のアーケードそのまま。液晶モニターだけに映像は非常に綺麗だ。

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『PAC-MAN』は筐体デザインのポップさが際立つ。

『PAC-MAN』は筐体デザインのポップさが際立つ。

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電光ではないが、マーキー(筐体上部の看板)も再現。

電光ではないが、マーキー(筐体上部の看板)も再現。

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会場ではオリジナルの『スペースインベーダー』筐体の姿も。流石に別格のオーラを放つ。

会場ではオリジナルの『スペースインベーダー』筐体の姿も。流石に別格のオーラを放つ。

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アーケード筐体を自宅に置きたいと思っている方はぜひチェックしてみてほしい。
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