Gaming
先日、なんとなく筆者が「ゲームライターを募集したい」という旨をTwitterでツイートしたところ、「やってみたい」というリプライやダイレクトメッセージをたくさんいただいた。
思いのほか、「ゲームライターになりたい!」と思っている人が多いようだ。
いただいたメッセージを読むと、「どうしたらゲームライターになれますか?」という内容の問い合わせが目立った。
とくに高校生からの問い合わせが多く、「進学を辞めてゲーム業界で働きたい」、「いますぐゲームライターになりたい」という熱意ある人もいた。
そこで今回は、せっかくなので、ゲームライターになる方法をまとめてみたい。
◆ゲームライターとはどんな仕事なのか?
何はともあれ、まずはゲームライターの仕事内容を紹介しておこう。
どういう仕事かというと、これは想像どおりだと思うが、紙媒体やWEB媒体でゲームの記事を書く、というものだ。
必要ならば記事に使う写真もライターが撮影して用意する。
いまキミが読んでいる、RedBull.comのこの記事も、まさに筆者がゲームライターの仕事のひとつとして執筆している。
ゲームライターといっても手掛ける仕事は幅広い。
紹介記事、レビュー記事、インタビュー記事、攻略記事、イベントレポート記事など、その種類はさまざま。
基本的には編集部(やクライアント)からライター宛に、「この記事をお願いしたいのですが」といった発注の連絡があり、スケジュールやギャランティを交渉しつつ執筆が可能なら「やります!」と返答し、そこから実際に取材をしたりゲームをプレイしたりして原稿を書き、発注元に納品する。
逆に、ライターから編集部へ「こういう記事を書きたい」と提案することもある。
自分がやってみたいもの、得意なものがあるならそれもアリだ。
一般的にライターはフリーのケースが多い。どこの会社にも属さない、自営業でやるというスタイルだ。筆者もそうだ。
企業(やメディア)に所属している編集部員が原稿を書くケースもあるが、それだけでは人手が足らなかったり、専門的な知識が必要な場合もあるので、どのメディアでもたいていは、外部のライターにお願いすることが多い。
◆ゲームライターはどのくらい稼げるのか?
では、ゲームライターは1ヵ月でどのくらい稼げるのか? ほとんどの人が気になっていることだと思う。
フリーランスのゲームライターは、基本的に記事を1つ書いていくら、という原稿料がギャランティとなる。
その金額は、原稿の文字数や、スケジュールや作業量などによってピンキリで、WEB媒体の場合はたいだい数千円からの場合もあるし、多くて数万円くらい(片手で数えるよりちょい下くらい)の場合もある(ここまで高額なのは滅多にないが)。
たとえば、もし自らが仕事をするWEB媒体の平均ギャランティが1記事1万円だったとして、月に20本書いて20万円。
ただ、毎月それだけの仕事量があるかというと、新人ライターはそれほどたくさんの仕事があるわけでもなく、月に2本しかないなんてこともよくある話だ。
では、どうすれば仕事が増えるのか? そのあたりを次に説明したい。
◆ゲームライターになるための下準備は?
この記事を読んでいる人ならば、もちろんゲームは好きなはずだ。
ただ、その好きの幅をもっと広く、深くしておく必要がある。
「広く」でいえば、ゲーム業界の基本的な流れをチェックすべく、メジャーなゲームニュースサイトは毎日読んでおくのは最低限やっておくべきことだろう。
また、「深く」は、「このゲームなら誰よりも詳しい」、「このシリーズは全部遊んでいます」など、得意なものを作っておくといい。これは大きな武器になる。
たとえば、対戦格闘ゲームならどれも必ず遊んでいるとか、『ファイナルファンタジーXIV』は旧版のサービスインからずっとプレイしているとか、『モンスターストライク』はランク300以上だとか、他の人に負けないような得意分野があると、それを仕事に活かすことができる。
また、これからのゲーム業界のことを考えると、eスポーツの分野はまだまだ書き手が少ないように感じるので、その方面に強い人は、ゲームライターとして比較的チャンスが多いはずだ。
◆ゲームライターになるための訓練をしよう
ここまでを理解したら、こんどは毎日文章を書くクセをつけよう。
Twitterでゲームライターの応募をしてきた人の半分が、「長文を書いたことがない」という返事だったことに心底驚いたのだが、そもそも「ゲームライターになる方法がわからない」ということだったので仕方がないのかもしれない。
効果的な練習方法としては、ブログを開設して800文字ほどの記事を毎日書くこと。
ネタは何でもいいが、できればゲームの話題にするのがいいだろう。
遊んだゲームのことでもいいし、その日に得たゲームニュースに関することだっていい。
とにかく文章(長文)を書くことに慣れておくことが必要だ。
しかし、ただ闇雲に書くだけでは文章はうまくはならない。
たとえば、『日本語の作文技術』(本多勝一・著)など、作文の技術をまとめた本もあるので、こういったものも利用するといい。
◆ゲームライターとして仕事を手掛けるには?
前述のとおり、ゲームライターのほとんどは一般的にフリー・自営業だ。
「ゲームライターはどこかの会社に就職する」ものだと思っている人が意外といて(とくに高校生に多かった)、そういうケースもあるにはあるのだが、原則は違う。
また、黙っていれば仕事がくる、なんていうほど甘い世界ではない。ましてや新人であれば、編集部に自身を売り込んだとしても、すぐに仕事をもらうこと(書かせてくれること)はほぼないだろう。
ではどうすればいいのか? 大きく分けて2つの方法がある。
まずひとつは、ゲームライター専攻がある専門学校に行くという方法だ。
基本的なことをひととおり学ぶことができるし、学校から編集部への売り込みもしてくれたりもする。
筆者が家庭用ゲーム誌の編集を手掛けていたころ、専門学校を卒業したてのライターを何人か起用したが、まだ粗削りの部分はあったものの即戦力となってくれた。
なお、そんな彼らは10年以上経ったいま、現役バリバリの最前線でいろいろなメディアで活躍している。
そして、もうひとつは、アルバイトでも何でもいいのでどこかの編集部に入ってしまう方法である。
正直、これがいちばんオススメだ。
アルバイトの場合は、"編集アシスタント"という編集補佐的な仕事となることが多い。
それでも編集部に入ることをオススメしたいのは、ゲームメディアの仕組みなど基本的なことをひととおり学ぶことができ、多少なりとも記事を書くチャンスがあるからだ。
原稿の書き方も学べるし、さまざまなコネクションもできる。
編集の仕事が楽しくなったならそのまま編集としてやり続けるもよし、しばらくしたらライターとして独立したっていい。
◆ゲームライターとなった筆者の道筋は?
最後に筆者の場合を書いておこう。
筆者は高校を卒業してすぐ、『テクノポリス』というパソコンゲーム誌でアルバイトを始めた。
この雑誌は編集部員で原稿を書くのが基本だったので、毎月たくさんのゲーム紹介記事や攻略記事を書いた。
もちろん最初のうちは、編集デスクに「はい、書き直し」とリテイクを食らいまくったが、それもだんだんと減っていった。
そして、26歳のころ、アーケード専門雑誌『ゲーメスト』へ転職。
ここでは、外部ライターが原稿執筆を行っていたので、筆者が記事を書くことはほぼなかった。
仕事としては編集の業務、たとえば「原稿を書け!」、「締め切りを守れ!」とライターのケツを叩くことが主な仕事となる。
『ゲーメスト』が休刊した後、31歳のときに『ファミ通ドリームキャスト』の編集部に移った。
ここは編集部員とライターによる執筆割合が半々くらい。
筆者の場合は、『ゲーメスト』からの流れもあり、格闘ゲームやシューティングゲームが得意なライターをたくさん知っていたので、彼らに記事を書いてもらう"編集者"として仕事をこなした。
その後は、『ファミ通Xbox』、『ファミ通Xbox 360』の編集部に移るのだが、このころはもう編集長になっていたので自分で執筆することは減った。
それでも、クロスレビューやコラムページを担当していたので、何らかの原稿は毎月書いていた。
そして2015年に会社を卒業して独立、以降はフリーランスとしてこのRedBull.comのコラムをはじめ、あちこちのメディアで原稿を書いたり編集業を手掛けている。
かつての同僚から仕事の発注があったり、知り合いのライターやゲームメーカーから仕事を紹介してもらったり……と、いろんなところから依頼がくる。
それもこれも編集部時代のいろいろな繋がりがあってこそだ。まさにフリーになるための必要な期間だったとも言える。
というわけで、今回はここまで。次回【後編】は、「ゲームライターになる方法!」として、ゲームライターの七つ道具についてまとめたいと思う。
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